令和元年度の主な取り組み

国際化関連

留学生からの発信・交流

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(発表者の集合写真)

  本学で日本語を学ぶ留学生が、留学を通して得た経験や知識を日本人学生に対し日本語で発信する交流イベント「ポスター・セッション2019」を、7月と12月の2回にわたり、黒髪北キャンパス附属図書館にて実施した。このイベントは、留学生からの発信を通じて、留学生と日本人学生との交流の場を設けるとともに、日本人学生に対しては、海外への興味関心等を持ってもらうことを目的としている。発表する留学生は、7月は全員そろいのTシャツを、12月には民族衣装を着て自国の食文化等を披露し、来場者や日本人学生達との交流を図った。なお、この様子は地元のメディアにも取り上げられた。セッション修了後のアンケート結果によると、参加者の満足度は高く、さらなる言語習得への刺激や海外留学への興味が湧いたとの声や、今後の継続について期待の声があった。

サマー・スプリングプログラム

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(日本文化体験)

 本学の協定校に在学する学生に対する交流プログラムとして、サマープログラム(7月)及びスプリングプログラム(2月)を実施し、それぞれ57名と36名の参加があった。このプログラムは、短期の日本滞在を通して、日本の良さや熊本の良さを経験する機会を提供し、将来的に本学への留学意欲を高める目的で実施している。プログラムでは、グローバル教育カレッジでの講義、日本及び熊本の文化・歴史体験、実地見学旅行等を実施し、本学へ留学するための具体的方法・手続き等を説明することにより、本学正規生や短期留学プログラム生としての入学を継続して推奨することが出来た。なお、本プログラムには本学の学生がサポーターとして参加し、外国人学生と共同で活動を行うことで、本学学生のグローバル意識向上にもつながった。

日本語講座

 熊本大学日本語講座は、本学の留学生、外国人教員や研究員とその配偶者が、日本で生活するために必要な初級日本語の基礎を学ぶもので、平成29年度から実施しており、令和元年度は黒髪北キャンパスで全8回、本荘キャンパスでは全2回を開講し、それぞれ81名と17名が受講した。講座では、ひらがなやカタカナレベルからはじめ基礎文法などを学習し、地域との交流や生活の際に必要な日本語及び日常生活に必要な日本文化や習慣について学んだ。

熊本大学特別講演

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(名誉フェロー授与の様子)

 令和元年10月、2011年から6年にわたってシンガポール大統領を務めたTony Tan Keng Yam博士による特別講演会「しなやかな国家建設のために-シンガポールの経験-」を熊本大学工学部百周年記念館にて開催した。講演では、著しい発展を遂げたシンガポールの国家建設メソッド、政治・経済の現状及び博士の考える日本の課題について概説された。講演会終了後には、原田信志学長から博士に対して、本学名誉フェローの称号が授与された。Tony Tan Keng Yam博士の日本での講演は、シンガポール大統領退任後初のことであり、本学の教職員、学生及び地域市民に貴重な機会を提供した。

 

ガバナンス改革関連

国際担当副学長と部局長との意見交換

 本学の副学長(国際交流担当)と7学部・6大学院の長とで意見交換を実施した。意見交換の場では副学長(国際交流担当)より、本学のこれまでのスーパーグローバル大学創成支援事業をはじめとした、国際関係の取り組みや、本学の長期的な国際戦略について説明があった。また、各学部長等からは、学部・大学院における固有の国際関係の取り組みや国際交流状況の説明、課題の共有、今後の方針について説明がなされた。本意見交換により学内における国際関係の取り組みについて情報共有がなされ、本学の国際戦略について再確認を行うことが出来たとともに、全学部・大学院一体となった国際事業の推進の方向性が確認された。

教育改革関連

グローバル課外教育プログラム

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(インドネシア留学での学習)

