学長と学生との懇談会(留学生)

日時 平成14年2月21日(木)11:55~12:55 20020613.jpg
場所 くすの木会館レセプションルーム
出席者 江口学長、良永副学長
参加学生 21名
陪席者 留学生センター教職員 12名、学生部 3名

司会
留学生の皆さん、何人か授業がありまして揃っていませんけれども、12時50分までの予定ですので、もう始めさせていただきたいと思います。本日は、学長と留学生との懇談会ということで、たくさんの方々に集まっていただきました。熊本大学の学生と学長が、直接話すチャンスはとても少ないと思います。それで、去年の6月から、学長は、各学部を回って、熊本大学の学生さんと直接、いろんなお話をされてきました。今日は、その最後です。留学生センターと、それから熊本大学で勉強している留学生の皆さんと学長と、直接話すという会です。

今日は、21名の留学生の方に来ていただきました。学長は、留学生の皆さんが大好きなので、よくパーティの時は、本当によくお話をされています。今日は、机に座ったままですので、ちょっと緊張するかもしれませんけれども、留学生の皆さんと話すのをとても楽しみに学長はしていると思いますので、皆さんも、自分の考え、思っていること、困っていること、何でもいいですから話してください。それでは始めたいと思います。まず学長の方から皆様に一言お願いします。

学長
この会はね、会議ではないです。先生が司会されるとね、会議みたいになって非常に堅苦しくなる。私はそういうことを望んでないんです。どなたかが1人司会をなさって、会議じゃない、本当に私と皆さんの堅苦しい、日本語で堅苦しいとわかりますか。フォーマルなね、フォーマルなミーティングではありません。インフォーマルなミーティングです。Without chairman, I need not chairman at all. I do communicate directly with you.と。

それで今、先生は、私が去年からこういうのを始めたとおっしゃいましたけれども、5年前に私が学長としてここに赴任した直後から、常に学生諸君とこういう会を持ちたかったんです。それで平成9年ですから、1997年に、やっとそれが実現しました。夜、このくすの木会館で3時間ぐらい、すべてのファカルティから、graduate studentも交えて10数名の人と3時間ぐらい食事しながら語り合ったんです。それをアレンジしてくださった先生は、篠倉先生というfaculty of lawのプロフェッサーですけれども、こういう会議を続けられたらいいなと思っていたんですけども、なかなか難しくて。いろいろな理由がありますけど、1つは、夕食をここでとるというとお金がかかります。皆さんにそのお金を出してもらわなきゃいけない。おそらく皆さんは、夕食に2,000円も3,000円も使われないと思う。ここでそれをすると、ビールなんか飲みながらすると2,000円とか3,000円いると。残念ながら、大学にはそういうお金がないんです。オフィシャルのbudgetの中には。そういうこともあって、そういう会は1回で取り止めて、今は別の方法を、ここにいらっしゃるvice- presidentのプロフェッサー良永に考えて下さいということをお願いして、やっと去年の6月から私が各学部に出かけ、こういう簡単な食べ物を食べながら、1時間ぐらい学生諸君と語り合うと。それで留学生の皆さんとの機会が、今日となり、そしてこれが最後になります。

そういうことでありますので、どうぞ食べ物を召し上がってください。召し上がって、言いたいことは何でも言っていただいていい。 daily lifeのこと。あるいはeducationのこと。あるいは大学のfacilityというようなことなどどんなことでも、皆さんの思いを私にお聞かせ下さいということであります。

司会
ありがとうございました。司会はいらないとおっしゃいましたので、本当に自由な形でお話を。

学長
いや、司会はいらんといっているわけじゃない。学生諸君が誰か音頭とってくれたらいい。

司会
それが良かったんですが、ちょっとまだ留学生の皆さんに準備の話をしていなかったので、ちょっとそれは難しいかもしれませんが、隣に座っていらっしゃる良永副学長さんの方から一言お願いいたします。

副学長
皆さん、こんにちは。私は良永と言います。江口学長を助けて副学長をしております。主に学生の皆さん達の教育、それから学生生活上の問題を取り扱っております。学長から、学生の皆さんと直接に話をする場を設けて欲しいという強い希望がありましたので、私とそれから学生部の職員の皆さんとで企画をしましてこれまでずっとやって参りました。今日が留学生の皆さん達との懇談会であります。学長は、非常にフランクな方ですので、日頃考えていること、思っていること、何でも結構ですので、自由に発言をしてください。以上です。

