植物の根毛側面を硬くするしくみの解明に成功~根の毛はなぜまっすぐに伸びる?~

【ポイント】

これまで根毛側面の伸長抑制メカニズムの分子機構は全く明らかになっていませんでしたが,この度,熊本大学の檜垣匠准教授は,京都府立大学の佐藤雅彦准教授を中心とする国際共同研究グループに参画し,モデル植物シロイヌナズナを用いて,根毛の微小管を制御し,側面の細胞壁を硬くすることで,根毛が細長く真っ直ぐ伸びながら,その形を維持する仕組みを解明しました。 今後,この仕組みを活用して,側面強度を増強した根毛を持つ植物体を作出することで,栄養源が乏しい土壌中から効率よく栄養を吸収できる植物体を開発できる可能性があります。

本研究成果は,国際学術誌”Nature Plants”に11月2日午後4時(GMT)にオンライン掲載されました。

【概要説明】

植物の表皮細胞の一部が管状に外側に伸びた構造体である「根毛」は,根の表面積を大きくして土壌中の水や養分を吸収する役割があります。根毛の細長い管状構造を作るためには,先端部分が伸びると同時に根毛の側面部分の伸長を抑制しないと,風船上に膨らんで細長い管状構造を形成できません。また,土の抵抗に逆らって細長く伸びるためには側面の硬さが必要です。

今回,檜垣准教授が参画した国際共同研究グループは,モデル植物シロイヌナズナを用いて

  1. リン脂質の一種,ホスファチジルイノシトール3,5-二リン酸[PI(3,5)P2]を作る酵素であるFAB1と低分子量GTPase ROP10という分子が,根毛側面の細胞膜上で複合体を形成することで,根毛側面の細胞膜直下の表層微小管の構造を安定化すること,
  2. さらにPI(3,5)P2が目印になり,細胞壁を硬くする成分を根毛側面の細胞壁に運ぶことで,根毛の細長く,真っ直ぐな構造を形成することを明らかにしました。

【論文情報】

〇論文タイトル
PI(3,5)P2 mediates root hair shank hardening in Arabidopsis

〇著者
Tomoko Hirano, Hiroki Konno, Seiji Takeda1, Liam Dolan, Mariko Kato, Takashi Aoyama, Takumi Higaki, Hisako Takigawa-Imamura, and Masa H. Sato

〇雑誌名
Nature Plants
〇doi
doi.10.1038/s41477-018-0277-8
〇URL
https://www.nature.com/articles/s41477-018-0277-8

【詳細】
プレスリリース(PDF598KB)

お問い合わせ
熊本大学国際先端科学技術研究機構
担当:檜垣 匠(准教授)
電話:096-342-3975
e-mail:thigaki※kumamoto-u.ac.jp
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