難病「ミトコンドリア病」発症の原因解明!臨床試験へ向けた薬剤開発に成功

ミトコンドリア病は遺伝子の変異が原因で起こる病気で、全身の筋力低下や心臓機能の低下などの症状(ミトコンドリアミオパチー)が見られます。10万人に9〜15人程発症する病気です。症状の重症度は様々で、軽度なものから死に至るものまであります。例えば、MELASと呼ばれるタイプの場合、発症後5年程度で多くの方が亡くなられます。未だ治療法が無く、国から難病に指定されている病気です。なぜ特定の遺伝子に変異があるとミトコンドリアミオパチーを発症するのかその分子機構は不明でした。今回、その発症機構を解明しました。さらに、その発症の原因を押さえる薬剤の開発にも成功し、臨床試験を検討中です。
細胞内に存在するミトコンドリアは、すべての細胞のエネルギーであるATPを産生する場所です。今回、我々はミトコンドリア病の患者では、ある酵素の活性が低下していることを突き止めました。この酵素活性が低下すると、ミトコンドリアにおいてATPを産生するために必要な蛋白質を正確に作ることができないため、ATPの産生が低下することが明らかになりました。そのため、体内でエネルギーが多く必要である組織である筋肉や心筋の働きが低下することを明らかにしました。

本研究成果は、3月4日AM2:00(日本時間)世界的に有名な米科学誌「セル」の姉妹紙「セル・メタボリズム」の電子版に掲載されました。
(URL: http://www.cell.com/cell-metabolism/abstract/S1550-4131(15)00052-2
【論文タイトル】
「Cdk5rap1-Mediated 2-Methylthio Modification of Mitochondrial tRNAs Governs Protein Translation and Contributes to Myopathy in Mice and Humans」

【詳細】 プレスリリース本文 (PDF 164KB)

お問い合わせ
熊本大学大学院生命科学研究部(医学系)
担当:富澤 一仁(分子生理学・教授)
電話:096-373-5050
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