司会
有り難うございました。では皆さん、目の前にサンドイッチとそれからコーヒーと、おいしいものが並んでいますので、どうぞ開けて食べ始めてください。召し上がってください。どうぞ。今日、出席の留学生の皆さんは21人です。後でもう自由に発言してもらおうと思いますけど、名前と所属だけは私の方からちょっとご紹介したいと思います。その後で、話したい人は自分で話を進めてください。

文学部1年生の康亮(コウ リョウ)さん、こちらの右側の方から行きます。じゃあ、ちょっとお辞儀をしてもらえますか。立たなくていいですので。文学部1年生の康亮(コウ リョウ)さん、それから同じく文学部1年生の葛楠(カツ ナン)さん、それからイギリスからの留学生で、MARY WEATHERBURN(メアリ ウェザーバーン)さん、それからドイツのBIRTE(ビルデ)さんはまだ来ていないようですが、台湾の研究生の同じく文学部の葛長珍(カツ チョウチン)さん、それから医学研究科のトルコからの留学生でMEHTAP YUKSEL(メヒタップ ユクセル)さん、それから法学部2年生の周盛斌(シュウ セイヒン)さん、それから工学部2年生の李光宇(リ コオウ)さん。皆様のお手元の名簿をご覧になりながらお聞き下さい。次の栄利(エイ リ)さんは、今日はちょっと都合が悪くてお休みです。残念です。その次は、廉リッカ(レン リッカ)さん、自然科学研究科です。同じく張炳謙(チョウ ヘイケン)さん、こちらはちょっと今、空席ですけれども、張雨陽(チョウ ウヨウ)さんと張ショウリ(チョウ ショウリ)さん、もうすぐ見えると思います。それから研究留学生のポーランドのSTENCEL JUNSTYNA(ユスティナ ステンセル)さん。それから、ガボンのMOUKANA JEAN(ムカナ ジャン オレリアン)さん。それから、教員研修生のミャンマーのKYU KYU KHIN(チュー チュー キン)さん、それから毛春玲(マオ シュンリン)さん、AQUILAR ERICK IVAN(エリック アキュラル)さん、それから李貞姫(イ ジョンヒ)さん。それから日韓理工系の留学生ですね。崔桓瑞(チェ ファンジ)さん、崔旭志(チェ ウッチ)さん、それから朴永乗(パク ヨンピョン)さん、以上21名です。

では、たぶん何か言いたいこと、話したいこと、たくさんあると思いますから、どなたからか手を挙げておっしゃってください。学長は、英語はおわかりになると思いますけれども、他の皆さんがわからない場合もありますので、マスデン先生が、どうしても英語でしゃべりたい学生さんには通訳をしてくださるそうです。他の皆さんはなるべく日本語で大きな声で発言をしてください。それから話をするときに自分の名前を言ってからお願いいたします。では、どうしましょう。まず最初に何か話をしたい人、いますか。最初はちょっと勇気がいりますけれど。

学長
あのね、こういうときに話をしようと思う一番いい方法は、常日頃、感じておる不満をポンと言うのが一番いい。

司会
じゃあ、不満を言うのが一番いいとおっしゃいましたけれども、先ほどちょっと私が話した方ですけど、何か不満があるような話でしたけれど。何かありますか。

博士課程1年
不満じゃないんですけれども、よろしくお願いします。私、1998年10月に中国から日本に来ました。今、自然科学研究科でドクター(博士課程)1年生になりました。もうすぐ4月に2年生になって、今、心配することがあるんですけど、熊本のことでありますので、学長と副学長、良永先生によろしくお願いします。

私の年齢のこと、たぶん留学生の中に一番に高かったから、今年48才になりますが、先生たちが聞くとたぶんびっくりしますが、今は、私も何年も前に日本に来たんですけど、もう日本に勉強したいんですね。私、初めて日本語全然わかりませんでした。大学の先生が教えたんですけど、今、日本語を話せてできました。生活とか困るんですけど、年齢が高いから、ある程度探してもなかなかむずかしいかなと。奨学金もらうことも難しい。今は奨学金を全然持っていないから、ちょっと生活費が困るんですよ。本当に奨学金とかをいただきたいんですけど、学長からよろしくお願いします。

