学長と学生との懇談会(工学部)

日時 平成13年10月25日(木)12:00~12:45 20011219.jpg
場所 工学部附属工学研究機器センター2階セミナー室
出席者 江口学長、良永副学長、野中学生部委員会委員
参加学生 学部学生 32名
陪席者 工学部教職員 12名、学生部 3名

司会
皆さん、こんにちは。時間になりましたので、これから工学部における学長との懇談会を開催させていただきます。この会の司会をさせていただきますのは、学生部委員であり、且つ工学部の学生委員長をしております物質生命化学科の野中でございます。よろしくお願いします。
さて、本日は昼休みにもかかわらず、皆さんにお集まりいただきまして、ありがとうございます。現在、熊本大学も独立行政法人化などの大きな問題を幾つも抱えております。それに対して、毎日、学長のリードの下で、懸命な取り組みがなされており、本日1時から、運営会議、評議会等が行われると聞いておりまして、このような時間の開催になったわけでございます。
また、大学には、皆さんご存知の様に、子どもが将来少なくなるという少子化の問題もございまして、熊本大学も更に魅力のある大学でなければ、学生が入学して来なくなるということも考えられます。大学を魅力あるものにするためにどうしたらよいかということで、まず学長がお考えになったのは、直接学生の意見を聞いてみようということで、この6月から学部ごとに懇談会が開かれております。
この会で確か5回目だと思います。非常に短い時間ではございますが、学長にお願いしたいこと、聞いておきたいこと等、皆さんにお話しいただいて、また、直接学長からお答えいただいて、この会を進めたいと思います。よろしくお願いします。
それでは、学長、一言ご挨拶をお願いします。

学長
今日、集まっていただいて有り難うございます。こういうことを思い立ったのは、最近ではなくて、実は、僕が5年前に来た時に、すぐ思い立ったんです。それで、平成9年に当時の学生部委員で法学部の篠倉先生に、そういうことを話しましたら、いい機会であるので、各学部から1~2名大学院生を含めて学生を集めていただいて、くすの木会館で夕食を食べながら、3時間弱話し合ったわけです。
その後、是非、こういう機会を頻繁にやって欲しいとお願いしたんですけど、夕食を食べながらというと、大学に残念ながらそういう予算がなく、学生諸君に夕食の費用など負担をかけねばなりません。それで、折角の機会が無くなってしまう。何とかできないかなということで、取り敢えず効果があるかどうかわからないけれども、私が各学部を回って、1時間でも30分でも話し合うという機会が出来ればとお願いして、こういう機会を作っていただきました。
それで、私は、このような懇談会がきっかけとなって、簡単に僕を捉えて食堂ででも話し合いをするというようなことになればと願っているわけです。それでもきっかけが無い。卒業式や入学式でしか、僕の顔を見ていないと思うので、できるだけ距離を無くしたいということが1つありまして、それでこういう懇談会を開くことになりました。最近、文学部の学生が「こういうことをしているんだけれども、学長はどう思いますか」と尋ねて来てくれました。この懇談会は、非常に良いきっかけになっていると僕は確信しております。
今日は、14時から定例の大事な会議があるんですけれども、残念ながら、いろいろな事情で会議が1時間早くなりました。1時間フルに使えなくて申し訳ない。だけど、皆さんがこれから45分ぐらい、ここでいろんなことをおっしゃって、私がそれを理解して、その結果、皆さん自身が「こういうことは割合意義があるな」と思われるなら、また呼んでください。全ての学科の学生が集まる必要はないと思います。学科単位でもいいし、こういう会を続けてざっくばらんに日頃思ってることを言い、忌憚の無い意見を聞きたいと思います。よろしくお願いします。

