精子の形成に必要な減数分裂組換えの仕組みを解明ーDNA損傷修復にかかわる新規遺伝子を発見ー

【ポイント】

・精子が作られる際の減数分裂組換えに働く新しい遺伝子を特定しました。

・C19ORF57とよばれる遺伝子は、がん抑制遺伝子「BRCA2」の働きを借りて減数分裂組換えの過程で生じるDNA損傷を修復する役割を果たすことを明らかにしました。

・C19ORF57遺伝子に障害がおきると精子が作られず不妊となることを明らかにしました。

【概要】

 熊本大学発生医学研究所の石黒啓一郎准教授のグループは、精子の形成に必要な減数分裂組換えをコントロールする新しい遺伝子を発見しました。これまで、精子が作られる際に生じるDNA損傷を修復する仕組みの詳細は明らかになっていなかったため、今後の無精子症や精子形成不全を示す不妊症の原因解明などの生殖医療の進展につながる可能性があります。

 本研究成果は、令和2526日(火)11時(米国東部時間)に、世界的権威のある米国Cell Press社が刊行する科学学術誌「Cell Reports」のオンライン版に掲載されました。本研究は文部科学省 科学研究費助成事業 新学術領域研究(非ゲノム情報複製)の支援を受けて実施したものです。


【論文名】: Meiosis-specific factor C19orf57/4930432K21Rik/BRME1 modulates localization of RAD51 and DMC1 to DSBs in mouse meiotic recombination. 

【著者名】: Kazumasa Takemoto, Naoki Tani, Yuki Takada-Horisawa, Sayoko Fujimura, Nobuhiro Tanno, Mariko Yamane, Kaho Okamura, Michihiko Sugimoto, Kimi Araki and Kei-ichiro Ishiguro

【掲載雑誌】:Cell Reports

doi】:https://doi.org/10.1016/j.celrep.2020.107686

 

【詳細】 プレスリリース(PDF 539KB)

お問い合わせ  

熊本大学発生医学研究所 染色体制御分野
担当:石黒啓一郎 福田恵
電話: 096-373-6606

e-mail: ishiguro※kumamoto-u.ac.jp
(※を@に置き換えてください)