ラジオドラマ制作をきっかけに、 新たなステージへ

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青少年の性に向き合い、話題に

image_002.jpg 政策創造研究教育センター・河村洋子准教授が手掛ける文部科学省のプロジェクトにより制作されたラジオドラマ「17歳の保健室」が、大きな反響を集めています。その制作に携わったのは熊本大学放送部の皆さん。高校生の性をテーマに、性感染症や人工妊娠中絶などの問題をドラマに仕立て、後輩たちに伝えたいメッセージを込めたものです。放送開始後にはリスナーから「このラジオは素晴らしいからみんなも聞いてほしい!」との声も届きました。
部長の文学部文学科3年・植田優美さんは「熊大放送部は実は、1年前まではほとんど活動していなかったんです。河村先生から『ラジオドラマを作ってみない?』と声を掛けられたのはちょうどその頃でした」と当時を振り返ります。部の活動を活発化させたターニングポイントとなったのは、ラジオドラマ「17歳の保健室」の制作でした。

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ものづくりが教えてくれた部活動の姿

image_004.jpg エンターテイメント・エデュケーションという教育法を知ったのも初めてで、“性教育”というテーマを前に、「普段の会話でも性の問題は気恥ずかしい」という消極的な意識を持つ部員たち。不安と驚き、とまどいでいっぱいの中、同じく制作に参加した「熊本県立大学MR研究会」のメンバーは積極的に意見を出していきます。「これはヤバいと思いましたね。でも、エンターテイメント・エデュケーションの主旨を理解し、みんなとブレインストーミング(*)を繰り返すうちに、“性の問題”に向き合い、語り合えるようになりました。そうすると、ものづくりの楽しさも分かり、部員の誰もがドラマ制作にぐいぐい引き込まれていったんです」と植田さん。
週に一度の定例会議は回を重ねるごとに中身も濃くなり、時には3時間にわたって議論が白熱することも。今どきの高校生はどんな考え方をもっているのか、ブレインストーミングでも、意見を書いた無数の付箋紙がテーブルを覆って見えなくなるほど、意欲的に取り組むようになり、8週分全40話の物語「17歳の保健室」を完成させました。視聴者の反応も上々で「モノをつくるって楽しい」と部員一人一人の意識も変わりました。
ラジオドラマ制作を通じた変化はそれだけではありません。「もっと部活動を本格的に機能させたい」という思いが部員たちの中に生まれ、ついに植田さんたちは部の立て直しに取り組んだのです。

部員倍増!生き生き輝く放送部へ

image_005.jpg 「熊大放送部をどうするか?」自分たちの活動に目を向けた部員たち。欠席者の多かったミーティングも正式に部会として、全員が必ず出席するルールを決め、新入生を迎える前に今後の活動計画を固めて、部の体制を整えるために議論を重ねました。メイン活動であるインターネットラジオでは、放送部のサイト「☆くまキャス☆」内にラジオ部門を立ち上げ、動画配信サイトなどを通じて「くま☆キャス」という番組を放送。また、県外出身者が7割を占める熊大生に向けて、県内各地のお店やイベントをサイトで紹介したり、2011年の県知事選では法学部の教授に直撃取材して、選挙の争点や投票のポイントを掲載しました。
こうした活動の甲斐もあり、この春には1年生8名が入部。現在、部員は1~3年まで13名に増え、さらに活動の幅を広げています。
「私たち3年生ももうすぐ引退。それまでに放送部の基礎を固めて、後輩たちが活発に活動できる道筋を築きたい」と植田さん。今年の夏は「NHK全国大学放送コンテスト」にも挑戦!放送部最後の夏に、青春を燃焼させます。

*ブレインストーミング…自由にアイディアを出し合い、互いの発想の誘発を期待する集団発想法。通称ブレスト。カードや付箋紙等に記述し、グループ分けしていく「KJ法」などもある。

(2012年7月25日掲載)

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