司会どうも有り難うございました。皆さんの前にサンドイッチとジュースがありますので、それを食べながら気楽にいろいろお話をしたいと思います。

副学長
学長の隣に座っております副学長の良永と言います。
法学部所属で、教育・学生生活担当として、学長を助けて仕事をしております。
野中先生たちのご協力を得てこういう会を持てたことを、大変うれしく思っております。今、大体皆さんたち、お気づきになったと思いますけれども、学長は非常に気さくな方でいらっしゃいますので、どんどん何でも、方言を交えても構いませんから、自分の思っていること、考えていること、聞きたいことをどんどん話してください。時間の制約があって大変申し訳ないんですが、またの機会もあろうかと思います。よろしくお願いします。

司会
どうもありがとうございました。それでは、早速皆さんの声を聞きたいと思います。少し食べたり飲んだりした方が、リラックスできるかもしれない。しかし、その間にちょっと進めておきたいと思います。先程お話が出ましたように、1時から運営会議があるということですし、皆さんも講義が50分からありますから、12時45分ぐらいには終わりたいと思いますので、早速ご意見を聞きたいと思います。どなたか、手を挙げて何かありませんか。

学部4年
1年の時から疑問に思っていたのですが、今の環境システム工学科は、土木と建築が一緒になっています。多分、今の建設業界の動きの中で、土木と建築の境目を無くそうという試みの1つだと思うんですけど、実際のところ、入ってみると、入学した時には土木と建築の希望は出せても、学校側の方で土木と建築のどちらに行くかが勝手に決められてしまっています。僕は実は建築を希望していました。
今は土木にいて、それで良かったというふうに思っているんですけども、実際、他に建築に行きたかったという人がやはりたくさん居たんですね。もし、土木と建築を同じ立場に置こうということであれば、枠組みだけを環境システム工学科というふうにするのではなくて、授業なども一緒に交えるようなことがあってもいいのではないかと思うんですけれども、その辺はどうお考えか、お聞かせ下さい。

学長
それは、今、君が質問した問題というのは、従来どおりの体制で両学科が有機的に連携しても良いと理解できますが、以前は建築学科、土木学科となっていたのを統合し、環境ということを念頭に置きながら、土木と建築の一体化を目指して新しい学科として環境システム工学科という名前が付いているのかなと思うわけです。とすれば、講義にしても先生方の組織にしても、完全なミックスチュアーであるべきなのに、現実はそうではないということですね。
今のご指摘は、環境システム工学科という1学科の中で、土木系、建築系というのがあって、どっちかに行かざるを得ない。それで、どっちのことも十分勉強できるようになっていいんじゃないかというようなことになったときに、例えば、こういうふうに考えてみませんか。
土木学科の先生方、建築学科の先生方がいらっしゃって、そういう先生方は、それぞれに、そんなに言われても、先生自身土木と建築を統合化したような、しかも環境ということを念頭に置いてというようなことは、研究上も教育上のことも、経験がないわけです。そしたら日本に、そういうことをきっちり教えることができる、統合化したような、そういう人いるかっていうとそうでもないわけです。先生方自身もそういう方向に向けて努力する。だから丁度過渡期にあなた方は入って来られたんで、大変その不満は大きいと思いますが、もうちょっとするとね、僕が言ったような意味での実質的な統合化ができると思う。
そう言うけれども、今の工学部の環境システム工学科を見る限り、学長の言うようなふうには絶対にならんと思うというのであれば、それは問題である。
それともう1つ、学生側の非常に具体的な問題点として、自分の意志と殆ど無関係に、将来どっちに属するか、どっちの系に属するかということが、かなり大学側の事情で決められてしまうということであれば、そういうことは、少しでも直していかないといけませんね。大学っていうのは、そういう点で融通性に欠けるところがあるんです。
だから、学生諸君にとって望ましい状況というのは、例えば建築系に入ったんだけど、やっぱり自分にそぐわない。そしたら、土木系の方に替われる自由度がもうちょっとあってもいい。そういうような、融通性というのが問われます。答えになってるかどうかわかりませんが。その点については、僕は、直接環境システム工学科の先生方に、そういう問題を突きつけるべきだと思います。それを先生方がそっぽを向いておられるんだったら、私怒ります。そういう努力も一方で、学生諸君に是非していただきたい。
それでもう1つ、ちょっと長くなりますけど、自分の人生を振り返ってみて、僕こう思うんですよ。私は今、生物学者としてそれなりに周りに認知されています。しかし、本当に自分にそれがふさわしかったかどうかということになると、これは死ぬまでかかってもわからない。皆さんのタレント(能力)は一定の方向に確実に収斂していきます。それと無関係に興味というのがある。一番大切なことは、興味と自分の本来のタレントを如何に合致させるかなんです。上手く合致させた人ほど、僕は満足のいく人生が送られると思うので。そういうことは自ら模索することです。
今は、1年、2年、日本の国の大学に居ると相当経済的にも困るけれども、皆さんの中に、そういうことが当たり前にわかっておられて、「1年や2年、ゆっくり勉強したらどうや」というようなご両親をもっておられる人がいらっしゃったら、是非じっくり模索してください。1年、2年道草くう学生がどんどん増えて、教室が溢れて一杯になって困るという事情もありますけど。僕は今、後半部分は強く望みます。夢と自分の本来持ち合わせたタレントを如何に一致させるか、これは人から教わるものではなく自ら努力することだと思います。

