本山敬一研究室(薬学部)
医薬品の有効成分が患部に届きやすい薬をつくる
幅広い知識が必要な学問
この研究室では、医薬品の製造・加工をベースに、医薬品の有効成分を疾患のある組織に届きやすくするための研究を行っています。製剤学は物理・化学がメインですが、生物学、免疫学など、幅広い知識を必要とする学問です。
シクロデキストリン(オリゴ糖の一種)を医薬品へ応用する研究など、学生の研究テーマは様々です。
自主性を持って研究に取り組み、トライアンドエラーを繰り返すことで、論理的思考力を身につけてもらいたい、そして、なにより実験を好きになってもらいたいと思っています。
研究室の特徴
1.1人1テーマ
3年で研究室に所属すると、1人に1つの研究テーマに取り組みます。
2.先輩と後輩間、先生と学生間の垣根が低い
違うテーマの学生とディスカッションしたり、先輩や先生に気軽に相談できたり、立場に関係なく、和気あいあいとした雰囲気。本山先生は学生の面倒見がよく、プライベートな相談にのってくださることも。
3.自主性を重んじる
研究は、実験の立案から学生が考えます。また、週に1回行われるゼミでは、学年に関係なく積極的に質問があがります。
主な就職先
製薬会社(第一三共株式会社、中外製薬株式会社、武田薬品工業株式会社など)の研究員、薬剤師
※最近は、製剤技術が必要な化粧品・食品・サプリメントなどの分野からも多くの求人があります。
学生から一言!
大学院薬学教育部博士課程医療薬学専攻4年
井上 雅理さん
—どんな研究を?
タンパク質が集まったものが血管や臓器に沈着して機能障害を起こす、アミロイドーシスという病気に対する新しい医薬品の開発を行っています。また、アルツハイマーもアミロイドーシスの一種だと言われているので、応用としてアルツハイマーの研究も行っています。
この研究室は、OBとのつながりを大切にしていることで有名です。OBの先輩に連絡して、研究のことはもちろん、就職活動の相談にのってもらうことができます。私も先輩方に様々な相談にのってもらえたので、将来は後輩にお返しをしたいと思っています。
—将来は?
ベンチャー企業を立ち上げて、患者さん、医師、薬剤師の役に立つ情報を収集して、分かりやすいように加工して発信する学術職の仕事をしたいと思っています。そのためには、まだまだ足りないノウハウなどもあるので、まず、中小規模の製薬メーカーに就職し、様々な経験を積みたいと思っています。
薬学部薬学科6年
中川 文馨さん
—どんな研究を?
3・4年のころは、ワクチンや製剤の基剤の開発研究を行っていました。現在は、企業との共同研究で、がんの検査キットの開発研究を行っています。薬学科は薬剤師を目指す人が多いですが、私は1年のころから、企業で研究をしたいと思っていたので、しっかり研究ができて、企業への就職実績があるこの研究室を選びました。
自分の成果が積み重なっていくのがうれしいですね。最初は研究の進め方も分かりませんでしたが、先輩方から「この論文を読むと、どんなデータが必要か分かるよ」などと教えてもらいました。
—研究室のよいところは?
たくさんあります(笑)。その中でも特に、基礎的な分野から細胞を使った実験、臨床実験の手前の動物実験まで、幅広く実験をさせてもらえることです。また、先輩後輩関係なく、学生同士が仲の良いところもです。違うテーマの人たちとディスカッションすることもあるんですよ。
うちの研究室自慢
学生居室の様子
無菌室での実験風景
(熊大通信82号 (2021Autumn)10月発行)