高月清名誉教授が令和元年度熊本県近代文化功労者に決定

 令和元年度熊本県近代文化功労者に高月 清(たかつき きよし)名誉教授が選ばれ、11月2日に県庁地下大会議室にて顕彰式が行われました。
 同功労者の顕彰は昭和23年度に始まり、県出身者か在住者が対象(故人含む)で、教育・学術・芸術・宗教・産業など各分野で顕著な功績をあげた方を顕彰するものです。
 高月名誉教授は、優れた臨床的洞察から成人T細胞白血病(adult T-cell leukemia: ATL)を独立した疾患として報告し、その地域集積性からウイルスの関与を予見しました。動物においては発がん性を有するレトロウイルスが次々に同定され、がん遺伝子の発見へと繋がりましたが、ヒトではがんに関連するレトロウイルスは見つかっていませんでした。その後、ヒトT細胞白血病ウイルスが発見され、ATLはヒトにおいてレトロウイルスが関係する初めての疾患となりました。高月名誉教授の研究によって、ATLの疾患概念が確立するとともに、レトロウイルスが関与する疾患の全貌が明らかとなり、この業績は、世界の臨床医学のみならず基礎医学においても大きな影響を及ぼしました。
 高月名誉教授は、熊本大学医学部内科学第二講座教授、熊本大学医学部附属病院長を歴任し、多くの医師や医学研究者を育成するとともに、文部科学省の科学研究費重点領域研究「エイズ制圧に向けての基礎研究」の代表者等、数々の研究班のリーダーを務め、我が国におけるレトロウイルス研究の基礎を築かれました。 これらの功績により、令和元年度熊本県近代文化功労者に決定されました。

 

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顕彰式挨拶をする高月名誉教授

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顕彰式の様子(前列中央:高月名誉教授)

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高月名誉教授(前列)と本学関係者(後列)
(後列左から、松下修三ヒトレトロウイルス学共同研究センター教授、
二塚信熊杏会会長、松岡雅雄血液内科・膠原病・感染症内科学講座教授)

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