冠動脈疾患治療における世界初のエビデンスが世界最高峰の医学雑誌The New England Journal of Medicineに掲載
国立循環器病研究センター 小川久雄理事長、安田聡副院長、熊本大学大学院生命科学研究部 循環器内科学 海北幸一准教授、地域医療・総合診療実践学寄附講座 松井邦彦特任教授を主要メンバーとする日本人研究グループは、心房細動を合併した安定冠動脈疾患患者における新しい治療概念のエビデンスを提唱しました。従来、心房細動を合併した安定冠動脈疾患患者においては、複数の抗血栓療法治療薬が必要と考えられてきましたが、むしろ薬剤を絞り込み単剤とした治療のほうが心血管イベントの発生を増加させることなく出血性イベントを有意に減らすことを世界で初めて明らかにしました。小川理事長は、熊本大学大学院生命科学研究部循環器内科学教授として在職中に、海北准教授、国立循環器病研究センターの安田副院長とともに、大規模臨床研究であるAFIRE研究(Atrial Fibrillation and Ischemic events with Rivaroxaban in patiEnts with stable coronary artery disease Study)を立ち上げ、2015年から症例登録を開始しました。2016年からは小川前教授の国立循環器病研究センター理事長就任により、安田副院長が主任となり、研究を遂行しました。
このAFIRE研究は、本邦の294施設が参加して行われたランダム化比較試験で、登録総数2,240例中熊本大学からは29例が登録されました。新規性とエビデンスレベルの高さから、世界医学雑誌ランキング総合医学部門で第1位 (2018年journal impact factor 70.670) にランクされているThe New England Journal of Medicine(NEJM)誌に2019年9月2日付で掲載されました。NEJM誌は、日本のすべての医学分野から年間1~2本しか採択されない雑誌であり、本研究は循環器多施設大規模臨床研究では日本初の成果です。海北准教授は、本論文の第二著者として貢献しました。
【論文情報】
論文名:Antithrombotic Therapy for Atrial Fibrillation with Stable Coronary Disease
掲載誌:The New England Journal of Medicine
著者:Satoshi Yasuda, M.D., Ph.D., Koichi Kaikita, M.D., Ph.D., Masaharu Akao, M.D., Ph.D., Junya Ako, M.D., Ph.D., Tetsuya Matoba, M.D., Ph.D., Masato Nakamura, M.D., Ph.D., Katsumi Miyauchi, M.D., Ph.D., Nobuhisa Hagiwara, M.D., Ph.D., Kazuo Kimura, M.D., Ph.D., Atsushi Hirayama, M.D., Ph.D., Kunihiko Matsui, M.D., M.P.H., and Hisao Ogawa, M.D., Ph.D. for the AFIRE Investigators
Doi:10.1056/NEJMoa1904143
URL:https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1904143
【詳細】
プレスリリース本文(PDF769KB)
熊本大学大学院生命科学研究部 循環器内科学
准教授 海北幸一
電話:096-373-5175
e-mail::kaikitak※kumamoto-u.ac.jp
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