 グローバルリーダーコース(GLC)においては、特色ある教育活動として「グローバル課外教育プログラム」を提供している。毎週実施される「GLC Foundation Seminar」と題した課外活動では、本学に在籍している留学生との交流や学内外から講師を招いた特別講演会に加え、地域の課題をグローバルな視点で捉え、国際対話力を培うことを目的とした合宿研修を実施した。さらに、長期休暇中には、インドネシア、マレーシア、ラトビアから渡航先を選択できる海外短期留学を提供している。行き先ごとに防災や多文化共生、リーダーシップ養成等について学習した。

大学独自の成果指標と達成目標

熊大グローバルYouthキャンパス

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(肥後時習館)

 熊本県内の中高生への早期グローバル教育及び国際交流活動の機会を提供するため、サマープログラム及びスプリングプログラムに参加している交流協定校の学生と英語で交流する「Meet&Greet」や、オープンキャンパスにて英語による授業を体験する「Summer Festa」等計13件の事業を実施し、SGH校をはじめとする熊本県内の高校から901名の参加があった。また、国際感覚豊かなグローバル人材養成を目的とした英才塾「高校生のためのグローバルリーダー育成教育プログラム(肥後時習館)」を試行的に開講し、県内の高校生33名が参加した。本プログラムでは、高校生が英語による講義や演習、留学生との交流等を通じて、英語の実践的コミュニケーション能力の向上や、高校の授業では得られない深い学びと自ら探求する学習を経験した。その他、県内各地の中学・高校に留学生を派遣して国際交流事業を実施する等、地域の早期グローバル教育に貢献した。

DDP合同カンファランス

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(カンファランスでの集合写真)

 令和元年12月、タイ王国マヒドン大学シリラ病院でDDP(Double Degree Program)合同カンファランスが開催された。本学医学教育部とマヒドン大学医学部シリラ病院、コンケン大学医学部、及びチェンマイ大学医学部との間でDDPが開始されたことに伴うもので、今回は、がん、感染症、脳神経の3つのテーマで発表が行われ、DDP候補となる学生を始めとする多くの学生・教員・研究者が参加した。また、合わせて今後の共同研究や学生・教員交流についての具体的な討議も行われた。本学医学教育部では、グローバル化の一環として2018年から博士課程のDDPを導入、この2年間で5名の大学院生を受入れており、海外連携の強化・拡大を図っている。

COIL (Collaborative Online International Learning)による国際協働学習

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(Facebookを使った活動の様子)

 グローバルリーダーコース(GLC)1年次生と、米国のニューヨーク市立大学スタテンアイランド校(CSI)との間で、COIL(オンライン国際交流学習)活動を行った。今回の活動では、国連の持続可能な発展目標(SDGs)をテーマに、Facebookを利用した活動を展開した。具体的には、グループに分かれて、SDGsの17の目標から1つを選択し、双方の学生によるビデオのやり取りやチャット、オンラインでのアンケート調査などにより、双方の国の現状やSDGsの達成状況についてリサーチ活動を実施した。その上で、活動を通じて得られた知見をグループごとにまとめ、GLC学生間でのディスカッションを行った。このCOIL活動による海外の学生との協働学習により、異文化理解やコミュニケーションスキルの習得に繋げることが出来た。

大学の特性を踏まえた特徴ある取組

GLC就職セミナー

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(講演会の様子)

 令和元年9月に、就職活動を控えたグローバルリーダーコース生の就職に対するマインドセットを目的に、GLC就職セミナーを開催し、2、3年次生を中心に57名が参加した。 民間企業、政府機関、研究者(本学教職員)から1名ずつ特別講師を招き、それぞれの所属機関の紹介や、世界を舞台に活躍する講師の職業観、海外の大学院に進学する方法とその後のキャリアパスなどについて講演いただいた。講演の後は個別の質問会を行い、講演の内容よりもさらに深い具体的な内容について参加した学生と講師との間で熱心な質疑応答が交わされた。参加した学生からは、「海外で働くことのモデルコースとして具体的に考えるきっかけになった」などの感想が得られた。