今は、私の生活、難しいから、今、私は勉強することと、研究することを続けていたいんですけど、卒業するまであと2年半ある。もし、今年奨学金をもらえたら、今年は研究のテーマたぶん早くできます。研究すること、とっても面白かった。後は、もし研究成功したら、あと健康商品等を。今一番重要なことは、奨学金のこと。学長と、先生の皆さん、よろしくお願いします。

学長
こういうことですね。学費に困っている。それでアルバイトもなかなか見つからないと。もし、アルバイトが出来ても、奨学金があれば、もっともっと研究に打ち込めると。奨学金をなんとかせいと、こういうことだな。そうですね。あなたは、今は修士ですか。(今、ドクター1年生です。)ドクター1年生で、所属は自然科学研究科?医学?(自然研究科理学部)自然科学研究科ね。吉玉先生の、生物学ですね。

さて、奨学金、僕が奨学金を出しておるんだったら、造作ないんだけれども、奨学金は日本政府から出しております。それで、おそらく熊本大学の留学生で、国費の奨学金を得ておる留学生は何人ぐらいですか?(20%ぐらい)2割ね。(60名です。)60名ということは240、250人いるかな。25%ぐらいの留学生が、国費の奨学金を受けています。それは、日本中から見ると、だいたいアベレージです。それを熊本大学の留学生に、いかにそのパーセンテージを上げていくかということは、大学も努力しなければいけないけれども、留学生の皆さん自身も、これはアプリケーションですから、努力をして頑張って獲得するということが必要なわけです。

熊本市には、いろいろな私的な留学基金というのも得られるんだけれども、それはほんとうにわずかnegligibleといってもいいと思います。1ヶ月保障されるというようなものではなくて、人数としても非常に少ないし、一部3万円とか5万円とかいうオーダーなので、本当の意味での留学生のための奨学金というと、日本全体に枠ができます。それが配られていくので、日本政府自身も、留学生に来て欲しいと願うのであれば、そういうバジェットを増やしていく努力をしなければいかんし、私が言いたいことは、大学として、よりたくさんの国費留学生が得られる努力は日々やっております。皆さん自身が、成績が優秀であれば獲得できるわけですから、これは皆さんと私どもが一緒になってしないとなかなか難しい。

それでアルバイトが見つからないというようなことはですね、町で時々私は熊本大学の留学生とお会いすることがあって、よく聞きます。大変だと。そういうことについては、今後、学生部の方でも、より容易に健康な、ここのところが大事。皆さんのために健康にアルバイトのできる方法を一生懸命探索するということをお約束いたします。

大津留学生センター長
センター長の大津ですけれども、僕も、自然科学研究科なのでお知らせしておきますが、自然科学研究科はすごく留学生が多いんですね。それで1年生の時はちょっと無理ですが、2年生以上になれば、あなたも4月以降には、リサーチ・アシスタントか何らかの民間の奨学金は、おそらく工面してもらえると思います。期待してください。2年、3年生に関しては、必ずなんかそういった奨学金が当たるようになっているはずです。

