現在位置: ホーム お知らせ お知らせ(自然科学系) 家庭でも失敗しない、ラン人工栽培キットの開発—種子発芽から開花まで—

家庭でも失敗しない、ラン人工栽培キットの開発—種子発芽から開花まで—

 熊本大学大学院先端科学研究部の澤進一郎教授の研究グループが、伊勢原市の稲垣精秋氏、徳島市の福永裕一氏と共同で、栽培の難しいランを種から簡単に育てることができる人工栽培キットの開発と、そのキットを用いた共生菌の同定に成功しました。

 ランは世界で最も種数の多い園芸植物として知られており、独特で優雅な花を咲かせ人々を魅了しています。品種改良もすすんでおり、胡蝶蘭やカトレアなど数多くの園芸品種が知られ、贈答用としても頻繁に利用されています。しかし、ランの育成はとても難しいとされています。一般的には、苗を購入し開花を目指して育成する事になりますが、年単位の時間を要することもあります。労力もかかるうえ、温室などの設備が必要な場合もあり、高価な富裕層向けの園芸植物、というイメージを持たれることの多い植物です。また、ランの種子は入手も困難ですが、種子を持っていたとしても、一般家庭でランの種子を発芽させることは極めて難しいとされています。このため、一般の方でランを発芽から開花まで育てた経験を持つ方はほとんどいないのではないでしょうか。
 今回、私達はラン科植物のヤツシロランに着目し、種子発芽から開花・結実まで可能にする「ラン人工栽培キット」を開発し、完全人工栽培に成功しました。このキットを用いれば、だれでも、高価な設備を使うこと無く、ごく一般のご家庭で、ランの完全栽培が可能です。自然界でもランの花は年1回咲くことができれば良い方ですが、我々の「ラン人工栽培キット」を用いた場合、最短、発芽後5ヶ月程度(154日)で開花し、1個体から年3回の開花にいたった例も確認しました。今回の「ラン人工栽培キット」は、たった数百円程度の投資で誰でも作ることができるため、一般家庭でのラン栽培の幅を広げることができます。また、研究や商業育種にも応用できることに加えて、多くが絶滅の危機にあるラン科植物種の遺伝的多様性を保全するためにも役立てることができると考えています。

 本研究成果は平成29年3月9日〜12日開催の日本植物分類学会第16回大会(京都)で発表され、平成29年9月16日(日本時間9月17日)に科学雑誌「International Journal of biology」に論文が掲載されました。

 

【雑誌名】
International J. of biology

【論文名】
“Artificial Cultivation System for Gastrodia spp. and Identification of Assosiated Mycorrhizal fungi”
“ヤツシロランの人工栽培システムおよび菌根菌の同定”

【著者名】
Chie Shimaoka1, Hirokazu Fukunaga2, Seishu Inagaki3, and Shinichiro Sawa1

1 Graduate School of Science and Technology, Kumamoto University,Kumamoto,  Kumamoto, Japan
2 Tokushima-cho, Tokusima, Japan
3 Isehara, Kanagawa, Japan

【詳細】プレスリリース本文(PDF 310KB)
 

お問い合わせ
熊本大学大学院先端科学研究部
担当:教授 澤 進一郎
e-mail:sawa※kumamoto-u.ac.jp
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