学生と地域の“総和”で、活気あふれる「紫熊祭」

WEBマガジン 熊大なう。

学園祭実行委員会「熊新(ゆうしん)プロジェクト」

学園祭の危機に「どぎゃんかせんと!」

熊新プロジェクト代表・作取透磨さん。 黒髪キャンパスの学園祭が今年から、「紫熊祭(しぐまさい)」に生まれ変わります。18年間続いた「熊粋祭(ゆうすいさい)」の実行委員会はメンバー不 足に苦しみ、昨年で解散。学園祭の存続は窮地に追い込まれていました。その話を聞いた工学部4年・作取透磨(さくとり・とうま)さんが、新たな学園祭実行 委員会「熊新(ゆうしん)プロジェクト」を立ち上げたのです。
「学園祭は学生にとってあって当たり前のもの。やりたいことを自由に表現する大きな舞台だし、学内だけでなく地域の人にも、熊大生の活動や研究を発信で きる大切な機会です。先輩から後輩へと受け継がれてきた伝統そのものだから、“どぎゃんかせんと!”と強く思いました」。
作取さんは友人・知人に「学園祭を復活させたい奴がいることを、知り合いに伝えてほしい」と頼み込み、キャンパス中から協力者を募りました。
作取さんの“知人の知人”から話を聞いた文学部4年・御手洗桜さんは「かけがえのないバンド仲間と出会い、毎年ステージで思い出を刻んできた学園祭を失いたくない。いても立ってもいられませんでした」と、新実行委員への参加を決意しました。
御手洗さんと同じように学園祭への熱い思いを抱いた13名が集まり、2012年3月に熊新プロジェクトが始動。4月には新入生を中心に積極的に勧誘し、実行委員は総勢48名にまで膨らみました。
新しい学園祭の名称は、熊大の“熊”と、シンボルカラーの“紫紺”を組み合わせて「紫熊祭」に決まりました。「Σ(シグマ)には数学記号で“総和”とい う意味もあります。学生だけでなく、地域の人も含んだ“総和”で盛り上がろうという願いを込めたのです」と作取さんは語ります。

「やりたいけどできない」ではなく「やりたい企画を実現する」

「紫熊祭」のチラシ 以前より盛り上がる学園祭にするにはどうしたらいいか。幹部メンバーで何度も話し合いました。昨年までは模擬店が中心で「学生だけの小規模なイベント」と感じていたのは教育学部2年・冨永明樹さん。「大きな理由は運営資金の問題。でも、やりたいけど資金がないからという後ろ向きの考えではなくて、先にやりたい企画を自由に提案して、それを実現するのにいくら必要かと発想転換しました」と語ります。目標資金は昨年の4倍。片っ端から企業を回り、ひたすら頭を下げてお願いする毎日でした。断られてもくじけなかったのは、学園祭を絶対に復活させたいという情熱があったから。「思いが伝わって応援してくれる方も大勢いましたし、熊大のOB・OGの方もたくさん協力してくれました」。メンバーが一丸となって協賛金を募った結果、目標を大きく上回り、昨年の5倍以上の資金が集まりました。こうして新たな学園祭が実現に向けて大きく動き始めたのです。
目玉となる11月3日(土)の「紫熊祭LIVE2012」は、熊大史上初の本格的な大型ライブ。「記念すべき第1回目をぜひ成功させたい」という熱意がアーティストにも伝わり、MUNEHIRO(鈴木紗理奈さんのアーティスト名)さんら大物芸能人の招致に成功しました。また、学生からの要望が多かった「ミスコン」も十数年ぶりに復活。11月4日(日)のステージには5名の美女が登場しウェディングドレス姿などを披露します。地域に住む子どもにも楽しんでほしいという思いから、11月2日(金)には「ハロウィン」を企画し、訪れた子どもにお菓子を配る企画も用意。
「熊大生が一体になって盛り上がり、地域の人も楽しめる学園祭のプログラムができました」と冨永さんは語ります。

祭の力で、熊本中に”元気”を発信!

テレビ熊本の番組「若っ人ランド」に出演し「紫熊祭」をアピール 新しい学園祭のテーマ「RE BORN!祭盛(さいせい)」には、学園祭の再生という意味と同時に、熊大から熊本中に元気を発信したいという気持ちが込められています。「東日本大震災から続く原発の問題や7月12日の大水害など暗い話題が多い中で、熊大生が熊本の若者をリードして、明るい前向きなムーブメントを起こしたい。例えば原発反対とただ声を挙げるだけではなく、自分たちで原発に代わる発電方法を示すというのもその一つです」と冨永さん。学園祭で使用する電力のすべてを「廃油発電」でまかなうエコプロジェクトにも取り組みます。新聞やテレビ、ラジオなどにも取り上げられ、70代の男性からは「素晴らしい取り組み、ぜひ頑張って」と激励の電話もありました。
これまで熊大の学園祭といえば「熊粋祭」で定着していました。最近では「紫熊祭」という呼び名が学生やOB・OGにも浸透してきたとメンバーは喜びます。学園祭本番まで残り2週間。みんなが楽しんで熊大をもっと好きになってほしい、そして次世代の学生が“続けたい”と思うような学園祭にしたい。熊新プロジェクトメンバーは学園祭本番に向けて、残りの日々を全力で駆け抜けます。

(2012年10月17日掲載)

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