(注)
現在、環境システム工学科においては学生の意向になるべく沿えるよう、下記の制度を設けています。
土木環境系(環境共生工学コース・環境構築工学コース)から建築系(環境プランニングコース・環境デザインコース)への転系(転コース)については、2年進級時において転コースを希望する学生に対して1年の学修状況や面接による審査を行い、若干名の転コースを認めております。また、建築系から土木環境系への転コースについても各年進級時において同様な審査を経て転コースが可能となっています。
上記の制度によって、転系の対象となった学生の実績も挙がっています。当学科としましては、入学希望者の学習意欲が決して損なわれることの無いような入学者選抜制度や教育内容に対し、現在も調査研究を続けていることろです。

司会
大変貴重なご意見で、工学部自体が考えなければいけない問題と思います。有り難うございます。それでは、他に手を挙げてください。

学部2年この前、くすの木会館で知のフロンティアというのが行われて、その時学長は「これからは、生命科学というのを熊大の中心的なテーマとして進めていく」と話されたのですけども、これから具体的にどのようなことを実施していくのですか。

学長
もうちょっと時間があったら、こういう質問を受けなくても済むことまで語れたと思いますけど、皆さん生命科学というと、例えば医学・薬学・生物学とか、そういったことを頭に浮かべる。それは僕は間違っていると思うわけです。僕の言う生命科学というのは、半分かそれ以上は、人文社会科学です。
例えば、確実に高齢化が進んでるでしょう。これはもう、どうしたって止めようがありません。特に機械文明の発達した国、属に言う先進諸国では、どうしたって止められない。
それと高齢化が進めば進むほど、老人医療とか老人看護というのが、ますます昂じてきますね。手足が不自由になった人が増えた時に、やっぱり工学に対する社会的ニースだって変わります。都市設計、それから家の建築、在り方がガラッと変わる。そういう人々が安全に一日生活を営むために、どういう家とどういう都市が一番望ましいか。それにプラスして環境問題があるでしょう。そうすると、もう単純に医学部・生物学部・薬学部などのいわゆる理系だけの生命科学では駄目なんだよね。それで、いわばネオ・ライフサイエンスと位置付け得るような、人と社会の科学を大きく取り入れた、新しい生命科学を僕は念頭に置いているんです。
大学を特化させて、それで国際的に評価させるには、やっぱり熊本大学は、そのような領域で一流であり、人文社会科学もそっちの方向にもきっちり向いているということにしたいわけです。そうすると、熊本大学の今の一番のアクティビティは何か、一番アクティビティの高いところを糾合していくのが一番早いし、有効だと。そういうことで、ああいう発言をしました。
だから、例えば工学部で生体物質に関わる分子を研究しようとする場合でも、その中で閉ざされた科学ではなくて、僕が主張する意味での生命科学を営むという新しい問題意識が芽生えるのではないかと思うのです。だから理系の人にこれから特に勉強していって欲しいのは、人文科学系の学問、そういう意味です。
それでね、私は生物学者です。バイオロジカル・サイエンスとライフ・サイエンスの違いは、これは、皆さんは賛成してくれるかどうかわかりませんけど、僕の頭の中ではきっちりしている。バイオロジカル・サイエンスというのは、人間以外の生き物の学問です。人間以外の生き物を人間がしっかり研究して理解することによって、人間というのは具体的に言ったらどういう生き物なんだろうということを認識して、人間が地球上に健やかに少しでも生き延びていくために、どういう生物観、地球観、それに生命観を持ったらいいかというのを模索する科学です。ライフ・サイエンスというのは人間のライフを扱う科学です。そういうふうに私は峻別をしております。

