モットーは”きめ細やかなサポート”!「熊本大学ノートテイカーサークル」始動!!
一人を支える20名の思い
「聴覚障がいがあるので講義内容が聴き取りづらい」―2011年、熊本大学では、一人の学生の声をきっかけに「ノートテイク支援」を開始しました。「ノートテイク」とは、聴覚障がい者の“耳の代わり”になって要約筆記を行うものです。パソコンで行う場合は「パソコンテイク」といいます。
テイカーは、メインとサブの二人一組で、利用学生を挟むようにして座ります。それぞれ要約筆記を行いますが、基本的に、利用学生はメインが要約する内容を参考にしながら講義への理解を深めます。それに対して、サブはメインのノートテイクが滞った際の補助という立場で臨みます。両者は、90分の講義を45分交代で行います。
学生支援部の職員が支援者の募集を学生に行ったところ、徐々に有志が集まりました。人数が増えるに従い、情報交換や意見交換など横の連携を取ることが“テイクの質の向上”につながるということで、4月、教育学部特別支援学校教員養成課程4年・古田 翔太郎(ふるた しょうたろう)さんをリーダーとする約20名で「熊本大学ノートテイカーサークル」が始動。現在、利用学生は1名で、1日3時間ほど支援を行っています。
アンテナを張り、支援に向き合う
去る3月13日(火)~15日(木)、熊大で「要約筆記者養成講座」が実施されました。より多くの学生がテイク支援を理解し、スキルを身に付けられるよう、学生支援部が企画したものです。「熊本県聴覚障害者情報提供センター」所長による「聴覚障がいとその支援について」の 講演や、熊本県内の要約筆記サークル「ひまわり」およびパソコン文字通訳グループ“らん”の講師によるテイク支援の講義・実技指導などがありました。
テイク支援は、先生の話を聞きながら要約筆記を行い、しかも、テイカー同士の連携も求められます。「“速く、正確に、わかりやすく”というテイク支援の基本を大切にし、常にアンテナを張り巡らせて支援を行う必要があることを学びました」と古田さん。今回参加したメンバーは、「テイカー同士の連携は、“あうんの呼吸”。場数を踏むのみです」とやる気十分!
テイク支援の認知度を高め、さらにスキルアップ
学内はもちろん、「熊本県聴覚障害者情報提供センター」などからのアドバイスも謙虚に受け止めながら、試行錯誤の日々を送るメンバーたち。
法学部法学科2年・末田 夕貴(すえた ゆき)さんは、「ノートテイクと同時進行で、今、先生が実際に話されている部分を利用学生さんに指し示す時はとても大変です」とその難しさを実感。特別支援教育特別専攻科・下中村 武(しもなかむら たけし)さんは、「専門性の高い講義で行う支援は、講義内容の予習をして臨んでいます」と話します。利用学生から講義内容について質問がある場合は、講義後、メールなどを通じてメンバーたちが対応。そんなメンバーたちのきめ細やかな支援が実を結んだのか、利用学生は講義に対してさらに積極的になったそうです。
しかし、パソコンテイクの際、周囲の学生から『タイピングの音が気になる』といった反応もあり、テイク支援の認知度が低いのが現状。メンバーたちは、「少しでも理解を得られるようにするために情報の共有は大切ですね」と話します。
テイク支援を通じて、障がいのある人に対する理解が深まると同時に、利用学生のために行う配慮が、自分たちの成長につながっていると口をそろえるメンバーたち。さらなるスキルアップを目指して歩み始めたばかりです。
(2012年5月30日掲載)
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