定例学長記者懇談会を開催しました
令和7年6月11日(水)、本部棟1階大会議室にて定例学長記者懇談会を開催しました。
小川 久雄学長の挨拶に続き、熊本大学における半導体デジタル教育について、半導体デジタル研究教育機構の若林 秀樹卓越教授が説明しました。
若林教授は、3つの立場(アナリスト・ファンドマネージャー・アカデミア)を通して半導体業界に携わった経験を語りました。また研究テーマの一つであるMOT教育の説明を行い、チャットGPTの強みと弱みをもとに、チャットGPTでは対応できない、これからの教員に求められる講義形態や人材育成における文理融合の重要性などについて説明を行いました。
次に、がん患者さんのQOL向上をめざして行う福祉ネイルについて、大学院生命科学研究部の福島 聡教授が説明を行いました。
福島教授は、2018年の第3期がん対策推進基本計画にて初めてアピアランスケア(がん治療に伴う外見の変化)の課題が取り挙げられたことを受け、自身の立場で何ができるかを考え、福祉ネイルによるがん患者さんへのQOL向上をテーマに臨床研究に取り組まれました。現在も研究中ですが、ネイルケアによりがん患者さんのQOLが向上するという結果を得ることができました。臨床研究の際に患者さんからいただいたネイルケアへの温かい言葉を受け、病院内福祉ネイルサロンの起業を決意し、これからはがん患者さんだけでなく、そのご家族・医療スタッフにも光を届けたいと今後の展望についてもご説明いただきました。
最後に、令和 7 年度文部科学大臣表彰科学技術賞を受賞された発生医学研究所の岡江 寛明教授より研究業績である『ヒト胎盤幹細胞の樹立と胎盤発生機構に関する基礎的研究』についての説明を行いました。
胎盤の研究は技術的・倫理的に難しく、長年停滞している現状でした。そこで岡江先生達は着床前の胚盤胞と呼ばれる胚や妊娠初期の胎盤の中に幹細胞が存在することを見いだし、それらを取り出したうえで長期的に増やす(「ヒトTS細胞」と呼ぶ。)技術を確立しました。「ヒトTS細胞」は半永久的に増え、胎盤の機能となっている栄養膜細胞に効率的に分解移動することが可能であり、人の胎盤の発生や機能を効率的に解析する効果的な手法であるとご説明いただきました。
参加した報道機関からはそれぞれの発表に関して多くの質問があり、活発な意見交換が行われました。懇談会の資料は こちら を参照してください。
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小川学長 | 若林卓越教授 |
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福島教授 | 岡江教授 |