司会
よろしいですか。それでは他にありませんか。

学部3年
授業などを受けていて、先生によって指導力といいますか、勉強は頭の中でいろんなことをわかっておられて、一杯知っておられるんだろうけど、教えることに対しての力は均等じゃなく、上手い先生もいれば、あまり上手でない先生もおられる。各先生同士で教え方の勉強等はしないのですか。

学長
それは非常にいい質問ですね。我が国は、特に幼稚園から始まって大学まで、今あなたのご指摘にあったように、先生が如何に学生諸君に知恵を伝えていくか。一番大事なことは、学生諸君が如何にやる気が出るように仕向けていくかということの、先生同士の勉強が欠落していると思うんです。だから、それではいけないということで、先生方は、ファカルティ・ディベロップメントというのをしっかり実施しなさいと、文部科学省も強く各大学に希望しております。

それで、私は、ここに先生方がいらっしゃるけれども、こう思ってるんです。自分のしている研究が、きっちり理解できており、良い研究を営んでおられる先生は、確実にわかりやすく話ができる。自分の言葉がよくわかるから、人にわかりやすく伝えられる。もしかして、わかりやすく伝えられない先生というのは、やっぱりよくわかってないんですね。そういう先生が大学にいらっしゃるのも、僕は当たり前だと思います。先生だって自分の専門領域において、決して第一人者にはなっていない。そっちに向かう過程の先生方、特に若ければ若いほど、そういう過程の先生方はいくらでもおられるし、ただ、君のご指摘は、一口に言うと、先生方がもうちょっとそういうことについて勉強し合ったらどうかということですね。私もその通りだと思います。
例えばアメリカ合衆国なんか、そういうことは非常に厳しくて、特別な委員会がありまして、その委員の先生が講義を聴くわけですよ。そして、その先生に来ていただいて、まずいところがあったら、こういうところを改善した方がいいよとか、板書のしかたとか、或いはどういうフィギュア、どういうイラストレーションを用いるかとか。そういうことを一々指摘して、提言をしているんです。

それで、本当に学生にわかりやすく、大学では教えるんじゃなくて、学生諸君の能力を引き出すのが大学の教育の目的ですから、そういうことに応えうるような教育を営んでおられる先生方には、それなりの給与を差しあげるとか、そういうシステムができてますので、特に法人化以降は、そういうのを是非、僕は積極的に取り入れるべきだと思っております。

副学長
今の質問は、大変大事な質問だったと思います。学長の方から殆ど話がありましたが、「熊大だより」という学生の皆さんに対する広報誌があります。どこかで見たと思いますが、その最新号の頭の文章に、今の質問に対する回答にはなりませんけれども、今、熊本大学の先生たちがどういうことに取り組んでいるか、ちょっと私が記事を書いて紹介してますから、是非読んでいただきたいと思います。「FDとはなんだろう」という表題です。

