宮崎県えびの市役所田遺跡から九州初のコクゾウムシ多量混入土器を発見

【発見の内容】

 熊本大学 大学院人文社会科学研究部 附属国際人文社会科学研究センター 小畑弘己教授は、20193月に調査した宮崎県えびの市役所田(やくしょでん)遺跡から出土した縄文時代後期の深鉢形土器片(3,600年前)から28点のコクゾウムシ圧痕を発見し、推定で250匹のコクゾウムシが粘土中に練り込まれていたことを明らかにしました。本研究成果は、これまで発見されているコクゾウムシ圧痕土器のうち、九州における初のコクゾウムシ多量混入土器の発見であり、令和2109日に英国の科学雑誌「Journal of Archaeological Science Reports」誌上で発表しました。

 これまで小畑教授らは2016年に北海道福島町館崎(たてさき)遺跡から推定500匹のコクゾウムシ入り土器を発見しています。同発見は縄文時代のクリ栽培とその拡散、食物に対する縄文人たちの精神性を表徴するもので、縄文時代や縄文人に対する考えを見直す契機となる世界的にも希な発見と捉えていました。今回の発見は、土器が小さいため、推定数は館崎遺跡の半分ほどですが、全国で検出されている400個体以上のコクゾウムシ圧痕を持つ土器の中でもっとも密度が高いものとなりました。ただし、土器の粘土中にはコクゾウムシばかりでなく、ドングリの皮などが混入しており、館崎遺跡とは異なるマナーや意図で混入したものと推定されます。ただし、これまで想定にとどまっていた、縄文時代のコクゾウムシが貯蔵ドングリを加害した可能性を間接的に示す証拠として、重要な意味をもつ発見例といえます。

【論文情報】

○タイトル Jomon pottery and maize weevils, Sitophilus zeamais, in Japan.

○著 者 Hiroki Obata a,*, Mai Miyaura b, Kazuhiro Nakano c

○掲 載 誌 Journal of Archaeological Science: Reports 34, pp. 2-12.

○U R L https://authors.elsevier.com/a/1btS%7E,rVDBVSaW

○d o i https://doi.org/10.1016/j.jasrep.2020.102599

○詳細 プレスリリース本文(PDF561KB)





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