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頭頸部癌患者に対するペプチドワクチン投与で大きな成果!!

他に治療法がない進行性の頭頸部癌患者に対して、癌細胞に特有に発現する癌抗原ペプチドをワクチンとして投与する医師主導第II相臨床研究を実施したところ、癌患者に癌細胞を攻撃する免疫反応の増強を誘導することができ、癌患者の生存期間を延長することができた。

 熊本大学大学院生命科学研究部・歯科口腔外科学分野の篠原正徳 前教授(現名誉教授)、吉武義泰 前助教(現非常勤医師)、中山秀樹 講師、平木昭光 講師、福間大喜 特任助教および湯野晃 医員らは、同大学生命科学研究部・免疫識別学分野の西村泰治 教授、シカゴ大学医学部(前東京大学医科学研究所・ヒトゲノム解析センター長)の中村祐輔 教授らとの共同臨床研究として、他に治療法がないと宣告された進行性の頭頸部癌患者に、癌細胞に特有に発現する癌抗原ペプチドのワクチン療法を施行することにより、癌細胞を殺すキラーT細胞の免疫反応を著明に増強させ、一部の患者の生存期間を延長することができました。 
 篠原正徳 前教授(現名誉教授)、西村泰治 教授と中村祐輔 教授は、頭頸部癌のペプチドワクチン療法について、13年間共同研究を続けて参りました。最初は口腔癌に特異的に発現し癌の目印となる癌抗原の同定から始まり、その後、癌細胞を殺す免疫細胞「キラーT細胞」を活性化する、3種類の異なる癌抗原が分解されて出来るペプチドを同定することに成功しました。このペプチドは、日本人の約60%が所有しているHLA-A24という遺伝子を持っている患者にのみ有効です。HLA-A24は、癌抗原ペプチドを結合して癌細胞の表面に発現しています。このペプチドをHLA-A24を持っているの癌患者にワクチンとして投与すると、体内で樹状細胞などの抗原提示細胞の表面に発現するHLA-A24に結合して、癌細胞表面のHLA-A24と癌抗原ペプチドを認識して、癌細胞を殺すキラーT細胞を誘導することにより、これらの癌抗原ペプチドで癌を治療できると考えました(図1)。
 そこで本学の倫理委員会の承認を得て、また臨床研究の全国的な登録を済ませたうえで、HLA-A24遺伝子を持つ頭頸部癌患者に上記の3種類の癌抗原ペプチドの混合ワクチンを投与し、その安全性や許容性、治療効果などを確認するための医師主導型臨床研究を、2008年から開始しました。2008年12月11日に最初の患者に投与したのをスタートとして、5年間で約60名の患者の協力を得て、本治療法の効果について、下記のように統計学的に有効性を証明することが出来ました。

 今回は“他に治療法がない”と宣告された、進行性の頭頸部扁平上皮癌患者(主に口腔癌患者)37名に対して、われわれが同定した3種類の癌特異的抗原由来で免疫反応を誘導しやすいペプチドを用いた免疫療法を施行しました。その結果、患者の体内に癌抗原ペプチドを認識して、癌細胞を殺すキラーT細胞の増加を認め、一部の患者で生存期間の延長が観察されました。
 この臨床研究に関する研究成果が、米国癌学会が発刊している癌の臨床研究に関する有力学術雑誌である、Clinical Cancer Research誌 (Impact factor=8.2) (フィラデルフィア時間 平成26年11月12日午前10時)にWeb上で公開されました。(URL http://clincancerres.aacrjournals.org/content/early/recent)
 今回の研究成果は、これらの癌抗原ペプチドを用いた新しい癌治療法の発展につながり、頭頸部癌患者さんへの福音となるものと期待しております。

 なお本研究は、文部科学省・科学研究費助成事業の新学術領域研究、基盤研究(B)、挑戦的萌芽研究、厚生労働省・厚生労働科学研究委託費、および民間企業との共同研究による研究費の支援を得て実施されたものであります。

詳細:プレスリリース本文(PDF 530KB)

【研究内容に関する問い合わせ先】
熊本大学大学院生命科学研究部 免疫識別学分野
担当:教授 西村 泰治(にしむら やすはる)
電話:096-373-5310
e-mail:mxnishim※kumamoto-u.ac.jp
    (※を@に置き換えてください)

 

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