阿部悠貴研究室(法学部)

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Lab’s data【阿部悠貴研究室データ】

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  • 研究テーマ
    ・国際紛争、内線における人道的介入
  • 修論・卒論テーマ
    ・ドイツの移民政策
    ・ヨーロッパ移民と「イスラム国」への参加
    ・アメリカのホームレス問題
  • メンバー
    阿部悠貴 准教授、
    法学科4年8人、法学科3年7人
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阿部准教授の論文が掲載された
国際政治に係わる専門誌
『Contemporary Security Policy』
発行/Routledge

内戦や紛争に対する他国の「人道的介入」
複雑に絡み合う背景を明らかにする

~NATOの変容を通した介入に伴う「ジレンマ」がテーマ~
内戦や国同士の争いが起こり、悲惨な映像を見て「何とかしなければいけない」と思うのは当然です。しかし当事者以外の国や国際機関による「人道的介入」と呼ばれるものは、結局は軍事力を行使するもの。自国の兵士などの命が奪われることがあれば、その「介入」に対する批判が起こります。「人を救うための行動が批判の対象となる。その『ジレンマ』が私の研究テーマです」と阿部悠貴准教授は話します。
その中で、特に阿部准教授が研究テーマとするのが、アメリカ合衆国とカナダ、そしてヨーロッパ諸国で構成されたNATO(北大西洋条約機構)の変容です。NATOは、もとは冷戦時代に旧ソビエト連邦に対抗する組織としてつくられた軍事同盟ですが、冷戦が終わりソビエト連邦が消滅しても存続しています。冷戦時代には行使されなかったNATOの軍事力が初めて使われたのは、1992年に勃発したボスニア・ヘルツェゴビナ内戦でしたが、結局それも批判されました。「内戦が終わると、できるだけ戦争に発展しないよう、早期に解決できるメカニズム構築が考えられ始めました。そこに影響したのがNATOだと考えています」。また、アメリカやイギリス、フランスが、自分たちが危険にさらされるわけではないのに他国の紛争に介入するのはなぜなのか、その理由を探っているという阿部准教授。「大国が他国のことを決めるのは危険なことです。軍事力を使って解決できるほど、内戦や紛争は簡単な問題ではありません。そこには複雑な要因が絡み合っているということを明らかにしたいと考えています」。

~ものごとは多面的に考えよう。意見を「疑ってみる」ことも大切~
そんな阿部研究室には、国際問題や国際政治に興味を持つ学生たちが所属しています。ゼミでは、阿部准教授が与えるテーマでディベートを行ったり、映画を利用して国際問題を考えることも。また阿部准教授は学生たちに、政治にかかわる小説なども積極的に読むよう勧めています。もちろん、阿部准教授自身の研究も、さまざまな文献をあたり、膨大な量の新聞記事を読み、ある紛争や国際問題に対しどのような議論がなされているかを調べることから始まり、政治家への取材なども行います。
「議論は一方的であってはならず、多面的な考察が必要です。たとえば社会規範に反した自分勝手なことをする国を軍事力で制圧したら解決するかというと、そんな単純な問題ではありません。国際問題に興味がある人は、新聞やテレビで言われていることをそのまま受け取るのではなくて、書かれていること、言われていることを疑ってみるという姿勢を大切にしてほしいと思います」。

Interview

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法学部法学科4年
瀬戸山 旺子さん(左)
法学部法学科4年
瀬口 傑さん(中)
法学部法学科4年
池田 俊平さん(右)
法学部に進学したのは公務員合格の実績があったからです。ドイツに留学し、海外のことに興味を持ち国際政治について学びたいと思って阿部研究室に入りました。
ドイツに留学したのは2014年で、ちょうどシリア難民が問題化し始めた時でした。これから卒論の準備に入るので、ドイツの外来民政策について調べ、ドイツと日本の政策の比較ができればと考えています。
幼い時に見たアメリカ同時多発テロの映像が衝撃的で、いまだによく覚えています。なぜテロ組織とほかの国が戦争になるのか、ということに興味を持ち、それを学べるのが阿部先生の研究室でした。今はイスラム国と移民政策の関係について調べることをテーマにしています。
阿部先生のゼミでは本をたくさん読みます。自分と全然違う考え方や、自分が思いもつかなかった考え方に触れて自分の考え方が変化したり、遠い昔に書かれた本に現在の考え方に通じるものが発見できたり。そんな楽しみがあるのが阿部研究室の良さだと思います。
現在の研究テーマはアメリカの政治とホームレスの関連性について。アメリカのカリフォルニアに留学していた時、ホームレスの人をたくさん見かけたことがきっかけです。アメリカの政治との関連性を見ていくことで、国際政治を考えるきっかけにしたいと思っています。
法学部に進んだのは公務員になることを考えたことも理由です。2年生で阿部先生の授業を受けて国際政治に興味を持ち、留学も経験したことで国際法や国家間の問題に関する知識を活かせる一般企業への就職を決めました。阿部先生の研究室で国際問題や国際政治を考えることを通し、「多角的に物事を見る力」を養うことは、将来どんな仕事にも役立つと思います。

密着!阿部研究室

日々の実験やミーティングのほか、学生生活の思い出づくりも満載の研究室の毎日をご紹介。

  • 2016.9
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    夏休み明け1回目のゼミ。政治が関連する小説の読書が休み中の課題として出ていたため、それぞれ読書をした小説についてプレゼン。
  • 阿部准教授お勧めの図書
    62-5.jpg 左上/「三酔人経論問答」中江兆民
    左下/「1984」ジョージ・オーウェル
    右 /「動物農場」ジョージ・オーウェル
    小説だと、読みやすく興味を持ち考える入り口になるため、学生にも積極的に薦めている。


(熊大通信62号(2016AUTUMN)10月発行)

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