エイズウイルスの感染増殖を阻止する新たな体内物質を発見!
【ポイント】
- エイズウイルスの感染増殖を阻止する新規タンパク質 アポリポタンパク質E(ApoE)を同定した。
- ApoEはエイズウイルスの外膜であるエンベロープを分解し、感染を阻止する。
- エイズウイルスをコントロールする宿主要因の解明と新たなエイズウイルスの治療戦略につながる。
【概要説明】
熊本大学エイズ学研究センター 有海プロジェクト研究室の有海康雄准教授と鈴プロジェクト研究室の鈴伸也教授の共同研究グループは、エイズウイルス(HIV)の感染増殖を阻止する新たな宿主因子アポリポタンパク質Eを発見し、エイズウイルスの増殖をコントロールするメカニズムを明らかにしました。
エイズウイルスはいずれも免疫応答に重要な役割を果たすCD4陽性Tリンパ球とマクロファージに感染し、エイズ(後天性免疫不全症候群)を発症しますが、エイズウイルスがヒトの細胞内でどのようなメカニズムでコントロールされるのかはまだ良く分かっていません。今回、マクロファージにエイズウイルスが感染するとアポリポタンパク質Eが特異的に産生され、ウイルス感染に必要なエイズウイルスの外膜部分「エンベロープ」を分解することにより、エイズウイルスの感染増殖を阻止することを明らかにしました。
本研究成果は、オープンアクセス誌「PLoS Pathogens」において、平成30年11月29日に公開されました。また、本研究は文部科学省科学研究費補助金(課題番号:18981606)、熊本大学エイズ制圧を目指した治療予防開発国際研究教育拠点事業、熊本大学エイズ国際ネットワーク研究事業によって実施されたものです。
【論文情報】
論文名:Apolipoprotein E is an HIV-1-inducible inhibitor of viral production and infectivity in macrophages
著者:Rokeya Siddiqui, Shinya Suzu, Mikinori Ueno, Hesham Nasser, Ryota Koba, Farzana Bhuyan, Osamu Noyori, Sofiane Hamidi, Guojun Sheng, Mariko Yasuda-Inoue, Takayuki Hishiki, Sayaka Sukegawa, Eri Miyagi, Klaus Strebel, Shuzo Matsushita, Kunitada Shimotohno, Yasuo Ariumi
掲載誌:PLoS Pathogens
doi:10.1371/journal.ppat.1007372
URL:https://doi.org/10.1371/journal.ppat.1007372
【詳細】
プレスリリース本文(PDF396KB)
熊本大学エイズ学研究センター
担当:准教授 有海康雄
電話:096-373-6526
e-mail:ariumi※kumamoto-u.ac.jp
(迷惑メール対策のため@を※に置き換えております)