FDって聞いたことないんで、中身を読んでいただくことになりますけど、少なくとも、わかる授業、理解できる授業、それから興味関心がより強まるような授業になるためにはどうしたらいいかということを、先生たちがバラバラではなくて、ある程度まとまって一緒に共同研究したりしています。即効性はないかもしれないけども、きっとよくなるだろうと思って、今、頑張っておりますので、その記事も読んでいただくと大変有り難いと思います。
以上です。

司会
それは「熊大だより」に副学長が「FDについて」ということを巻頭言にお書きになっておられますので、是非読んで下さい。その「熊大だより」は、現在配布中です。

学長
今、熊本大学のホームページに可能な限り役に立つようなものを載せる努力をしておりまして、こういう皆さんとの懇談会、今までやったのが全部出てます。そういうのを是非、暇があったらクリックして見てください。

司会
知能生産システム工学科の学生君はまだのようですが。

学部3年
地方大学と関東、関西などの有名大学の学生の違いっていうのはどういう点にあるのでしょうか。

学長
あのですね、僕は、名古屋大学を卒業して、名古屋大学の大学院に1年在籍して、それから助手になって幾年か過ごし、京都大学に移りました。京都大学の助教授を経て、再び名古屋大学の教授、それから、岡崎国立共同研究機構に新しく出来た文部省の直轄の研究所、基礎生物学研究所で一番長く過ごしました。あなたは今、地方大学と言いましたでしょ。あなたの言い方によると、私は、いわゆる旧帝大というところを経て初めてここに来たんです。

私は、今や地方大学という概念は忘れるべきだと思う。今、世界中の大学で共通に起こっていることは、大学の地域化と国際化が同時に進行していることです。それで、地方大学と言うけれども、あなたにとって中央の大学、地方の大学ってなんですか。有名な大きな、例えば東大とか京大とか、そういう大学をイメージするでしょ。
しかし、そういうのは忘れて欲しい。なぜかと言うと、僕らが大学に入る時には、東大・京大というのは、本当にどっからともなく日本中からイーブンに学生が来てました。今は全然違い、東大では、東京都・神奈川・埼玉・千葉、そこの出身者が大半です。京都もしかり、それ地域化でしょ。それと同時に、大学もインターネットが発達して、大学の営みは瞬時にしてわかる。地方に埋没しておっては、大学は決して国際的になれない。そういう観点に立って学生諸君は考えて欲しい。
それで、昔の学生はどう違うかといったら、それはどこの大学を選んでも、上の方は皆同じです。例えば熊本大学の学生諸君のトップクラスは、東大に行ったって、京大に行ったって、きっちりとトップクラスに属するでしょう。僕の経験で言うと、問題は平均値的な部分です。私は名古屋大学を卒業して京都大学に行った時に、「しまった!」と思いました。「何故俺は京大に来んかったのか」それだけの実力はありましたから。
自身のことを言って恥ずかしいが、僕は高等学校でいつもトップクラスでしたからね。東大の集中講義を行った時にも、「何で俺は東大に来んかったのか」と。その思いはどういうことかと言うと、平均値的に高いところに置かれるのと、平均値的に低いところに置かれるのと全然違うわけですよ。特に日本人っていうのは、アグレッシブに、「そんな成績の良くない人と付き合っとれん」、「わしはもっと上へ行く」ということを実行することが苦手です。
知らずのうちに下の方に合わせようとするんです。だから、僕の言うことは間違っていないと思うのでね、あんまり地方大学、地方大学というのは忘れて、「俺の居る大学はいい大学だ」と。如何にして平均値レベルを高めるかということに努力するべきだと思いますね。答えになっているでしょうか。

司会
それでは、他に。

学部3年
今、前学期の試験が9月に行われます。何故、9月という時期になったのかということと、7月に試験があって、夏休みが8、9月というところがあるんですね。そうなったら、夏休みにもっといろんなことができるのかなって。9月にテストがあるっていう足かせを無くすことはできませんか。

