馬場秀夫研究室(大学院生命科学研究部消化器外科学)

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がんを克服する人を一人でも増やすために

研究は壁の連続 乗り越えた経験を臨床現場に活かしてほしい

 02.jpg消化器外科は、治療対象のほとんどが消化器のがんです。がんは治療成績も向上していますが、同じがんに同じ治療をしても、治る人と、治療の甲斐なく亡くなる人がいます。その差を決定しているのは何なのか。この研究室では、がんの発生や進行、転移など、その仕組みを明らかにする研究、そして、患者さんによって差がある治療効果を予測し、より良い治療法を選択できるようにするためのバイオマーカーの探索等を行っています。外科であるため、手術前の生体検査や手術で切除した実際の標本、予後データなど、臨床データを解析できることが強みです。
 研究室のメンバーは、臨床現場で5,6年の経験を積んだ医師ばかりです。治療にベストを尽くしても、予後に差がでるのはなぜなのか。研究を通して解決策を見出そうとがんばっています。臨床では、目の前の患者さんに様々なことが起こります。なぜなのか、そしてどうすればその状況を改善できるのかという探究心を持つ人に、この研究室に来てほしい。挫折もありますが、その壁をどう超えるかを常に考えるのが研究です。研究室で難解な問題に取り組んでステップアップしたことを、臨床に活かしてほしいと思っています。

学生が見た!大学院生命科学研究部消化器外科学3つの特徴

1.研究テーマ
 がん幹細胞、がん細胞の周りにある微小環境、腸内細菌等の 研究によるがんの発育進展機構の解明および治療効果を予測するバイオマーカーの探索等を行っています。

2.先生
 毎週のカンファレンスにも必ず参加。時に厳しく、常に身近に、一人ひとりを力強く支えてくれるすごい先生。

3.ブラックジャックセミナー
 本物の器具で外科医体験をする高校生向けセミナー。外科医は自分の技術が治療の武器。未来の外科医を待っています!

Lab’s data

  • 学位テーマ
    LINE-1解析を起点とした癌と精神疾患の病態解明
    老化に伴う幹細胞機能の変化と発がんメカニズムの解明
    代謝リプログラミングを基礎とした疾患の解明と新規治療法の開発
    消化器癌の革新的治療法開発を目指した腸内細菌叢の網羅的機能解析
    代謝を基盤とした癌のグローバル先端研究
    消化器癌における免疫チェックポイント分子の発現と薬物治療の効果
    消化器癌におけるサルコペニアの関与 ほか
  • 就職先
    国内外病院 ほか
  • メンバー
    教授1名、特任准教授3名、准教授1名、講師1名、診療講師3名、助教3名、特任助教3名、医員20名、大学院生20名 ほか

Interview

03.jpg大学院医学教育部博士課程 4年
野元 大地さん

—現在、どんな研究を?
 食道がんを研究しています。食道がんにはフソバクテリウムという細菌が関係しており、食道がんの組織にこの細菌が多い人は予後が悪いらしいことを、私たちの研究室から報告しています。
 オンオフがしっかり分かれ、今はできませんが、オフには和気あいあいと飲み会や旅行を楽しむ研究室です。そんな場には馬場教授も参加。時には厳しい、私たちにとってとても大きな存在です。がんについては分からないことも多く、少しでもその原理に迫り、早期発見やより良い治療法の確立に繋がれば、という思いを全員が共有しています。

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医員
伊東山 瑠美さん

ーなぜこの研究室に?
 予後が悪いがんの代表とされるのがすい臓がん。手術できる人自体が少なく、手術して完治できる人はさらに少ない、というがんです。外科医として、限界を感じるすい臓がんについて、新しい治療のきっかけになるようなものを見つけられたらと思って研究を行いました。
 臨床現場では失敗はできませんが、研究では、失敗し、なぜそうなったか、次はどうすればいいかを考えて先に進むことが不可欠です。研究生活で日々自覚していた、毎回自分が行ったことを振り返り、次を考えるステップは、今後臨床に戻ってからも無駄にしないようにしたいと思います。

密着!大学院生命科学研究部消化器外科学

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米国癌学会2019の様子

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研究室で旅行も行っています

(熊大通信78号 (2020Autumn)10月発行)

 

お問い合わせ

総務課 広報戦略室

096-342-3119