現在位置: ホーム お知らせ お知らせ(生命科学系) 【お酒に弱い人は脂肪肝に注意!】遺伝的に活性アルデヒドを分解する酵素の働きが低い人は飲酒習慣がなくても脂肪肝を発症しやすいことを証明

【お酒に弱い人は脂肪肝に注意!】遺伝的に活性アルデヒドを分解する酵素の働きが低い人は飲酒習慣がなくても脂肪肝を発症しやすいことを証明

熊本大学大学院生命科学研究部(薬学系)薬物治療学分野の鬼木健太郎助教、守田和憲氏(博士課程3年) 、猿渡淳二准教授らは、同(医学系)消化器内科学分野・渡邊丈久助教、佐々木裕教授、日本赤十字社熊本健康管理センター・大竹宏治医師、緒方康博所長らとの共同研究により、遺伝的に活性アルデヒドを分解する酵素の働きが低い人(お酒に弱い人)は、飲酒習慣*1がなくても脂肪肝の発症リスクが高いことを、人間ドック受診者を対象とした臨床研究により初めて明らかにしました。

 アルコールの多飲(習慣的飲酒)は脂肪肝を引き起こすことがよく知られていますが、それ以外にも食べ過ぎや運動不足等が原因で肝臓に中性脂肪が溜まり肝機能障害を引き起こす“非アルコール性脂肪性肝疾患*2”が、近年の食の欧米化に伴い日本で増加傾向にあります。非アルコール性脂肪性肝疾患は自覚症状が少ないため見過ごされやすく、進行した状態(肝硬変等)で発見されることも多いことから、早期発見・予防が重要です。
 アルデヒド脱水素酵素 2(ALDH2:aldehyde dehydrogenase 2)は、アルコールを分解する際に生成されるアセトアルデヒド*3をはじめ、肝障害の原因となる種々の活性アルデヒドを分解する酵素です。この酵素の活性(働き)が遺伝的に低い人は、飲酒に伴う顔面紅潮や気分不良を引き起こしやすく、飲酒量は減少します。一方、ALDH2の活性が遺伝的に高い人(お酒に強い人)は、多量飲酒によるアルコール性の脂肪肝といった飲酒関連疾患のリスクが高いとされてきました。近年のマウスを用いた研究では、アルコール摂取の有無に関わらずALDH2の働きを活性化させると肝臓への中性脂肪の蓄積が抑えられることがわかり、飲酒が関係しない非アルコール性脂肪性肝疾患の発症とALDH2遺伝子型の間に関連性があると考えられます。しかしながら、これまでこのような報告はありませんでした。
 本研究では、ALDH2の低活性遺伝子型の人(お酒に弱い人、日本人の約半数)は、たとえお酒を飲まなくても、食生活の乱れや運動不足等により脂肪肝を発症しやすく、さらに、肝機能検査値 γ(ガンマ)-グルタミルトランスフェラーゼ( γ -GTもしくは γ -GTPと表記される)*4がそれほど高くなくても、脂肪肝の発症リスクが高くなることを示しました。以上より、ALDH2の低活性遺伝子型の人に対する脂肪肝予防のための γ -GTPの継続的なチェックや、生活改善等の積極的介入が望まれます。
 本研究の成果は2016年5月23日に英国科学誌「Nutrition & Diabetes」に発表されました。

*1 飲酒習慣
一日の平均アルコール摂取量が男性30g 以上、女性20g 以上
アルコール30g は日本酒1 合又はビール大瓶1 本に相当する
*2 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD: non-alcoholic fatty liver disease)
肝臓に中性脂肪が沈着して肝障害をきたす疾患の総称であり、飲酒によって引き起こされる肝障害や、ウイルス性、自己免疫性の肝疾患は除外される
*3 アセトアルデヒド
活性アルデヒド(有害物質)の一種であり、飲酒後に体内のアルコールを分解する際に生成される顔面紅潮や気分不良の原因物質
*4 γ(ガンマ)-グルタミルトランスフェラーゼ
( γ -GT:γ -glutamyltransferase 又はγ -GTP:γ -glutamyltranspeptidase)
肝障害や飲酒量の指標として日常診療に用いられている検査値であり、その基準値は施設によって異なるものの、一般的に70 IU/L 以下とされる

【 論文名】
The longitudinal effect of the aldehyde dehydrogenase 2 *2 allele on the risk for non-alcoholic fatty liver disease

【掲載雑誌】
Nutrition & Diabetes (2016) 6, e210

【著者名・所属】
鬼木健太郎1*、守田和憲1*、渡邊丈久2、梶原彩文1、大竹宏治3、中川和子1, 4、佐々木裕2、緒方康博3、猿渡淳二1,4†
1熊本大学大学院生命科学研究部(薬学系)薬物治療学分野
2熊本大学大学院生命科学研究部(医学系)消化器内科学分野
3日本赤十字社熊本健康管理センター
4熊本大学薬学部附属育薬フロンティアセンター
論文の筆頭著者(equally contributor)
論文の責任著者

【詳細】プレスリリース本文(PDF 125KB)

 

お問い合わせ
熊本大学大学院生命科学研究部(薬学系)
薬物治療学分野 助教
担当:鬼木 健太郎(オニキ ケンタロウ)
電話:096-371-4512
e-mail:oniken※kumamoto-u.ac.jp
(メール送信の際は※を@に置き換えてください)

 

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