高橋慶太郎研究室(理学部)
宇宙の「最初の星」は、いつどうやって生まれた?
物理、数学、工学技術すべてを動員し宇宙を紐とく科学です
宇宙物理学や天文学と呼ばれる分野の研究を行っています。宇宙に関する様々なことを扱う学問の中で、特に私たちが取り組んでいるのが電波天文学。宇宙から飛んでくる電波を材料に、宇宙を探っています。例えば、宇宙が生まれたのは138億年前。太陽や地球は46億年前で、宇宙全体の歴史から見れば比較的最近です。では、太陽のような恒星が宇宙に初めて生まれたのはいつなのか。予測としては宇宙が始まって1億年目、137億年ほど前だと考えられていますが、本当にそうなのか、それはどんな星だったのかを明らかにしようとしています。
星はいつ、どうやって生まれたのか。それは、「宇宙はどうやって始まったか」という問いに匹敵するほど難しい問題です。しかし、そんな素朴な疑問ほど難しい。宇宙に山ほどある恒星の一つが太陽であり、その周りの惑星の一つである地球にいる私たちが、宇宙全体の歴史を紐とけるのがこの研究のおもしろさです。地球で見つけた法則で宇宙を解き明かす、そこに物理学は不可欠で、背後には数学もあります。最新の工学技術を使って作られる望遠鏡も欠かせません。様々なものを総動員して宇宙を探る研究です。
学生が見た!高橋研究室3つの特徴
1.研究テーマ
宇宙再電離(EoR)、パルサー、、磁場、宇宙生物という4つの研究グループに分かれ、宇宙はどう始まったのか、地球外に生命はあるのかなど、様々な宇宙科学に取り組んでい•ます。
2.研究手法
自主性を重んじてくれる先生です!
3.先生
院生以上の学生は、英語力を磨くためのゼミ、ランチタイ ムに論文や研究紹介をするランチセミナーなども実施。
Lab’s data
- 卒論テーマ
重カマイクロレンズによる太陽系外惑星の観測可能性
楕円軌道を持つ超大質量ブラックホール連星からの重力波
銀河の3次元磁場構造
宇宙再電離21cmの前景放射除去 など - 就職先
宇宙技術開発株式会社
伊藤忠テクノソリューションズ
三菱電機マイコン機器ソフトウエア株式会社 ほか - メンバー
准教授1名、研究員3名、大学院生9名、学部生3名
Interview
博士後期課程1年
久野 晋之介さん
—なぜこの研究室に?
中性子星の物理現象と、中性子星を使て重力波を理解する研究を行っています。
宇宙は手に取って観察するほど身近ではありませんが、科学的に理解することはでき、それが面白いと思っています。そして、「こうだ」と考えられていたことが実際には違うことを発見できるのも研究の醍醐味。短いスパンで自分がそれを見つけられるかは分かりませんが、科学全体の中で、何かの発見に少しでもつながればいいのかなと思っています。
ー今後の目標は?
実際に望遠鏡を使って得られるデータの解析を本格的にやってみたい。大規模なデータを扱い、そこから宇宙を分析する研究に携わりたいです。
理学部4年
中村 美香さん
—なぜこの研究室に?
高校生の頃から星を観察することが好きで、ちゃんと学問として学びたいと思ったから。目標は、太陽系の外に生命が存在できる環境が整った惑星を見つけることです。
ー今はどんな毎日ですか?
学部生の間は、先輩の論文などを読み、太陽系外惑星をどう観測するのか、どういう工夫をすれば見つけられるのかをとにかく勉強。大学院ではもっと主体的に、知りたいことに対して何をすればいいのか、自ら考える視点を持って取り組んでいきたいと思います。難しいことばかりですが、太陽系以外に地球のような星を見つけたいというロマンある目標が、自分を励ましてくれています。
密着!高橋研究室
人工電波を計測する実験
オーストラリアでの共同研究
(熊大通信80号 (2021Spring)4月発行)