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新薬で急性心筋梗塞後の心破裂を防ぐ!-抗心不全薬の新たなる可能性-

 熊本大学大学院生命科学研究部 循環器内科学(辻田賢一教授)の石井正将医師、海北幸一准教授、国立循環器病研究センターの小川久雄理事長らは、抗心不全薬として海外で使用されている新薬「LCZ696」に急性心筋梗塞※1後の心破裂※2と心不全を防ぐ作用があることを基礎的研究によって明らかにしました。
 新薬LCZ696は、従来の降圧薬である「バルサルタン」と、臓器保護的な作用をもたらすネプリライシン阻害薬「サクビトリル」を組み合わせた新規の薬剤です。欧米では、心臓の収縮力が低下した慢性心不全の治療薬の第一選択としてガイドラインで推奨されており、大規模臨床試験によって心臓死および心不全による入院を少なくすることが証明されています。
 今後の日本において心不全患者が増加していくことが予想されておりますが、この新薬LCZ696は慢性心不全患者の予後を改善する新たな治療薬として期待されている薬剤です。慢性心不全の原因として虚血性心疾患、とりわけ心筋梗塞が多いことが報告されておりますが、今回の研究により、その心筋梗塞に対してもLCZ696が予後を改善する可能性を持つことが明らかになりました。今後の臨床応用が期待されます。
 本研究成果は、ヨーロッパ心臓病学会2017年年次集会のHotlineセッションで発表され、科学雑誌「JACC; Basic to Translational Science」オンライン版に世界標準(UTC)時間の2017年8月28日(月曜日)に掲載されました。

 

※1 急性心筋梗塞
心臓に栄養を送る血管である冠動脈が突然閉塞することで、心臓の筋肉(心筋)への栄養が途絶え、心筋細胞が壊死する病気のこと。梗塞の範囲が広くなると心筋の収縮する力は低下して心筋のポンプとしての作用が低下し、心不全の状態となる。

※2 心破裂
心筋梗塞の合併症の一つで、心筋の壊死を起こした部分と、壊死を起こしていない部分との境目で心筋の壁が裂けて出血すること。心筋梗塞で死亡する原因の10%が心破裂によるものとされている。

 

【論文名】
Cardioprotective Effects of LCZ696 (sacubitril/valsartan) After Experimental Acute Myocardial Infarction

【著者名(*責任著者)】
Masanobu Ishii, Koichi Kaikita*, Koji Sato, Daisuke Sueta, Koichiro Fujisue, Yuichiro Arima, Yu Oimatsu, Tatsuro Mitsuse, Yoshiro Onoue, Satoshi Araki, Megumi Yamamuro, Taishi Nakamura, Yasuhiro Izumiya, Eiichiro Yamamoto, Sunao Kojima, Shokei Kim-Mitsuyama, Hisao Ogawa, Kenichi Tsujita

【掲載雑誌】
JACC: Basic to Translational Science

【詳細】プレスリリース本文(PDF 483KB)

お問い合わせ
熊本大学大学院生命科学研究部
循環器内科学
担当:
教授  辻田賢一(つじたけんいち)
准教授 海北幸一(かいきたこういち)
電話: 096-373-5175
e-mail: kaikitak※kumamoto-u.ac.jp
(※を@に置き換えてください)

 

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