線虫を使った健康寿命のミニ集団解析―健康寿命を延伸する物質や遺伝子の探索を可能に―

【ポイント】

  • 線虫を用いて健康寿命を評価する自動測定システム「C-HAS」の開発に成功しました。
  • C-HASを用いると、特定の線虫の集団を寿命の質的相違に基づき分類する、ミニ集団解析(平均的に生きる集団、健康長寿の集団、健康で早死にする集団、不健康期間が長い集団)が可能となります。
  • 線虫とヒトの寿命を決定するメカニズムは類似点が多いため、C-HASを活用することで、ヒトの健康寿命を延伸する薬や食品を簡便に見つけることが可能となり、創薬研究・健康食品への応用が期待されます。

【概要】

 熊本大学大学院生命科学研究部(薬学系)遺伝子機能応用学研究室の首藤剛 准教授、中野義雄 大学院生、森内将貴 大学院生(2019年度修了)、および大学院先端科学研究部の上瀧剛 准教授らは、線虫を用いて健康寿命を評価する自動測定システム(C-HAS: C. elegans Health life span Auto-monitoring System)の開発に成功しました。

 健康寿命とは、平均寿命から日常的・継続的な医療・介護に依存して生きる期間を除いた期間のことを指し、寿命の質の指標となります。一般に、ヒトや実験動物等を用いて健康寿命を評価しようとすると、相当な時間を要することや、評価の指標が曖昧であるなどの問題があります。首藤准教授らは、寿命に関して、ヒトと共通性の高い実験動物である"線虫"に着目し、線虫の健康寿命を測定するための評価システムの妥当性の検証と精度向上を行い、結果として、健康寿命に影響を与える因子や薬を網羅的に探索するシステム「C-HAS」を構築しました。C-HASを用いると、特定の線虫の集団を寿命の質的相違に基づき分類する、ミニ集団解析(平均的に生きる集団、健康長寿の集団、健康で早死にする集団、不健康期間が長い集団)が可能となり、ヒトの集団解析にかかる時間を圧倒的に短縮することができます。今回の研究成果は、日本を含む世界各国の国策である健康寿命延伸のための基盤的技術を提供するものであり、健康寿命の延伸を企図した創薬または健康食品の開発への応用が期待されます。

 本研究の成果は、薬理学の分野で定評のある国際学術誌「Journal of Pharmacological Sciences」に令和21229日にオンラインで公開されました。


 
【論文名】
Intrapopulation analysis of longitudinal lifespan in C. elegans identifies W09D10.4 as a novel AMPK-associated healthspan shortening factor

【著者名・所属】

Yoshio Nakano, Masataka Moriuchi, Yutaro Fukushima, Kyotaro Hayashi, Mary Ann Suico, Hirofumi Kai, Go Koutaki, Tsuyoshi Shuto* (*責任著者)

【掲載雑誌】 Journal of Pharmacological Sciences

doi】 https://doi.org/10.1016/j.jphs.2020.12.004

【URL】  https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1347861320301237

【詳細】 プレスリリース本文 (PDF 758KB)

お問い合わせ  

熊本大学大学院生命科学研究部附属
グローバル天然物科学研究センター
大学院薬学教育部 遺伝子機能応用学研究室
担当:首藤剛 (准教授)
電話: 096-371-4407 
e-mail: tshuto※gpo.kumamoto-u.ac.jp
(※を@に置き換えてください)