学長
だけど大津先生、それだけでは生活できんでしょう。

大津
生活は、どの奨学金でもそうですけれども、国費だけですから。そんなのが出来るのは。あとはそれはそうですね。

学長
国費以外はね。

大津
奨学金かリサーチ・アシスタントはもらえるでしょうから、アルバイトをしなくても大丈夫です。

司会
よかったですね。何かいいニュースが聞けました。同じくやっぱり奨学金のことでちょっと質問がある方ですね、お願いします。

法学部2年
熊本大学に来てから、留学生課と留学生センターの先生の方々にお目にかかって本当にいいなと思いました。実は、私は留学する前に、北九州大学の経済学部の経営情報学科にも合格しましたが、そこは知人の方は、悪い言い方なんですけど、態度がでかかったんです。一方、熊大の先生と会ってから、結構、丁寧な言い方で対応してくださいまして、いいなと思いました。もちろん他の原因もありますが、これも一つの原因だと思いました。これはやはり大学のイメージですから、もし私が中国に帰っても、こういう好感を持って帰れたらいいなと思いました。やはりこういう仕事をやれるのはですね、こういう国際的なインターナショナルセンスを持っておれば、結構助かると思います。奨学金の問題なんですけど、私は去年も奨学金はいただけませんでした。幾つも申込みしましたけども、やっぱり奨学金の数も少なくなっていますし、留学生の人数も増えていましたので、これはしようがないと思います。おそらくこれは大学の責任ではないと思います。1つ言いたいのは、こういう奨学金の制度は、もうちょっと透明度がアップして欲しいです。誰がもらったか、どういう原因で駄目だったか。こういう透明度がもうちょっとアップして欲しいです。無理やり私に奨学金下さいとは言えません。

もう一つですね、授業料免除の問題なんですけれども、良永先生は、法学部の方にいらっしゃいましたが、たぶんこの問題はわかると思います。専門用語は難しくてなかなか「優」が取れません。今の制度では、留学生と日本人学生の成績を並べて、そういう並べ方は、こういう授業料免除という制度になっています。おそらく前は違ったと思います。たぶん僕が留学してから、この制度が成立したと思います。僕の場合はですね、他の方は知りませんが、私の場合は、ある科目はいくら粘っても「可」しかもらえませんでした。先生は、成績評価をするときは、全然学生を見ずに、公平に成績すると。これは結構いいことだと思います。私にも、私は留学生ですから、「優」を下さいとは言うことはできません。ですから、こういう制度はちょっと外していただけないでしょうか。

すいません、もう一言だけ。ある科目ですね、私は考えましたが、「可」しかもらえませんでしたけど、しかも毎回、欠席せずに出席しましたが、日本人の学生ですね、最初は何回か出まして、あとテストの時、何回か出まして、中は全然出ませんでしたけど、友達のノートを借りれて、これでも「良」をいただきました。ちょっと不公平なと思いましたけど、こういう科目に対して、生かすのかどうか。先生の判断なんです。やっぱり頭はいいですから、ちょっと勉強すれば「良」をとれるということですけど。

学長
3点ほどね、今、質問があったと思いますけど、奨学金を透明なものにして欲しいということが1つね。奨学金というのは、例えば自分が不幸にして通らなくても、アプライしても、受理されなくて、例えば別の留学生が奨学金をいただくことになったと。そういう場合にでも納得のできるような、「ああ、そういう理由だったら、自分が奨学金を得られなくても無理はない。」というような格好であるべきだということね、1つは。それでいいですか。

それは非常によくそういうことを言ってくれて、僕は大変嬉しいことです。それは、私はそういうものでなければいかんと思う。なぜ、自分が奨学金が得られなかったのか。得られた人は、どういう理由で得られたのか。これは非常に大事なことだと思います。それはね、おそらく留学生の奨学金と、日本人の学術振興会がやっている、いわゆる昔からの奨学金と、システムが違うと思います。そうでしょう。いわゆる学振の奨学金は、留学生は取れないんでしょう。

留学生課
留学生用の奨学金と日本人用の奨学金は全く別枠できてますので、留学生用は留学生だけということです。

学長
そうでしょう。だからシステムが違うので、一該に論ずることはできないんですけど、いずれにしても、それは非常に大事なことなので、どういうふうにすれば透明にできるかということを研究いたします。学生部にも研究していただきます。だから、A君が国費留学生奨学金を得られたのに、自分は得られなかった理由は何であったかと。あなたのおっしゃっていることはあり得ることであって、あっても仕方のないことだけれども、理由をはっきり知りたいと。自分が「ああ、そうか。」と納得したいということですね。

それから2番目は、成績の評価が、公平に行われているかどうかということですか。3番目もそれに関係していますね。それは、あなたは法学部? なら良永先生ちょっと、僕はそんなことがあっては絶対いかんと思うけど。最後に、何か友達のノートを見せてもらって、「良」をとったとか何とか言っていたけど。

法学部2年
日本人の方ですから、先生の話がわかったらですね、後はノートを借りて勉強すれば多分とれると思います。

学長
だけど、留学生にしてみたら、なかなかそれは難しいと。

法学部2年
はい。でも自分は問題を解けば、この成績の、例えば「優」を幾つとっているか。「良」を幾つとっているか。これは「優」は3点で「良」が2点でということを、平均してから。

