熊本城の石垣復旧のためのマルチメディアに基づいた石垣照合技術

 熊本大学 大学院先端科学研究部 岡島寛准教授らは,熊本城の石垣照合技術に関する研究成果を発表しました。

 平成28年の熊本地震では熊本県全域で甚大な被害を受けました。この熊本地震において,熊本の象徴的シンボルである熊本城が大きな被害を受けたことから,現在,国や県市町村などが一丸となって復旧に向けた取り組みが行われています。

 石垣の復旧作業においては,熊本城の石垣が重要文化財であることから,どの石材が元々の石垣面のどの位置に配置されていたかを特定することが必要不可欠です。従来は,石垣における石材が崩落した場合には石工職人が一つ一つ目視で元所在との照合作業を行っていましたが,熊本地震で崩落した石材の数は数万個単位でこれまでにない規模の崩落であることから,従来の人力での照合では膨大な時間とコストがかかります。

 これに対して,共著者の一人である上瀧剛准教授(熊本大学大学院先端科学研究部)らによる先行研究では,石材の輪郭照合によって崩落前の位置の特定を行っています。このとき,輪郭照合は相応の成果を得ているものの似た形状の石材のマッチングは困難でした。

 本論文では,輪郭のマッチングだけでなく石材の表面積の大きさ情報の利用や,既に照合が済んでいる石材の落下位置情報の利用など,複合的な情報(マルチメディア)の利用に基づいた石垣マッチングについて検討し,複合情報の利用のアプローチとして,機械学習アルゴリズムの一種であるソフトマージンSVMを用いた石垣の照合手順を提案しています。この照合手順では,具体的には,正解がわかった石の落下位置情報をソフトマージンSVMを用いて次のプロセスに利用することで,石材の落下位置に関する情報の価値が高まり,照合を進めるにつれてより精度の高い予測が可能になります。

 照合作業を開始していない石垣は未だに多く存在しており,今後,石垣照合システムの実装を行う予定です。本研究は複合情報に基づく石垣マッチングのための照合手順を提案しており,照合を進めていく上で有益な方法を与えるものとして期待されます。

 本研究成果は、「計測自動制御学会論文集」に令和元年1216()に掲載されました。

 

論文タイトル:熊本城の石垣復旧のための複合情報に基づいた石垣マッチング

論文著者:岡島寛,竹祐亮,松永信智,上瀧剛

掲載雑誌:計測自動制御学会論文集

【詳細】

プレスリリース(PDF163KB)

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