森大輔研究室(法学部)

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Lab’s data【森研究室データ】

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【大学院人文社会科学研究部(法学系)】

  • 修論・卒論テーマ
    <卒論テーマ>
    離婚、結婚に対するアンケート調査、禁煙に関するアンケート調査、景気回復実態度に関する調査など
    <修論テーマ>
    労働紛争の斡旋についての研究、学校のいじめに関して保護者がどうかかわるべきかの聞き取り調査など
  • メンバー
    准教授1人、学部4年生13人、3年生12人

法律が、その目的を果たしているか。データ分析で明らかにする法社会学

新法や法改正の効果を明らかにする分析

法学部で法律を学ぶと聞けば、民法や刑法を読みどう解釈するか、などの授業を連想しますが、森大輔准教授の専門は法社会学。法と社会の関係を、データ分析を通して明らかにすることを中心とした分野で、法学部のゼミでは少々異色の存在です。「たとえば、運転中のシートベルト着用を義務化する法律を導入して、事故は減ったのか。シートベルトをすることで安心し、かえって危険運転が増えたのではないか。それを頭で考えていてもわかりません。法律導入前の事故データ、導入後のデータを分析することで、その法律が本当に効果を上げているのかがわかります」。データ分析を通して、その法律が社会に合っているのかどうかを考える学問です。

法律は、社会に暮らす人々が意識しなくても従えるような、納得できるものでなければならないと森准教授。「その法律を守らないから事故が起こる、と納得できなければ、人々はその法律に従う気になれません。法律は社会をよくするためのもの。新しい法律を導入したり改正する目的を無意味にしないためにも、データを見て分析する必要があります」。

説得力をもって何かを提示できる そんな力を身につけて

データ分析は、経済学の計量経済学、政治学の計量政治学、そして心理学の心理統計学などあらゆる分野にあり、理論と現実が合致しているかを見るために必要な手法だと森准教授。法社会学におけるデータ分析では、たとえば、法律により変わったこと、変わらなかったこと、変わらなかった場合はその理由も分析します。法律が目的を達していない意外な理由が明らかになることも。それが、法社会学におけるデータ分析の醍醐味だと言います。「仮説を立て、データを集め、検証する時、自分が立てていた仮説とは違う結果が出ることも。でも、それはそれで一つの発見なんです」。

ゼミでは、3年生で分析の手法など基本を学び、4年生で実際にテーマを決めてアンケート調査を実施し分析を行います。「4年の終わりには、私が見ても説得力のある分析を見せてくれたり、わかりやすいグラフを用いるなど発表の仕方も身についています。そんな時、成長を感じますね。自分の望む結論に導こうとするがあまり、ミスリーディングな質問を行ってしまった調査に気づく、というような力もついてきます」。

公務員になる人も民間企業で働く人も、政策や計画を立て実行させたい時、データ分析を通した推計を示すことができれば、説得力をもって提案できると森准教授。データ分析は、たとえそれを専門とした職業ではなくても必ず役に立つ。そんな視点で学んでほしいと話してくれました。

Interview

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法学部法学科4年
村井 宏丞さん(左)
法学部法学科4年
花立 美咲さん(右)
 法学部の中で、法律に関した専門的なことばかりではなく、他のこともやってみたいと思い、法社会学のデータ分析ができるこのゼミを選びました。森先生は、とても穏やかで優しい先生で、怒られたことは一度もありません。
 3年で基礎的なことを学び、4年になっていよいよアンケート調査に取り組みます。私のテーマはネットメディアの若者への影響。法学部の学生に協力してもらって、若者がネットメディアの情報をどれくらい信用していて、それがどんな影響を与えるのかを分析します。
 統計学を扱うことに魅力を感じてこのゼミを選びました。3年生で、統計ソフトを使った分析の仕方など基礎的なことを学び、4年生になって、テーマを決めて調査を始めます。私のテーマは飲酒について。成人年齢が引き下げられますが、飲酒年齢は20歳のままであることについて、社会ではどう考えられているかを調査します。
 ゼミで学ぶ中で、数字から何かを読み取り、数字の意味するものが理解できた時、とても魅力を感じました。将来は、いったん海外に出て、英語や海外文化を学び、大学で学んだことも糧にして世界とかかわる仕事に就きたいと考えています。

密着!森研究室

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名城大学(愛知県)法学部との合同ゼミ。訴訟行動調査について一緒にデータ分析を行いました

69_04.jpg データ分析で使用する統計ソフト「R」。毎回授業で使用します

(熊大通信69号 (2018 Summer)7月発行)

お問い合わせ

総務課 広報戦略室

096-342-3269