学長
要するに奨学金のアプリケーションの場合でも、成績証明書を添付して付けていくので、本当に一方、奨学金は透明でなければいけないということと、それをアプライするについて、「元になる成績が、公平性がなかったらいかんのじゃないか」ということをおっしゃっておるわけね。それは、僕、そのとおりだと思うな。そうとしかいいようがない。

それでもう一つ、僕は勘違いしているといけないのでお聞きしますけど、あなたのおっしゃりたいことは、日本語が堪能な日本人学生と、それから外国から来た留学生については、勉強一つとってもハンディキャップがあるはずだと。そういうことを乗り越えようとして努力しておると。努力しても努力しても、「可」しかいただけんから、それはそれなりにいたしかたないかとは思ったけれども、そういう努力をもう少し助けて欲しいということも含まれておると思うんですけれども。そういうことですか。

法学部2年
はい、そうです。勉強するのは時間がかかります。奨学金もいただけないし、授業料はまた払えということで、アルバイトをしないといけませんので、悪循環になります。

学長
基本的には、この前の方と同じような事情ね。よくわかりました。良永先生何かありますか。

副学長
今、指摘されました成績評価のことに関してはね、今言われたようなことが、きっとあろうと思います。私もそういうことがあるということは聞いています。つまり出席を十分にしないで、そして友達のノートを借りて、友達のノートで勉強して試験を受ける。それで「良」といったような評価を受ける学生がおるということは、私も聞いております。私はこれは良くないと思っております。ですから、今は、どのようにして学生諸君にいい授業をするのか。どのようにして、客観的で公平で、みんなが納得できるような試験制度にするのかといったようなことをみんなで考えています。

どこかで聞いたことがあるかもしれませんけれども、ファカルディ・ディベロップメントという言葉が、今、熊本大学でとても大事にされています。それで、従来から指摘されていたような不公平であるというふうに考えられるような成績評価の仕方は、段々なくなっていくと思います。そういう指摘があったことを僕自身としては、事実だと受け止めざるを得ないし、残念だと思っております。私達も努力したいと思っております。それくらいですね。本当は、出席もですね、全部とれるといいんですけれども、法学部の授業だとわかるように、一つの教室に200人、300人、たくさんの学生が授業を受けます。その学生諸君に、毎回出席をとるというのは、今の状態では非常に難しいですね。ですから出席をとらないで授業が進むということがあります。そうすると先生は、試験の時に提出された答案用紙だけで成績評価をせざるを得ないという面もあります。ですから、これは出席をきちんと取れるようにするためにはどうしたらいいのかということも、同時に考えていかなくてはならないとは思っています。

私は、私の授業は、今年はやっておりませんけれども、100人ぐらいの学生が受講をしています。これは毎回、私は出席をとります。そうして規則通り3分の2以上の出席をしていない学生は、自動的に単位を認定しません。3分の2以上出席していることを条件にして、答案用紙の評価をします。ただその時に、この辺は少し考え方が違うかもしれないけれども、留学生の諸君であるのか、日本人であるのかということで異なった評価はしないで来ました。それでよろしいですか。ですから、非常にハンディキャップもあろうと思いますけれども、それは何とか努力をしていただきたいと思っております。以上です。

司会
有り難うございました。奨学金と、それから成績のことについて、ちょっと難しい話が続いてわからなかった留学生の方もいらっしゃるんじゃないかと思いますが、今、困ったことということでお話をしてもらいました。今度は、交換留学生が、だいたい10ヶ月ぐらい熊本大学に来るんですけれども、短期間、日本にいて感じることなど、何かあったら、一言お願いします。

交換留学生
日本に来る前にたくさん日本のイメージがありますが、今日本には5ヶ月います。私は、日本語を勉強しています。授業大好きです。空手クラブに入っています。練習はちょっと厳しいけど大好きです。(空手?)そうです。すこし質問があります。今日の学長の、日本の中で一番好きな所はどこですか。

