温度によるメダカの性転換に脂肪酸受容体が関与~環境に左右される性決定の新たなメカニズムを発見!~

【ポイント】

  • 脂肪酸受容体「PPARα」*1の活性化がメダカの雄化を引き起こすことを発見しました。
  • PPARαノックアウトメダカでは、ストレス等による雄化が完全に抑制されることを明らかにしました。
  • 今回の分子機構の発見は新たな性統御技術の開発につながることが期待されます。

【概要説明】

 熊本大学大学院先端科学研究部の原誠二研究員、向井幸樹特任助教、北野健教授らの研究グループは、旭川医科大学との共同研究により、細胞内で脂肪酸を検知して生理機能の調節などを行う脂肪酸受容体の1つである「PPARα」の活性化が、メダカの雄化を引き起こすことを発見しました。本研究の成果は、令和2年7月15日に「Scientific Reports」に掲載されました。本研究は、文部科学省科学研究費補助金の支援を受けて実施したものです。

 

【展開】

 ヒラメやウナギ等の魚類養殖では、雄よりも雌の成長が速い等の理由により、雌だけを作る全雌生産の技術開発が求められています。本研究により、ストレスによる雄化を誘導する分子機構が明らかになったことから、今後はこの機構を利用した新たな性統御技術の開発が期待されます。

【用語解説】

※1 PPARα(peroxisome proliferator-activated receptor alpha):主に脂質代謝に関連する種々の遺伝子の発現を正や負に制御する核内受容体。最近では、飢餓状態での節約遺伝子として機能することが明らかとなり、脂質代謝異常を基盤に発症する生活習慣病に対する医薬品創製の分子ターゲットとして注目されている。

【論文情報】
● 論文名:Peroxisome proliferator-activated receptor alpha is involved in the temperature-induced sex differentiation of a vertebrate

● 著者名:Seiji Hara, Fumiya Furukawa, Koki Mukai, Takashi Yazawa & Takeshi Kitano(責任著者)

● 掲載雑誌:Scientific Reports(2020) 10:11672

● URL:https://doi.org/10.1038/s41598-020-68594-y

【詳細】 プレスリリース(PDF 224KB)

お問い合わせ  

熊本大学大学院先端科学研究部

担当:教授 北野 健
電話:096-342-3031
e-mail: tkitano※kumamoto-u.ac.jp
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