自動運転技術に新提案:経路に合わせた自動車速度の最適制御

 熊本大学大学院 先端科学研究部 岡島寛准教授、松永信智教授らは、自動運転の実用化に向けた最適な自動車速度の決定に関する基礎研究成果を発表しました。

 自動車の自動運転において重要な要素技術の一つに、目標とする経路に沿って追従走行させるための「追従制御」が挙げられます。経路追従制御の従来研究では、主に車両の速度を一定とした仮定の下で制御アルゴリズムが構築されています。その一方、実際の自動車の運転においてはカーブ走行時や直進走行時など、その状況に応じてアクセル操作・ブレーキ操作を行い、適度に加減速を行うのが一般的です。また、F1レースのような旋回半径が様々なコースを走行するような場合には特に加減速の調整が重要な要素となります。

 今回提案した速度制御アルゴリズムは、走行予定の経路の曲率(曲がり具合)などの情報を利用して速度を自動的に決定するアルゴリズムです。走行する経路によって安全に旋回できる速度は大きく異なり、旋回半径の小さい経路を高速度で走行するとスリップの危険がありますが、新しいアルゴリズムでは事前にそのような危険を回避するような最適な速度決定がなされます。また、先行研究で示された手法が、逐次的な最適化が必要であり実装が困難であったのに対して、提案したアルゴリズムは実時間での適切な加減速が可能で、かつ自動車制御用のマイクロコントローラに実装が容易な、簡単なアルゴリズムである点も本研究の特徴です。

 このアルゴリズムは、他の様々な自動運転用制御アルゴリズムとの併用が容易なものであり、提案した制御アルゴリズムを利用することによって、安全快適な自動運転システムの開発に有用になります。

 本研究成果は、「システム制御情報学会論文誌」に2018年7月16日(月)に掲載されました。

【論文】
論文タイトル:速度関数の最適化による車両の経路追従制御
論文著者:宮崎剛司,北原晃輔,岡島寛,松永信智
掲載雑誌:システム制御情報学会論文誌


【詳細】
プレスリリース本文(PDF 144KB)

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電力エネルギー制御システム分野
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