学長
私が、自分の国の一番好きなところは、私にとってどこですか。という質問ですか。これ、なかなか難しい。あのですね、僕、いいところは全部好きです。日本が嫌いなところもたくさんある。嫌いなところもたくさんけれども、日本という国はですね、民族としては大変新しい。ご存じのように。皆さんの国に比べたら、民族としては、この日本人というのは、せいぜい2000年ぐらいです。それで、いろいろとよその国々の人から、日本人は猿まねが上手だと。何でも真似をするという悪口を言われますけれどもね、日本人は、そういった色んな文化を取り入れて呑み込んで、昔から、独特の文化を構築していきました。そういう民族性を、私は非常に誇りに思っております。

それで日本人は、根っから親切です。しかし、コミュニケーションは上手ではありません。それとね、これから日本人はもっともっと良くなっていくためには、本当の信仰を、信念とか信条、英語で言うとbeliefを掴んでいただきたい。それはちょっと欠落している。で、ビジョンはあっているんです。日本人、beliefが希薄なんですね。よその国の人々に比べて。これからそういうことに日本人が気が付いて、人格を培っていけば、もっともっと良い国になると思っています。それでよろしいですか。そもそも日本、非常に自然は麗しいし、木は美しいし、豊かな国です。それだけでも私は好きだし、若い人はそういうことはあんまり感心してくれないので、ちょっと残念ですけれども。

司会
はい。どうも有り難うございました。今日の午後に、留学生のパーティがあります。その席で、メアリさんは空手なんですけれども、テコンドーとかの実演もありますので、皆さん、是非、パーティの方の出席をお願いします。次は、医学研究科の方がご意見がありそうなのでお願いします。

博士課程3年
3年前、熊本に来ました。それで、6ヶ月は留学生センターで日本語を勉強して、それで大学院に入ったんですけど、最初は、勿論日本語もわからなかったので、大学、勿論、先生方みんな英語ができますけれども、医学部でも、でも、大学に入って、それで実験とかミーティングとかセミナーの時は、最初は、実は困った時があったんですけれども、ちょっとお願いというか、それを言いたいのは、博士の時は、出来れば1年生の時に授業が欲しいんですけど、それが留学生、医学部での留学生は多いんですが、留学生だけではなくて、みんなのように、日本人の大学院生だったら、もう何かあったら読めるし、聞いても、最初わかりますから、それであんまり私達より困っていることは少ないと思いますけど、今だったら、私にとって、やっている研究とか、それでミーティングとか何かあったら、もう今、わかるようになってきましたけど、だから言いたいのは1年生の時、生化学の大学院生も、微生物でも、またそれで授業が、1年生の時が、毎週、何か微生物の授業、教授の方から生化学とか、だから、私達は医学部、だいたい日本人の学生もそうと思いますけど、臨床の方で卒業するんですよ。それで研究という、その時が、勿論、私達は本も読んでいるし論文も読んでいるんですけど、実験というのが、もうちょっと経験というか、そういうことがありますから、それでちょっと1年生の時ができれば授業を受けたいんです。

学長
もし、私のunderstanding(理解)が間違っていたら訂正をしてください。あなたのおっしゃりたいことは、医学部の今、医学研究科は、ドクターコースしかないんですよね。博士課程だけね。それで、とりわけ留学生の場合には、最初の1年ぐらいにきっちりとした、例えば実験のあり方、あるいは生化学とはどういうものかとか、これから研究していくために必要な最低限の基礎的な授業があってもいいのではないかと。

博士課程3年
勿論、大学生の時に教えていただきますけれども。

学長
それでもう一つは、多くの場合、医学部の大学院生は、臨床の勉強をして大学に入るから、研究のための勉強を、それほどしていないはずだから、研究のための授業というのが最初の年ぐらいにあってもいいのではないかということですね。僕も大賛成だな、それは。今度、言っておきます。医学部長さんに。セミナーなんかはやっているでしょう。

あなたの望みというのは、例えば生化学の実験をするにしても、セミナーだけでは不十分だと。実際に手取り足取りして、生化学の例えばDNAを分離するのはこういうやり方をするんだ、というような授業があった方がいいと。最初に、そういうことですね。それで、何のためにDNAをとらなきゃいかんか、というような授業をきっちりやってもいいんじゃないかと。大学院と言えども。はい。それは、医学部だけでなく、すべての研究科に言えることだと思いますので、有り難うございました。

