炎症の回復期に出現し、組織修復を促す新しい免疫細胞を発見 〜炎症性疾患や組織傷害の新たな治療標的として期待〜

【ポイント】

  • 炎症や組織傷害の回復期に骨髄で産生される、新たな単球細胞を発見した。
  • この単球細胞は組織傷害部位に集積し、炎症抑制や組織修復を担う。
  • この細胞を欠損したマウスでは、腸炎からの回復が有意に遅延する。

【概要】
 東京薬科大学 生命科学部 免疫制御学研究室の池田直輝 大学院生(現 北海道大学 遺伝子病制御研究所 助教)、浅野謙一准教授、田中正人教授の研究グループは、理化学研究所(福山英啓副チームリーダー、岡村千絵子テクニカルスタッフ、渡辺貴志上級研究員)兵庫医科大学(大村谷昌樹教授)熊本大学 (荒木喜美教授)と共同で、炎症や組織傷害の回復期に出現する新しい単球細胞を発見しました。この細胞は、健常時や炎症・組織傷害の急性期にはほとんど存在しませんが、回復期になると骨髄で盛んに作られ、血液中に送りだされます。この単球細胞が組織傷害部位に集積すると、炎症抑制や組織修復に関わるタンパク分子を産生し、傷ついた組織の修復に寄与します。この単球細胞を消去したマウスでは、腸炎の回復が遅延したことから、この細胞が炎症収束や組織修復に担う役割の重要性が証明されました。本研究成果は、2018年10月5日に米国科学誌「Science Immunology」に掲載されました。

【発表雑誌】
雑誌名:Science Immunology
論文名:Emergence of immunoregulatory Ym1+Ly6Chi monocytes during recovery phase of tissue injury
著者:池田直輝、浅野謙一、菊池健太、内田吉美、池上大貴、高木諒、四元聡志、澁谷拓未、
岡村千絵子、福山英啓、渡辺貴志、大村谷昌樹、荒木喜美、西躰元、田中正人
掲載日:2018年10月5日


【詳細】
  プレスリリース本文(PDF1134KB)

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