原田博之研究室(工学部・大学院自然科学研究科)

研究室探訪
未来のロボットは、私たちがつくる
原田博之教授(中央)、山口晃生講師(右)はじめ、
大学院生10名、工学部4年生8名計20名の研究室

原田博之研究室
【工学部】機械システム工学科 ロボット工学研究室
【大学院自然科学研究科】産業創造工学専攻 機械知能システム講座

現代では多くの産業が、ロボット技術によって支えられており、熊本大学でも関連する研究が進められています。
そこで、今回はその分野の研究に取り組んでいる、原田博之教授の研究室を訪ねました。

未来のロボットは、私たちがつくる

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アームロボットの動きは、コンピュータ上のプログラムで詳細にコントロールされています

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筋肉の動きを読み込むセンサーを取り付けた腕と、全く同じ動きを再現するアームロボット

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小さな金属片に対して、アームロボットで上から擦るような力を加える実験の様子

ロボット技術の分野は、20世紀後半から世界中で本格的な研究が始まり、当時は、“21世紀になったら、鉄腕アトムのような人間そっくりのロボットが誕生しているかも”と、多くの人々が想像をふくらませたものでした。そして今日では、2足歩行のロボットも誕生。産業ロボットの分野では、人間以上の能力を発揮するものも生まれ、すでに欠かすことのできない存在となっています。

ロボット技術は「機械」や「電気」の技術に加えて、脳に相当するコンピュータを制御する技術など、複数からなる技術の集合体です。原田博之教授の研究室では、人間でいえば触覚や視覚などにあたる「感覚器」や、その情報を脳に伝える「神経」の役割にあたる「センサー」と「信号処理」の研究に特に力を入れて取り組んでいます。

民問企業との共同研究で進めている、「アームロボットによる力の加減」の研究では、小さな金属片に対して、ロボットアームで上から擦るような力を加えることで、金属片の反り返り具合と加えた力の関係について調べる実験が行われていました。職人技に代表される人間の微妙な手先の感覚を、ロボット技術へ応用するための基礎として期待されています。

もう一つのテーマが、「人間の腕の動きと同じ動きをするアームロボット」。人の腕に吸盤のようなセンサーを取り付けて、筋肉の動きを測定。この結果をプログラム化し、コンピューターを用いて人の腕と全く同じ動きをするアームロボットを開発しています。

原田教授がこの分野の研究を始めた1990年代には、人間全身と同じような動きをする2足歩行ロボットを目指す研究者が多かったそうです。しかし原田教授は、人間の仕事を部分的に代わる各機能に注目する方針で、これまで研究を進めてきました。これからも、“世の中で役立つロボット”の開発に向けて、研究を行っていきます。

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(熊大通信33号(2009 SUMMER)7月1日発行)

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