司会
はい、有り難うございました。時間があと少ししかなくなってしまいました。今日、どうしても意見を言いたいという人は、ちょっと手を挙げてもらっていいですか。それから何か質問したいなという人はいますか。では次の方に話してもらいます。その間に皆さん、あと3人ぐらい大丈夫だと思いますから考えておいてください。

工学部2年
僕は、中国の吉林省から来ました。私は日本に来て、あまり学校の色んな先生方にお世話になって、何か特別に困ったことはなかったです。ちょっと時間の関係で何か、私は工学部の授業でイハラ先生から学校の独立法人のほうについてちょっと話があったんですよ。この独立法人法について、ちょっと意見を聞かせて下さい。

学長
あなたのお国の大学のシステム、僕は知りませんけど、日本の熊本大学もその一つ、国立大学ですよね。日本の国立大学は、先生方のサラリー、それから研究の為のお金、それから皆さんへの教育、授業等も全部国から出ております。それで、学生諸君からは、トゥーイション(授業料)をいただいております。トゥーイションが実際に大学を営んでいくうちのどれくらいを占めるかというとですね、国立大学の場合は、20%に満ちません。だからあとの80%は、全部、税金を使っているんです。

それで日本の国、今、どんどん貧乏になりつつあってですね、100に近い国立大学を、そういう形で営んでいくというのが非常に難しくなってきた。国立大学をより良くし、更に国費をそれほど費やさなくてもいいという方法はないものだろうかということで、今、国会議員とか、政治家の皆さんが一生懸命知恵を出して、それで一つのsolutionとして、今まで国家が直接面倒を見ておった大学に法人格を与えて独立させるといったことが検討されました。そしてそれぞれの大学が自立して主体的に大学を営んでいくというような発想が生じてきました。

だからと言って、そういう形になった以降、国からお金は出さないということではありません。今まで丸ごと国が抱えておった大学を、もう少し、自分自身の努力で頑張れば、それなりに大学が良くなるし、さぼれば悪くなると。学生諸君も来なくなると。そういう形にしようではないかということで、今、話が進んで、おそらく2年先ぐらいにはそうなるであろうと思います。

一言で言うと、英国の大学のような形になります。ここには英国からどなたかいらっしゃっていますか。メアリさんが英国ですね。英国の大学のような姿になっていくと思います。英国の場合は、昔から、大学はほとんど国立大学ですよ。それで授業料をとらなかった。そこが大いに違うところです。今は、英国と言えども、学生諸君から18万円ぐらいとっているはずです。それも英国の政府が、だんだん貧乏になってきたからどうしようもなくて、学生諸君から18万円ぐらい納めていただくようになった。ドイツ、フランスは、今でも授業料はタダです。それはどういうことかと言うと、将来の国を支え、人々の幸せを担い、人類のために貢献しようとする若い人々は、国が100%面倒を見るべきであるということから来ておるんです。

僕は、本来、大学というのは、国が営む大学というのは、そうあるべきだと思っています。だからおそらく独立法人化になって、10年、20年先には日本の国立大学の数が減っておると思います。良い意味での競争が起これば、努力をしない大学は朽ちていくはずだし、その代わり努力すれば発展していく。それでよろしいでしょうか。

工学部2年
あのですね、独立法人法が実施されるとき、留学生についても、今までの制度が変わるんじゃないかと。

学長
どういう影響が及ぶかということですね。私はね、もうその時の学長ではありませんので、無責任なことは言えないけれども、万一、私が学長だったら、留学生諸君にとっても今より絶対良くなります。何故かというと、大学で、自主的に出来るんですから。今までのような国の規制は、無くなるわけですから。どなたが学長になられても、本当に国際交流が大切だということを考えていただける先生であれば、今より良くなると、僕は思います。ただ、国際交流に無関心な先生が学長になられたら、それは知りませんよ。

司会
では、良くなることを祈りながら次の話題に入りたいと思います。後、もう本当に時間が無くなってしまいましたけれども、研究留学生の方とか、教員研修生の方で、何かありますか。では、日韓の理工系学生さんですね。はいどうぞ。

