奄美大島の固有種アマミエビネの受粉生態を解明!
【ポイント】
- 奄美大島の固有種で、絶滅危惧種でもあるアマミエビネ(ラン科)の受粉生態を 自然下で初めて調べました。
- 7年間にわたる野外調査から、本種がオキナワヒゲナガハナバチただ1種に受粉を頼っていることを明らかにしました。
- 今回得られた知見をもとにして、今後も長きにわたって存続していけるよう本種の生育地保全のあり方に関する提案も行いました。
【概要説明】
熊本大学大学院先端科学研究部の杉浦直人准教授は、奄美大島の固有種で絶滅危惧種でもあるアマミエビネ(ラン科)の受粉生態を7年間(2015~2021年の3月)にわたって調査し、本種が (1)花蜜を分泌しないこと、(2)その無蜜花を誤って訪れてしまうオキナワヒゲナガハナバチだけに受粉を頼っていること、(3)受粉に成功し、実を稔らせる花の割合(稔実率)は年によって変動するものの、一貫して低いことなどを初めて明らかにしました。
また、アマミエビネの生育地である森林内には蜜源となる開花植物がなく、オキナワヒゲナガハナバチは森近くの開けた場所(林道の脇)を採餌場としていたことから、森林だけでなく近辺の植生も適切に管理していくことがアマミエビネの種子繁殖(有性生殖)機会の保証につながるとの提案も行いました。
本研究の成果は令和4年7月27日に植物学の学術雑誌「Plant Species Biology」にオンライン掲載されました。
【論文情報】
論文名:Floral and pollination biology of the critically endangered insular orchid Calanthe amamiana: Implications for in situ conservation
著者: Naoto Sugiura
掲載誌:Plant Species Biology, 37(4): 294–303.
https://doi.org/10.1111/1442-1984.12381
【詳細】 プレスリリース(PDF705KB)
お問い合わせ
熊本大学大学院先端科学研究部
担当:准教授 杉浦 直人
電話:096-342-3468
E-mail:sugiura※kumamoto-u.ac.jp
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