香月博志研究室(薬学部)
謎が多い脳疾患の解明に薬を使ったアプローチで挑む
薬を使って病態を解明 薬理学ならではの研究です
脳疾患という大きなテーマの中で脳出血、小脳の変性疾患、精神疾患等の様々な研究を進めており、学生もそれらに関わる研究をしています。薬理学研究室なので、薬を使って脳の組織や細胞の反応を引き出すことで病気のメカニズムを調べるアプローチが特徴的です。
実験は結果を予測して行いますが、細胞や動物を直に観察していると、予測しなかったことも見つかります。しかし、予測と違ってもその結果が「事実」であり、結果をどう考えるかが大事。そこから継ぎの研究を組み立てる、そんな考察力を学生には身につけてほしいと思っています。
学生が見た!香月研究室3つの特徴
1.研究テーマ
様々な脳疾患のメカニズムと、治療薬を見つけることが大きなテーマ。病態のモデル動物を丸ごと作製したり、培養細胞を使って研究しています。
2.朝のセミナー
週3回、1限目前の7時40分から。当番の学生が文献を紹介したり研究の報告を行います。
3.先生
何を聞いても答えてくれるすごい先生。朝のセミナーは必ず1分前に着席。これが狂ったことはありません!
Lab’s data
- 修論・卒論テーマ
脳内出血病態モデルに対するNurr1リガンドの治療効果
ドパミン神経障害に対するターメロン誘導体の保護効果
筋委縮性側索硬化症関連遺伝子変異によるタンパク質分解障害
ニコチンによるNa+, K+-ATPase 活性調節とその生理的意義
精神症状に対するメマンチンの作用解析
ミクログリア活性化におけるDNAメチル基転移酵素の役割
グルタチオン生合成を介するドパミンニューロン保護機構 - 就職先
グラクソ・スミスクライン(株)、ノポノルディスクファーマ(株)、田辺三菱製薬(株)、久光製薬(株)、参天製薬(株)、(株)三和化学研究所、薬剤師(済生会熊本病院、熊本赤十字病院、福岡和白病院など) - メンバー
香月博志教授、関貴弘准教授、倉内祐樹助教
博士後期課程3年1名、2年1名、博士前期課程2年3名、1年2名、薬学科6年2名、5年2名、4年2名、3年2名、創薬•生命薬科学科4年3名、3年3名
Interview
薬学科4年 吉水文香さん(左)
ーなぜこの研究室に?
薬理学の授業で、香月教授や関准教授の授業を聞いて脳疾患の分野に興味を持ちました。将来は薬剤師志望で、臨床的な経験は卒業してからでも積めますが、大学生のうちにしかできない基礎研究に携わりたいとこの研究室を選びました。現在は、脳内出血のモデルマウスを作製し、治療薬を探索するという研究を進めています。モデルマウスを正確に作るための手技の獲得に時間がかかりましたが、和気あいあいとした研究室で先輩方がやさしく教えてくださり、1年が経って実験が楽しくなりました。
ーどんな毎日ですか?
朝はセミナー、そのあと午前中は授業です。授業では現在、来年の薬局と病院実習のための試験に向けた勉強をしています。その後、午後から実験に取り掛かるので遅くまでかかるときもありますが、自分で実験を組み立てて取り組むので、自分の時間もしっかり作ることができます。
大学院薬学教育部博士後期課程3年 佐藤正寛さん(右)
ーなぜ博士後期課程に進学を?
博士前期課程でも恵まれた環境で勉強や研究を行いましたが、まだ足りないと感じたからです。この研究室に入ったのは、アルツハイマーやパーキンソン病など、たくさん研究が行われているのに今も有効な治療薬が開発されていないことに難しさを感じ、その研究に自分も携わりたいと思ったから。香月研究室の朝のセミナーで聞く先生方の話は、かなり勉強になると実感しており、博士後期課程でもこの研究室に残りました。現在はタンパク質分解系をテーマに、神経変性疾患をからめた研究を進めています。
ーどんな研究室ですか?
幅広い年齢のメンバーがいるのにコミュニケーションが密で、スポーツイベントなどに積極的に参加する活発な研究室です。また香月教授は、研究や実験に対する姿勢はもちろん、普段の過ごし方もお手本になる先生。将来は自分も、新しく有効な治療薬の開発に携わりたいと思っています。
密着!香月研究室
細胞内のシグナル伝達に関わるタンパク質の挙動解析の様子
毎年夏に開催している研究室旅行
(熊大通信75号 (2020 Winter)1月発行)