日韓理工系
私のことじゃないけど、留学生の先輩から聞きました。チューターについて話したいんですけど、それをしている先輩から聞きました。その人が手伝うのがなかなかありません。(江口学長:あなたの場合は?)私は、まだですけど、その人が途中、チューターはないですと聞きました。

学長
そうすると、同じ留学生でも、チューターのある留学生とない留学生があるということですか。

日韓理工系
そういうことじゃなくて、チューターをする人が留学生に手伝わない。

学長
はっきり言うと、チューターのくせにチューターの仕事をしとらんと。そういうチューターがおるということですね。それでよろしいですか。それをどう思うかと。

司会
チューターがいる学生といない学生がいるということと、もう一つは、朴さんがおっしゃりたいのは、チューターがいるけど、チューターが仕事をしてくれない。そういうことですね。じゃあ、こちらの方ですね。チューターがいるけど手伝ってくれないということですか。

学長
もし、私の日本語が理解できなかったら、先生、アシストしてあげて下さい。チューターというのは、留学生と1対1である必要はないんです。そうでしょう。それだけ数がいるわけね。(最初1年は)今のお話というのは、非常に問題ですね。いる人と、いない人は、(いえ、必ずいます。)必ずいる。そうすると、チューターとしての義務を果たしておらんチューターがおるということですね。それはね、「この日本人学生、チューターなんだけれども、仕事していませんよ。」と言うて、先生に言ってください。それが一番はっきりする。それは事実であれば、要するにこれ難しいけれども、誤った情報を先生に提供するわけではないので、例えばあなたのチューターが何もしてくれなかったら、あなた自身は、指導教官に言うべきです。そういうケースが多いの?

日韓理工系
その人がお金ももらうと聞きました。

学長
チューターには、お駄賃は出るんです。そんなにたくさんではありませんけれども。

日韓理工系
そのお金を使って。

学長
そういう場合は、お金を召し上げて、お金をもっと有効に使ったらええんと違うかというご意見ね。

司会
チューターが仕事をしないときは、自分の先生に、「私のチューターが仕事をしません。」と言って下さい。チューターがもらっているお金を、そのお金を、他で自分の遊びに使ったりしている学生がいるということですよね。はい。それは、各先生方が、学生さんから何か苦情があったら、必ず誰がチューターなのかということと、本当はですね、1週間に1回会うことになっているんですけど、それもやっていないということであれば、先生方の方が気を付けていくということでよろしいでしょうか。

学長
それと私としてはね、先生方にきつく要望をしておきます。要するに先生方が、チューターが本当によくファンクションしておるかどうかということを、日々ウォッチして下さるように強くお願いしておきます。それで、チューターがいただくお金は、他には転用できません。制度上。それは国からチューターをこれだけ雇ってもよろしいよというチューターとしてのお金として来ますのでね、だから大学としては、どういう学生をチューターにするかどうかということを、これから真剣に考えて、本当に一生懸命にやってくれる学生にチューターをお願いするということをすべきだと思います。

司会
有り難うございました。チューターになるための試験をするような場合もあったんですけれども、指導教官が、もう誰か傍にいる学生をパッと任命するというようなこともありまして、なかなかこれは上手くいっていないペアもあるというふうに聞いたことがあります。これからは、今のご意見を参考にして、そういうことがないようにしたいなと思っております。本当に時間が無くなってしまったんですが、どうしましょうか。皆さん、お時間いかがでしょうか。次の授業があるという方、いらっしゃいますか。ここで一旦、打ち切りにして、どうしても授業のある方だけ、席を外されて結構です。そしてあと、お一人かお二人か、どうしても話したい方がいらっしゃれば、話を聞きましょうか。いかがでしょうか。

学長
あのね、実は私、1時からね、もう約束があって、もう皆さん、僕の顔を覚えたと思うので、今日、夕方、パーティがあるでしょう。ああいう時の方がゆっくり話せる。どうしても言いたいことがある人は、僕をつかまえて話しましょう。それを約束いたします。僕は、英語はまあ通じるようにはしゃべるし、ドイツ語も多少しゃべれたんだけれども、この頃忘れました。日本語はできます。韓国語は残念ながら無理です。中国語も。

副学長
はい、どうも有り難うございました。

司会
どうも有り難うございました。では、今日のパーティの時に、是非、学長に話して下さい。どうも今日は有り難うございました。




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