飛散花粉の種類と量を化学的に検知することに成功

 スギ花粉の飛散シーズンです。花粉の飛散状況の把握するため、どうやって花粉を特定するか、または数えるかをご存じでしょうか。

 現在用いられている花粉飛散量のモニタリングは、屋外に設置したプレパラートに付着した花粉を顕微鏡で数えたり、花粉によるレーザー光の散乱を計数したりするものです。前者では多大な労力が必要で、後者では花粉以外の粒子もカウントしてしまったり花粉の種別がわからなかったりと、双方とも課題があります。

 そこで熊本大学大学院先端科学研究部の戸田敬教授と佐伯健太郎大学院生らの研究グループは、花粉固有の化学物質を特定することで化学的なモニタリングが可能になるのではないかと考え、スギ、ヒノキ、マツ、クリなどの樹木ごとに特有な花粉の成分を特定しました。また、大気に浮遊する粒子を捕集したフィルターからこの花粉成分を検出することに成功し、花粉の種類の判別と花粉の飛散量の情報を得ることができるようになりました。

 今後さらなる検証を重ね、捕集と分析を自動化し、1時間毎の花粉飛散について、正確に花粉の種類と飛散量の情報を同時提供することが可能になると期待されます。

 本研究の成果は、日本の科学誌『分析化学」の「大気環境と分析化学」特集号(6月号)に掲載されます。本研究の一部は、日本学術振興会科学研究費補助金「基盤研究(B)」の支援を受けて実施しました。

【掲載誌】
分析化学
*2018年6月発刊号に掲載予定

【タイトル】
花粉飛散マーカーの探索を目的とした加熱脱着-ガスクロマトグラフィー/質量分析による花粉由来揮発性有機化合物の同定

【著者】
佐伯健太郎、溝口俊介、山崎 大、梶原英貴、大平慎一、戸田 敬

【URL】
http://www.jsac.jp/bunka

【詳細】
プレスリリース本文 (PDF 410KB)

お問い合わせ
大学院先端科学研究部(理学系)
担当:教授 戸田 敬
電話:096-342-3389
e-mail:todakei※kumamoto-u.ac.jp
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