長距離移行性ペプチドを介した根における光合成産物の含量の制御に関する分子モデルを提唱

 新潟大学大学院自然科学研究科の岡本暁助教、川崎梓研究員、基礎生物学研究所超階層生物学センターの牧野由美子技術職員、熊本大学大学院先端科学研究部の澤進一郎教授、石田喬志准教授の共同研究グループは、ダイズとシロイヌナズナを用いた研究によってCLE2ペプチド(注1とそのホモログ(注2が根から葉に対して光合成産物を要求する長距離シグナルとして機能する可能性を見出しました。植物の成長を支える上で根の発達は重要であり、そのためには光合成を行う葉は十分な量の光合成産物を根へ供給し続ける必要があります。本研究は植物における光合成産物の分配を制御する仕組みを理解する上で重要な知見であり、農作物の環境ストレスに対する耐性や収量の改善への応用が期待されます。本研究成果は、2022514日にアメリカ植物生理学会の学会誌「Plant Physiology」の電子版に掲載されました。

【ポイント】 

  • CLE2ペプチドを根から地上部への物質輸送を行う道管(注3滲出液から検出した。
  • CLE2およびそのホモログ遺伝子は根の成長やスクロース含量に影響を与える。
  • 根におけるCLE2およびそのホモログ遺伝子が葉のSUC2スクロース輸送体遺伝子の発現量に影響する。

【用語解説】

(注1)ペプチド:2個以上のアミノ酸が結合したもの。それらの中にはホルモンとしての生理活性を示すものもある。
(注2)ホモログ:同一の祖先に由来すると考えられる相同性の高い遺伝子などの一群。
(注3)道管:根で吸収した水や無機養分などを地上部へ運ぶための通路。最近では植物ホルモン、ペプチドなどの生理活性物質も道管を介して根から地上部に輸送されることが明らかにされている。

【熊本大学の研究グループの貢献】

 本研究において熊本大学大学院先端科学研究部の澤進一郎教授、石田喬志准教授は、シロイヌナズナ遺伝子の高効率ゲノム編集法を活用し、cle1-7変異体を作製しました。CLE2とそのホモログ遺伝子全ての機能を止めた変異体の作製は難易度が高く、これまでに報告はありませんでした。

【論文情報】
論文名:Long-distance translocation of CLAVATA3/ESR-related 2 peptide and its positive effect on roots sucrose status
著者:Satoru Okamoto(岡本暁)、Azusa Kawasaki(川崎梓)、Yumiko Makino(牧野由美子)、Takashi Ishida(石田喬志)、Shinichiro Sawa(澤進一郎)
掲載誌:Plant Physiology
doi: 10.1093/plphys/kiac227

【詳細】

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熊本大学大学院先端科学研究部
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