日高利泰研究室(文学部)
マンガを切り口に現代の社会や文化を見つめる
歴史など幅広く学び研究の土台をしっかり
この研究室のメインの研究テーマはマンガ研究ですが、現代の文化、ジェンダー、教育、メディアなど、マンガ以外を研究テーマとする学生も多くいます。マンガは身近でとっつきやすいかもしれません。しかし、研究するにあたっては、マンガだけを読めばいいというわけではありません。背景にある歴史など、幅広く学び、研究の土台をしっかりさせることが大事だと学生に伝えています。
また、研究を通して学生には、自分の主張を裏付ける根拠を集めるプロセスと、論理的な文章の書き方を身につけてほしいと思っています。今後は、国際交流や留学に興味がある学生にも来てもらいたいです。
研究室の特徴
1.貴重なマンガ資料に触れることができる
全国からマンガの雑誌や単行本が熊本に送られてきています。中には古い貴重なものも含まれていて、それらに実際に触れることができます。
2.マンガ以外の研究テーマもOK
ジェンダーやファッションなど、自分の興味のあることを研究テーマに深堀りしていくことができます。一見くだらないように思えるものでも、掘り下げていくと私たちの暮らしや社会、人間のあり方などにつながっていくことが分かります。
3.アットホームな雰囲気
「のびのびと研究ができる」「ストレスがない」と学生が口にするように、楽しく研究ができる環境です。
主な就職先
公務員、一般企業、進学(会計専門職大学院)
学生から一言!
文学部コミュニケーション情報学科
現代文化資源学コース3年
田中 瑞希さん
—どんな研究を?
フェミニズムをテーマに、哲学者のナンシー・フレイザーとアクセル・ホネットの『再配分か承認か?』を読んで、自分なりの解釈を考える研究をしています。2年でジェンダー学を学んで興味を持ち、日高先生がジェンダー学にも詳しいということで、この研究室を選びました。
論文を読むのは大変ですが、社会をどういう風に捉えているのか分かったときに面白さを感じます。2人の考え方が分かってきたので、日本の政策とどう結びつけていくかを考えていきたいと思っています。
—研究室の良いところは?
自由度が高く、のびのびと研究ができることと、論理的思考が身につく身になる研究ができることです。日高先生に興味があることを伝えると、関連した本を紹介していただけます。それを読んで思ったことや興味を持ったことを伝えると、また新しい本を紹介してくださるので、先生と話すことで一人ではできないところまで深堀りすることができます。
文学部コミュニケーション情報学科
現代文化資源学コース3年
中原 瑞保さん
—どんな研究を?
市川春子さんのマンガ『宝石の国』を題材に、主人公の自我の変貌について作家論の観点から研究をしています。このマンガでは、主人公の性格や考え方がどんどん変化していきます。他の作品にはない特徴で、ここに注目して研究すると面白そうだと思い、この研究テーマを選びました。どこで主人公の内面がどう変化するのかを意識しながら読むので、娯楽で読んでいたときと読み方、感じ方が全然違います。そこもまた面白いところですね。
—この研究室を選んだきっかけは?
卒論は好きなことで書きたいと思い、マンガ研究をやっているこの研究室を選びました。マンガ以外の研究をしている学生も多くいますが、だからこそ面白いと感じています。また、この研究室では、「こうではないか」、「ああではないか」と自分の考えについて指摘されるのではなく、「そういう考え方もあるね」と受け入れてもらえるので、のびのびと研究ができます。
うちの研究室自慢
それぞれの研究テーマについて発表するゼミの様子
マンガ資料の目録づくりなど実物に触れて資源として整理する手法を学びます
(熊大通信84号 (2022Spring)4月発行)