避難者数の経時変化を精緻に予測 インフラ復旧状況と備蓄から読み解く災害支援
(ポイント)
- インフラ被害を考慮した避難者数推移予測モデルの精緻化に成功
- 電気・道路の復旧状況と備蓄の程度を明示的にモデル化
- 発災直後の支援計画や物資配分の最適化に貢献
- 自治体の防災計画立案を定量的に支援
(概要説明)
熊本大学大学院先端科学研究部・岡島寛准教授らの研究グループは、震災時の避難者数推移をより正確に予測するための新しい数理モデルを開発しました。本研究では、電気と道路のライフライン被害状況、および各家庭の備蓄の程度を明示的に考慮することで、物資不足に起因する避難者数の推移を詳細にモデル化することに成功しました。
[取り組みの内容]
本研究では、2021年に発表した避難者数推移予測モデルをさらに発展させました。従来モデルでは物資不足を抽象的に表現していましたが、今回は店舗の稼働状況に影響を与える具体的な要因として、停電被害と道路被害を明示的にモデル化しています。物資不足率は、これら2つのライフライン被害率と備蓄パラメータαによって特徴付けられ、電気・道路の復旧速度や平時の備蓄量が避難者数推移に与える影響を定量的に評価できます。さらに、避難要因(家屋倒壊、ライフライン被害、精神的不安、物資不足)ごとに潜在避難者を個別に扱い、それぞれの特性に応じた避難継続・帰宅判断をモデル化しています。本研究成果は、2026年2月15日に「システム制御情報学会論文誌」に掲載されました。
[展開]
本研究で提案したモデルは、発災直後に入手可能な情報(地震規模、ライフライン被害率、人口など)と地域の備蓄状況から、避難者数推移を予測できます。これにより、自治体は根拠に基づいた支援物資の配分計画や避難所運営計画を立案することが可能となります。今後は、実際の震災データを用いたモデルの検証を進めるとともに、自治体との連携により実運用に向けた研究を展開する予定です。また、本モデルの枠組みは、災害対策の事前評価ツールとしても活用可能であり、備蓄推進や輸送インフラ強化などの政策効果を定量的に評価できることから、防災計画の高度化に貢献することが期待されます。
(論文情報)
論文タイトル:
インフラ環境に基づく物資不足率を考慮した避難者数推移予測モデルの構築
論文著者:
熊本大学大学院自然科学教育部(当時) 江崎美波,
熊本大学大学院自然科学教育部(当時) 笹本偉留,
熊本大学大学院先端科学研究部 岡島寛
掲載雑誌:
システム制御情報学会論文誌 2026年2月15日掲載
URL: https://www.iscie.or.jp/pub/journal
【詳細】 プレスリリース(PDF357KB)
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【お問い合わせ先】
熊本大学大学院先端科学研究部
担当:岡島 寛(准教授)
電話:096-342-3603
E-mail:okajima※cs.kumamoto-u.ac.jp
(※を@に置き換えてください)