食品の抗酸化能をどこでも測定ー新たなシート型電気化学システムを開発ー
【ポイント】
- 測りたいものに浸すだけ、または1滴垂らすだけで「どこでも、すぐ」食品の抗酸化能を測定できるシステムを開発しました。
- このシステムにより、通常は複雑な作業が必要な脂溶性抗酸化能の評価、油の電気化学分析を簡単に実施することが可能になります。
- 液体に限らないサンプルからの測定も可能とする技術であり、今後は対象を肉や魚、野菜、果物、チョコレート、化粧品などに広げ、生産、製造、販売現場における品質管理への活用が期待されます。
【概要説明】
熊本大学産業ナノマテリアル研究所の國武雅司教授らの研究グループは、水と油が絡み合うように混在した液体である「両連続相マイクロエマルション(BME)」をゲル化し、シート型電極と一体化させた新しい電気化学システムを開発しました。食品に本システムを浸すだけ、または本システムに食品を1滴垂らすだけで抗酸化物質を簡便に分単位で測定できます。分析室の外で「どこでも誰でも、すぐ測れる」本システムは、農場、食品工場などの生産や製造、販売現場での品質管理や、食品の付加価値向上に活用が期待されます。
本研究成果は産業技術総合研究所、沖縄工業高等専門学校、埼玉工業大学との共同研究の成果として令和2年9月18日に科学雑誌「Analytical Chemistry」にweb掲載されました。
【論文情報】
論文名:Stand-Alone Semi-Solid-State Electrochemical Systems Based on Bicontinuous Microemulsion Gel Films
著者:Hinako Hashimoto, Kyosei Goto, Kouhei Sakata, Satoshi Watanabe, Tomoyuki Kamata, Dai Kato, Osamu Niwa, Eisuke Kuraya, Taisei Nishimi, Mitsunobu Takemoto and Masashi Kunitake*(*責任著者)
掲載誌:Analytical Chemistry
doi:10.1021/acs.analchem.0c02948
URL:https://dx.doi.org/10.1021/acs.analchem.0c02948
- プレスリリース本文(264KB)
熊本大学産業ナノマテリアル研究所
担当:國武 雅司 教授
電話:096-342-3673
e-mail: kunitake※kumamoto-u.ac.jp
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