大腸菌の酵素が変異原性ヌクレオチドを分解する仕組みを解明 −酵素反応を原子レベルで可視化−

【ポイント】

    • 突然変異を抑える大腸菌の酵素MutTが、DNAの材料となる変異原性ヌクレオチドを分解する様子を原子レベルで観察しました。
    • MutTは、3つの金属イオンと結合することで、水分子を変異原性ヌクレオチドに反応させて分解することを明らかにしました。
    • MutTと共通した構造的特徴を持つ酵素は、生物界に数多く存在するため、これら酵素反応機構の理解に活用されることが期待されます。
    【概要説明】

 熊本大学大学院生命科学研究部(薬学系)の中村照也准教授と熊本大学名誉教授で尚絅大学・尚絅大学短期大学部の山縣ゆり子学長は、突然変異を抑える大腸菌の酵素MutTが、活性酸素種によって生じる変異原性ヌクレオチドを分解する様子を原子レベルで観察し、その分解反応の仕組みを明らかにしました。生物の細胞代謝に関わる酵素の中には、MutTと共通した構造的特徴を持つものが数多く存在するため、本研究は、これら酵素反応機構の理解に活用されることが期待されます。本成果は、令和4年5月20日に米国の科学誌Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of Americaにオンラインで発表されました。本研究は、日本学術振興会卓越研究員事業、科学研究費補助金、鈴木謙三記念医科学応用研究財団、熊本大学めばえ研究推進事業の支援を受けて実施されました。


【論文情報】
論文名:Visualization of mutagenic nucleotide processing by Escherichia coli MutT, a Nudix hydrolase
著者:Teruya Nakamura (責任著者) and Yuriko Yamagata
掲載誌:Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
doi:10.1073/pnas.2203118119


【詳細】 プレスリリース(PDF360KB)

お問い合わせ

熊本大学大学院生命科学研究部(薬学系)
担当:准教授 中村 照也
電話:096-371-4638
E-mail:tnaka※gpo.kumamoto-u.ac.jp

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