史上最大の電波望遠鏡で宇宙のはじまりを探る

次世代センチ波メートル波電波望遠鏡Square Kilometre Array (SKA)の建設が国際的に計画されており、昨年よりこのSKAを用いてどのような研究ができるかを検討してきた。その結果、天文学・宇宙物理学の究極の目標である宇宙のはじまり、インフレーションについて理解する上で決定的に重要な「密度ゆらぎの非ガウス性」に関する知見が得られることが明らかにされた。

SKAは2000台もの電波望遠鏡を3000kmに渡って配置し、お互いを接続することによって1つの巨大な望遠鏡として利用する電波干渉計の将来計画であり、南アフリカ共和国を中心とするアフリカ大陸とオーストラリアに建設される予定です。この計画はイギリス、オーストラリア、南アフリカ共和国、中国などを含む11か国の国際チームによって推進されているが、日本は現在参加を検討している段階です。高橋は個人として国際SKA宇宙論チームに参加しており、SKAを用いた研究計画の検討に協力してきました。
国際SKA宇宙論チームのここ1年にわたる集中的な研究と議論により、SKAによって100億個もの銀河を観測して宇宙の地図を作り、その分布の様子を解析することによって「密度ゆらぎの非ガウス性」を測ることができる可能性があることがわかりました。
現在の宇宙の構造の種は、宇宙初期に起こった「インフレーション」と呼ばれる加速膨張期の量子論的ゆらぎによって生成されたと考えられているが、その詳細はまだわかっていません。今回SKAによって測定の可能性が示された「密度ゆらぎの非ガウス性」はインフレーションがどのように起こったかについて大きな手かがりになるものであり、宇宙のはじまりの謎を解くための有力なヒントが得られると期待されます。

本研究成果は、5月に学術書の一部として出版されますが、プレプリント(URL: http://arxiv.org/list/astro-ph/new )ですでに公開されています。
(このプレスリリースは世界各国でほぼ同時に行なわれるものです。)

【参考】
SKAウェブページ(URL: https://www.skatelescope.org/
SKAウェブページ内でこのプレスリリースに関連する記事 (URL: https://www.skatelescope.org/news/astronomers-map-universe-with-ska/

詳細: プレスリリース本文 (PDF 263KB)

お問い合わせ
大学院自然科学研究科
担当:准教授 高橋 慶太郎
電話:096-342-3352
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