発達障害学生のオンライン授業におけるニーズや”困り感”等を調査

【ポイント】

  • 全国の国公私立大学の障害学生支援担当者を対象に、発達障害のある学生のオンライン授業における“困り感”等についてアンケート調査を実施しました。
  • 約3割の大学で発達障害学生からの相談が増加しており、内容としては課題の量や頻度に関する訴え、PC等の操作に関するものや不安・不満に関するものが多く挙げられていました。
  • 発達障害学生に対して、課題の提出スケジュールや方法の管理、情報の提示方法などについて特性に合わせた配慮が必要であることが示唆されました。

【概要説明】 

 熊本大学大学院教育学研究科の菊池哲平准教授の研究グループは、熊本大学アマビエ研究推進事業採択課題「ユニバーサルデザインの視点を踏まえたオンライン授業ガイドラインの作成」の一部として、「発達障害学生のオンライン授業におけるニーズや困り感に関するアンケート調査」を令和2年12月14日〜令和3年1月15日に実施しました。

自閉症スペクトラム障害や注意欠如多動性障害など各種の発達障害のある学生は、オンライン授業に様々な困難を抱えることが懸念されています。本調査は、全国の国公私立大学の障害学生支援担当者に対してアンケート調査(紙面及びWeb回答)を行い、295の大学から回答を得ることができました(回収率31.5%)。

 調査の結果、明らかとなった点は以下の通りです。

  • 28.4%の大学で発達障害学生からの相談が増加しており、その傾向は総合大学や定員の多い大規模大学で顕著でした。
  • 発達障害学生からの主な訴えは、「課題の量や頻度に関すること」が最も多く、「PC/タブレットやZoomなどの操作に関すること」「不安や不満に関すること」「オンライン上での演習やゼミ活動に関すること」などが挙げられていました。
  • オンライン授業の実施に際し、発達障害学生への配慮点として「課題の提出スケジュールや方法の管理について大学内で統一のルールを設定する」ことや「受講状況の定期的なチェック」「感覚過敏への配慮」など、ユニバーサルデザインの視点を踏まえたガイドラインの作成が求められます。

 調査結果の詳細については、以下の報告書をご覧ください。

https://www.educ.kumamoto-u.ac.jp/~tokushi/tklab/report_onlinelecture_0303.pdf

 今後、調査結果をもとに「ユニバーサルデザインの視点を踏まえたオンライン授業ガイドライン」を作成し、発達障害学生を含めた全ての学生が快適に受講・学びやすいオンライン授業づくりについて発信していく予定です。

 

*アマビエ研究推進事業

熊本大学における新型コロナウイルス感染症に関する研究を支援する事業。令和2年度は22件が採択され、新型コロナウイルスのしくみや感染を防ぐ方法、新型コロナウイルスによって変化を求められている社会のあり方や教育についての研究を推進しています。

【詳細】

プレスリリース本文(791KB)

お問い合わせ
熊本大学大学院教育学研究科
担当:菊池 哲平(准教授)
電話:096-342-2644
e-mail:kikuchi※educ.kumamoto-u.ac.jp
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