熊本県球磨村で電動スクールバスを運行する実証事業(環境省委託事業)を開始します
このたび、環境省の「中山間地域における電動マイクロバスの評価検証委託事業 (令和3~5年度)」に、熊本大学が提案した「球磨村電動スクールバス実証事業」が採択されました。
本事業は、球磨村で小中学生の通学に使う電動スクールバスを運行し、再生可能エネルギー連系、非常電源としての活用を含めた実証試験を行って、電動スクールバスの地域での最適な運用方法を提案し、効用と価値を明らかにして、全国普及を目指す全国初の取り組みです。
全国の中山間地域では、カーボンニュートラルに加え、エネルギー地産地消、地域強靭化、過疎化や学校統廃合を受けた交通手段の確保などの地域課題がありますが、電動スクールバスは、これらの有効な解決手段であり、球磨村の創造的復興に貢献することが期待されます。
【1.事業概要】
1.事業名
環境省 中山間地域における電動マイクロバスの評価検証委託事業「球磨村電動スクールバス実証事業」
2.事業期間
R3年度~R5年度 (事業開始R4年1月)
3.受託事業者/代表者
熊本大学 / 大学院先端科学研究部 シニア准教授 松田俊郎
4. 共同実施者
熊本県(実証支援) 球磨村 (電動スクールバス運行)
【2.事業内容】
・球磨村で新型電動スクールバスを運行します。
・再生可能エネルギーを活用し、バスと地域のCO2排出量を最小とする技術を開発します。
・バスを移動可能な非常電源として利用します。
・電動スクールバスの最適な運用方法/仕様/制御を提案し、効用、コストを含めた事業性をまとめて、社会に発信します。
(「排気ガスが無い低騒音のスクールバス」、「地域のCO2削減」、「移動可能な非常電源」などの効用が期待されます。)
<補足説明> 再生可能エネルギー連系と非常電源について
・太陽光の発電量が多い日中にバスに充電した電力を走行と地域の電力として使用します。(火力割合が多い夜間の電力の使用を減らせます)
・バッテリ電力の一部を常時貯蔵し移動可能な非常電源として使います。
【3.地域で期待される効果】
・カーボンニュートラル化 ・エネルギー地産地消 ・地域強靭化
・過疎化や学校とGSの統廃合に備えたグリーンな地域交通実現
( ⇒球磨村の創造的復興に貢献することが期待されます )
【4.球磨村で実証事業を行う意義 ~脱炭素のむらづくり~】
熊本県 球磨村
【背景】
令和2年7月3日早朝。人吉・球磨地域を中心に線状降水帯が発生し、球磨川やその支流が氾濫。球磨村全域で洪水被害を受けました。
特に渡地区は浸水被害の面的範囲が広く、住家だけでなく小学校などの公的施設も浸水。生徒たちは現在も仮設住宅から一勝地地区の仮校舎への遠距離通学を余儀なくされています。
【球磨村の復興】
令和2年7月豪雨は、その後の気象庁の発表で、地球温暖化の影響とされました。
災害からの一刻も早い復旧、球磨村に住み続けたいと願う村民の気持ちを踏まえ、球磨村は令和3年3月に策定した「球磨村復興計画」において、復興に向けた主要施策として“地域コミュニティの再生と脱炭素のむらづくり”を掲げ、同年8月には村長がゼロカーボン宣言を行いました。現在、村のポテンシャルを活かした再生可能エネルギーによる発電などの取組みを始めています。
【球磨村での電動スクールバス実証事業の意義】
一般的に地球温暖化対策は5部門(家庭、産業、業務、運輸、廃棄物部門)に分類し、削減対策を検討します。
当該事業は、球磨村の現状では必要不可欠なスクールバス(運輸部門)におけるCO2排出に着目し、まずはガソリンから電気へエネルギーシフトを行うものです。村で作られた再エネ導入も視野に入れています。
子ども達が日常的に利用するバスの電化実証事業を行うことで、子ども達への環境教育にも資すると考えます。
また、狭隘で勾配の多い球磨村での実証は、全国各地の中山間地での電動マイクロバス活用の汎用的検証効果も期待されます。
熊本大学大学院先端科学研究部
担当:シニア准教授 松田俊郎
電話:096-342-3631
e-mail: toshiromatsuda※cs.kumamoto-u.ac.jp
(迷惑メール対策のため@を※に置き換えております)
熊本県
担当:環境立県推進課 江口徹
電話:096-333-2264
e-mail:kankyourikken@pref.kumamoto.lg.jp
球磨村
担当:復興推進課 友尻陽介
電話:0966-32-1114
e-mail:kikaku@kuma.kumamoto.jp