"心に響く"音色を紡ぎたい!

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熊大勢で見事、金賞独占!

image_003.jpg 去る3月26日(月)、「第14回九州音楽コンクール ピアノ部門」で、熊本大学教育学部音楽科4年・盛田 安紗未(もりた あさみ)さんが金賞と最優秀賞を受賞。また、同学科2年・村田 陽子さんが金賞と審査員特別賞を受賞しました。金賞の中でも最も素晴らしい演奏を披露した演奏者にのみ贈られる上位二つの賞を熊大生が独占するという快挙です。
盛田さんと村田さんは、教育学部音楽科・袴田 和泉(はかまだ いずみ)研究室でピアノを学び、これまでもさまざまなコンクールで受賞歴を持つ実力派同志。袴田先生の指導の下、自身の演奏の癖や弱点に向き合いながら、日々努力を重ねてきました。
コンクールを前に、自ら選んだ課題曲は、盛田さんはシマノフスキー作曲「仮面劇 op.34」より「第3番ドン・ファンのセレナード」、そして村田さんはリスト作曲「ポロネーズ」。それぞれの曲には、二人のピアノへの思いや夢が込められていたのです。

苦手に向き合い、乗り越えることで成長する

image_004.jpg 「もっと心に余裕を持って。肩の力を抜いて柔らかな音で“表現する”ことが大切」と、袴田先生から指導を受けてきたという二人。盛田さんが選んだ「第3番ドン・ファンのセレナード」は、即興的で聴く者の鼓動が高鳴るようなメロディ。「当初、先生にも反対されました。私は手が小さいので技術的にも無理な部分があり、さらに近・現代分野はあまり弾いたこともありません。だからこそ、苦手分野克服のチャンス!即興性が必要な音楽で、苦手な遊び心を取り入れた演奏に挑戦したかったんです」と盛田さん。コンクール当日、思い描いていた音が出た瞬間の感動は、今も忘れられません。盛田さんは、「“100%の実力を発揮するには、300%の練習が必要”という師の言葉を胸に取り組みました」と当時を振り返ります。
一方、“スケールの大きい演奏をすること”が課題の一つだったという村田さん。「ミスを恐れるあまりに演奏が慎重になり、表現力が弱い。ミスをせずに大胆な演奏をするにはひたすら練習です」。毎日2時間以上欠かすことなく「ポロネーズ」の劇的な曲想に向き合い、“高らかに、歌い上げるように”など心掛けながら、コンクールに向けて自らの演奏を完成させました。

しなやかに“湧き出る”ような自分の音を

image_005.jpg 「将来は、私が味わったような感動を多くの人に届けられるような仕事に就きたいと思っています。広く音楽や芸術を楽しんでもらうための縁の下の力持ちになって、演奏家たちを支えたい」と話す盛田さんは、次なる目標、卒業演奏会に向けて既に練習を行っています。選んだ曲は、プロコフィエフ作曲「戦争ソナタ 第8番」。「この作品を聴いた時、体が震えるほどの感動を味わいました。“音楽の力”を目の当たりにしたような気がします」。ダイナミックでありながら叙情性を兼ね備えた高度な作品への挑戦は「大学生活の集大成」と位置付けています。
二人が目指す演奏は、ピアニスト・辻井 伸行氏が奏でる音楽。視覚障害を乗り越えた世界的ピアニストの音色は、まるで“湧き水”のようだと、二人で声をそろえます。「どの作品も、しなやかで流れるような“辻井さんの音”があるんです。そんな演奏が理想です」と村田さん。それぞれの心の中にある作品の世界観を“自分らしい音で描いていこう!”と、コンテストを経た二人は、さらなる一歩を踏み出しました。

(2012年6月27日掲載)

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