副学長
私から答えます。その問題は、そのとおりだと思います。そのとおりっていうのは、私も、7月の終わりから、遅くても8月の初めまでに、試験も含めて前期の日程は全部終了する。そして8月、9月はたっぷりと時間をとって学生諸君の好きな時間を過ごしていただきたいと思ってます。
私が委員長を務める大学教育委員会という熊大の教育に関する最高会議がありますけれども、そこでそれを今、一生懸命検討しています。それで、今、審議の真っ最中です。やっぱり先生方もいろいろ意見があるので、今のままがいいという先生もおられるんです。要望としては、あなたがおっしゃったような方向が大事だと思ってるので、近々、14年度からいくのか15年度からいくのかはちょっとわかりませんが、遅くとも15年度には実施したいと思ってます。
お約束できるかいうと、先生たちの意見をまとめる必要もあるから、ここで「そうします」と、私がトップダウンで全部決められるならいいけど、やっぱり大学というところは、皆さんの意見を聞いて決めていかなければならないところですから、固い固いお約束というわけにはいけませんけれども、そういうことに今努力しております。

学長
要するに外国の大学は、2期なんですよね。日本の制度は、古くから前期が夏休みで分断されている。それでそういう不都合なことが起こってて、留学生が熊本大学に来てくれるときでも、噛み合わないという制度です。それで、今はそうなってるかどうか知りませんが、ドイツの大学はね、かつては気温が30度になると、「暑い」と言って夏休みに入るんだそうです。そういう融通性があってもいいなと思います。それで、たっぷり休みをとるんです。授業が行われている時は一生懸命に勉強し、休みはたっぷり骨休めをする。

司会
はい、他にございませんか。

学部2年
熊本はアートポリスと言って、他に比べれば勉強するのも非常に有利なところだと思うんですけど、専門的な課題を調べようと思って図書館に行くわけですけれども、資料がかなり少ないわけで。

学長
それは中央図書館ですか。

学部2年
はい。それであってもすごく古い。これからちょっと増やしてもらいたいと思うんですけども、それについてはどうでしょうか。

学長
それは工学部に限らず全学部の非常にシリアスな問題だと思っております。大学の図書館のあり方というのは、どんな本があるのか、そういうのをきっちりと保存して、如何に新しいものを入れていくかということを、常に考えていなければなりません。それには、図書委員会というのがあって、先生方も職員もそういうことをお考えになって、各学部からの要望をくみ上げて、整備は行っているんですけど、はっきりいって非常に予算が少ないんですよね。でも、予算が少しでも有効に使えるように、どんどん注文を出していって欲しいと思います。
注文出せと言うけど、何処へ行ったらいいのかわからない人は、今は、大学の中で、Eメールなんかも十分個人的に送れるようになってるでしょ。だから、学生部に具体的に「こういう雑誌があってしかるべきもの」とか「こういう書物が熊本大学の中央図書館に無いということが問題ではないか」ということで、どんどん流してくれることも一方では非常に大事なことなんです。

司会
よろしいですか。はい、他にございませんか。

学部3年
来年からジャビィというシステムが導入されるということを耳にして、それで、たぶんなんですが、単位を落とす人が増加すると思うんですが、そういう対策とかはないんですか。

学長
僕ね、それ単位なんか落とさないと思うけどなぁ。あれは、どういうところから出てきたかというと、倫理的なところから来ているんです。今、生命倫理とか、例えば生物の実験だとか、或いは医学的な実験など特に人を材料にするような場合、どんどん規制が出てくるでしょ。だけど、ノーベルは液状のニトログリセリンというのを固形化して、非常に扱い易くした。それによって、産業がものすごく栄えた。
一方では、戦争の様体がガラッと変わった。どんな領域でも、どんな科学でも、そういう科学の所産が、人々にどういう悪影響を及ぼすかというのが、あらゆる領域で、やっぱり今やきっちりしておくべきであるというのが、根底にあるわけです。
だから、そういうふうに考えたら、僕、そんなこと、全然心配する必要ないと思う。そういうのを取るために、教科が多すぎてパンクするんだったら別問題なんだけど、そんなに増えるはずないと思ってますから、そういうのがきっちり営まれとる大学は、国際的に技術者養成大学として認定されますよと。単位を落とすような心配はないということを先生に聞いてください。サボってたら落とされますよね。はっきりしとる。普通にやってたら大丈夫ですよ。あなただったら大丈夫だ。何故かと言うと、もう既にそういう心配しとるから。

