子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査) 妊娠中の食事の地中海食指標と4歳時点での1型アレルギー罹患の関係について

【ポイント】

  • 妊娠中の地中海食摂取は4歳時点での喘息罹患率を低下させる。
  •  地中海食による健康効果の評価では、適切な指標と基準値を選択する必要がある。
  • 地中海沿岸地域以外でも、地中海食スコアを適用した解析が可能である。

【概要説明】

 南九州・沖縄ユニットセンター(熊本大学)の大学院医学教育部修士課程2年(当時)の中野魁太、助教の倉岡将平らの研究チームは、エコチル調査の46,532組のデータから妊娠中の地中海食スコアと4歳時点の1型アレルギー罹患の関係について解析しました。その結果、妊婦用に調整された地中海食指標にて高得点群の母親からの出生児では、4歳時点での喘息罹患率が低いことが明らかになりました。また、本研究では地中海食指標および指標配点の基準値の選択によって結果が異なることが示されました。この結果により、健康食としての地中海食研究の発展ならびに妊娠中の適切な食生活の提言につながることが期待されます。
 本研究の成果は、令和5年4月5日付で栄養学分野の学術誌「Nutrients」に掲載されました。
 ※本研究の内容は、すべて著者の意見であり、環境省及び国立環境研究所の見解ではありません。

【今後の展開】

 妊娠中の地中海食がこどもの健康にどのように影響するのか引き続き調査を継続していきます。また、こども自身の食生活についても検討することで、更なる関連性についても明らかとなることが期待されます。さらに、地中海食の摂取がどのようなメカニズムで影響を与えるのかについて、摂取食品のひとつひとつを詳細に解析することで、健康的な食生活に関する適切な指標の提言につながると考えられます。
 エコチル調査では引き続き、子どもの発育や健康に影響を与える化学物質等の環境要因が明らかとなることが期待されます。


【論文情報】

題名(英語):Relationship between the Mediterranean Diet Score in Pregnancy and the Incidence of Asthma at 4 years of Age: The Japan Environment and Children’s Study

 著者名(英語):Kaita Nakano1,2, Shohei Kuraoka1,2, Masako Oda1, Takashi Ohba1,3, Hiroshi Mitsubuchi1,4, Kimitoshi Nakamura1,2, Takahiko Katoh1,5, and the Japan Environment and Children’s Study (JECS) Group6

1熊本大学大学院生命科学研究部附属 エコチル調査南九州・沖縄ユニットセンター

2熊本大学大学院生命科学研究部 小児科

3熊本大学大学院生命科学研究部 産婦人科

4熊本大学病院 新生児科

5熊本大学大学院生命科学研究部 公衆衛生学

6グループ:エコチル調査運営委員長(研究代表者)、コアセンター長、メディカルサポートセンター代表、各ユニットセンターから構成

<著者日本語表記>中野魁太、倉岡将平、小田政子、大場隆、三渕浩、中村公俊、加藤貴彦

掲載誌:Nutrients

DOI: 10.3390/nu15071772
【詳細】 プレスリリース(PDF511KB)



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<熊本大学SDGs宣言>

お問い合わせ
熊本大学大学院生命科学研究部
担当:助教 倉岡将平
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E-mail:skuraoka※kuh.kumamoto-u.ac.jp

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