大坪和明研究室(大学院生命科学研究部先端生命医療科学部門)

研究室探訪
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大坪和明研究室
【大学院生命科学研究部 先端生命医療科学部門 医療技術科学講座 生体情報解析学】

Lab’s data【大坪和明研究室データ】

  • 研究テーマ
    ・疾患糖鎖生物学
    ガンの転移を引き起こす糖鎖機能、糖鎖異常により生じる糖尿病
    ・糖鎖が有する根源的な生物情報の解読
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    • メンバー
    大坪和明教授、大学院生2人、学部4年生4人
    • OB・OGの進路
    熊本大学大学院(※大坪教授は平成26年度着任)
糖鎖の化学式

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さまざまな病気とかかわる甘くない糖「糖鎖」、そのメカニズム解明が、病理解明の可能性へ

~よく知られているのに、「分からない」~
糖というと甘い砂糖を連想しますが、「実は、私たちの生命活動を支える重要な“甘くない糖”があるんです。
私たちの体をつくる60兆個の細胞には、この甘くない糖が鎖状につながった分子が存在しています」と大坪和明教授。
その分子『糖鎖』が、大坪和明研究室の研究テーマです。
「糖鎖は、さまざまな疾患の病態に応じて変化することが古くから知られており、病気の診断指標として用いられてきました。ところが、糖鎖の変化の生物学的意味を理解しようとする研究はあまり発展してこなかったんです」と大坪教授。
研究室では、基礎研究として糖鎖の情報解読を進めると同時に、糖鎖の変化と病気のかかわりを探り、そのメカニズムを解明することを目指しています。「DNAの研究などから原因が解明され治療法が生みだされてきた病気もありますが、まだわからない病気もあり、それらに糖鎖がかかわっていることがわかってきています」。大きな可能性を秘めた糖鎖研究に「やりがいがあります」と大坪教授は言います。

~真剣に考える人は、だれもが「専門家」~
「研究において、答えにたどりつくために一番大事なのは知識や技術ではなくやる気です」。
やる気は、研究への愛着と興味と好奇心から生まれると大坪教授。
学生時代のアルバイト先で、学生だった大坪教授もミーティングに呼ばれ意見を聞かれることがあり、「その時教授に、研究の分野に専門家はいない、強いて言うなら研究に情熱と興味を持って真剣に考えている人が専門家、君もこの研究に興味があるなら意見を述べる権利がある、と言われて。それが研究者になるきっかけでした」。
そんな経験を経た大坪教授は、まだ研究室に所属しない学部1年生にも、興味があるなら研究室に来るように伝えています。
実際に研究室に所属するのは院生と学部4年生。「変化した糖鎖を元に戻すことが病気の治療になるのではないかと考えた院生の研究が、結構うまく行っているんですよ」。研究で培う問題解決能力は社会に出て必ず役立ちますと、力強く語ってくれました。

Interview

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大学院保健学教育部 博士前期課程1年
藤井柊作さん(左)
大学院保健学教育部 博士前期課程1年
前田賢人さん(右)
学部3年生の冬に研究室の説明があり、大坪教授の研究の内容と話しぶりの両方が魅力的でこの研究室を選びました。研究は、思い通りにいかなくて も、「頭の中で変な物質が出ているかも(笑)」と思うくらい、なぜなんだ・・・と考え続ける、その時間も楽しいと感じます。検査に引っ掛からないドーピン グを見分けることに糖鎖を用いることができる可能性があり、この研究室で培ったことをスポーツ医学に将来生かせたらと考えています。 関西出身の大坪教授はいつも明るい方で、研究室も明るく研究がやりやすい環境です。看護師や検査技師などを目指す人が来る保健学科での研究は、基礎研究を 行う理学分野と臨床研究を行う医学分野の、いわば懸け橋的な存在。基礎と臨床をつなげ、病気の解明や治療につながる研究ができればと考え、日々がんばっています。

密着!大坪和明研究室

日々の実験やミーティングのほか、学生生活の思い出づくりも満載の研究室の毎日をご紹介。

  • 日々の実験
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    ガン細胞の異常糖鎖を検出する実験中。このほか、細胞に糖鎖をつくる遺伝子を入れて実験したり、バクテリアを使った実験なども。
  • 毎週月曜日
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    教授のほか院生、学部生も全員参加し、毎週月曜日にはミーティング。論文の抄読会や研究プロジェクトの話し合いを行う。
  • 2014.9
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    人吉へ一泊で旅行。メインイベントは球磨川でのラフティング。そのほか、国宝・青井阿蘇神社も訪ね研究の発展を祈願!
  • 2015.5

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    軍艦島へ、世界遺産になる前に一度見ておこうと計画し日帰り旅行。思い立ったら計画し実行するのが大坪研究室スタイル。


(熊大通信57号(2015SUMMER)7月1日発行)

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