司会
はい。時間があまりありません。あと1つぐらい。

学部4年
来週なんですけれども、大学の方で熊粋祭という大学祭があるんですけれども。先生はこの熊粋祭というのが、これからどういう方向に進んで行けばいいかと思っておられますか。

学長
それは簡単です。「あぁ、熊本大学の熊粋祭に行ってみたけど、いいもんだなぁ。やはり熊大生は品があるなぁ」と。是非、「ああいうお祭りだったら応援したいなぁ」というようなものにして欲しい。もっともっと変化に富んだものにして欲しい。食べ物ばっかりでなく。例えば皆さん、器用な人はいろんな手作りできるじゃないですか。石ころ使うとか、材木使うとか。そういうのを売ったらいい。

学部4年
大教センター周辺もそうなんですけれども、余りにも出店が多すぎるんだと思うんですよね。それで、あまりにも整理されてないっていうことで、ごちゃごちゃし過ぎて何処に何があるのか全くわからない。パンフレットだけで探さなきゃいけないという状態になってて、交通整理のほうも、自転車が入ろうにもあちらこちらが閉まっていて、通られない。

学長
あれはですね、100%学生諸君の自治で営まれている。それで、学生部から予算の援助も多少あるのかな。そういう援助の下に学生諸君が100%の自治で営んでいることなんで、僕はこうしなさい、ああしなさいということは言いません。僕は、品良くやれということを大きな声で言うだけです。
まさにあなたのような人が実行委員をかって出てくれて、理想的な大学祭はかくあるべきだというふうに引っ張っていってくれることが一番大事だと思います。

司会
今、おっしゃったこと、ちょうど私が学生部の二部会長をやっており、熊粋祭の窓口になっています。工学部でも熊粋祭に積極的に参加しようということで、「工学部探検2001」というのを昨年私が委員長になってからやっと始めました。
皆さんも是非「工学部探検2001」に参加して、学長がおっしゃるような品のある大学祭にしていきましょう。

学長
申し訳ないと思います時間が短くて。それで、「あぁ、こういうようなことだったら気楽だな」、だから、こういうことについてもっと話をしようというようなことであれば、私も時間が取れる限り参ります。個別に1、2人というと効率が悪い。学生諸君が、「あんな江口学長なんかと話したってあんまり意味ないから」ということだったら別ですけれども、「もうちょっと突っ込んで話し合う意味があるな」と思ったら応じますので、今日はお許しください。
どうも有り難うございました。

司会
それでは、貴重な時間、学生の諸君もありがとうございました。学長も自分の意見を素直に話していただきました。今後の大学の運営に活かしていただければと思います。
どうも有り難うございました。

学長
今日お会いした皆さんね、これから僕が外でお会いしても、思い出せない場合もある。そういう時は声を掛けて下さい。 「忘れたか!」と。
是非、お願いいたします。

司会
どうも有り難うございました。

副学長
学長と会いたい時は、学長は本当はとても忙しいから、いきなり学長室へ行ってもなかなか居なかったり、会議があってたりして会えませんから、会いたい時は、ここに学生部学生課の職員の方がいらっしゃる。学生課は、大教センターの1階にあるんで、そこで会いたいと言えば時間調整を図ってくれます。私はその隣にある副学長室にいますから、私のところに飛び込んできても勿論構いません。会いたい時はとにかく言ってきてください。何とか会えるように時間調整しますので、よろしくお願いします。

どうも本日は有り難う。

お問い合わせ
経営企画本部 秘書室
096-342-3206