学長と学生との懇談会(教育学部・教育学研究科)

日時 平成13年12月20日(木)11:55~12:45 20020426.jpg
場所 くすの木会館レセプションルーム
出席者 江口学長、良永副学長、吉田・田中学生部委員会委員
参加学生 学部学生 35名・大学院学生 2名
陪席者 教育学部教職員 5名、学生部 3名

司会
(吉田学生部委員会委員) 50分からということで、授業に参加した人もかなりいると思いますので、ボチボチ1人2人入ってくるかもしれませんが、学長、副学長がお見えでございますので、スタートさせていただきたいと思います。最初に、お2人、ご案内の通りでございまして、こちらが江口学長でございます。よろしくお願いいたします。

学生一同
よろしくお願いいたします。

司会
それから、こちらが良永副学長でございます。よろしくお願いします。

学生一同
よろしくお願いします。

司会
学長先生は、日頃いらっしゃることはわかってますけども、なかなか直接ですね、学生の皆さん方とお話する機会は、そんなにありません。ほとんど無いと思います。それで、せっかくだから、何でも自由にということで企画していただいておりますので、遠慮無くと言いますか、あんまり時間がありませんので、12時45分ぐらいには終わらないと、次の授業があると思います。それまで時間を惜しんで、どんどん元気良く質疑応答というか、話をしていただきたいと思います。

それから、目の前にサンドイッチと、飲み物が用意されてまして、これは食事をしながら自由にお話ということですから、食べながらやってください。残して持って帰るとか、そういうことを考えずに結構ですから。

それから、どうしても「はい」と手を挙げて言う時に小さな声になりがちですけど、元気よく名前と学年、それから専攻ですね、これもちゃんと言ってください。特に学長は理科系でございますので、「教育学部にはそんな学科があるのね。」ということを思われるかもしれませんけども、元気よく言ってください。教育実習と同じぐらいのつもりでお願いします。そしたら、あとはお話もコミュニケーションが一番大事ですから、先生の方にお願いしておきます。

どうぞよろしくお願いします。

学長
どうも、せっかくの昼休みを犠牲にして集まってくれて、有り難うございました。実はね、是非こういう会合をしたいと考えたのは、私が熊本大学の学長として着任した直後であります。平成8年の11月によそから参りました。9年に当時の学生部委員会に是非とも学生諸君と、できれば車座のような形で、いろんな話を聞きたいので、そういう機会を作って欲しいということをお願いをしました。

その時の学生部委員で法学部の篠倉先生が「非常に良い事だ」ということで、平成9年の春に一度、そういう機会を作ってくださったんですね。それは、このくすの木会館で、夕方食事をしながら、ビールを飲み、3時間ぐらい話し合いをしたんです。こういう形ではなくて、各学部から、どういうふうにして学生諸君が出席したかは私は知りませんけど、大学院の学生も交えて12~3人ですが、学生諸君を集めて行いました。その時に教育学部の3年生のもう卒業して、今は社会に出ておられるに相違ない非常に元気のいい学生が1人おりまして、彼が私に言ったことは忘れることができません。そういう機会がどんどん続けばと思ったんですけど、夜に食事をしながらというとお金がかかる。そういう予算は大学には無いんですね。私のポケットマネーで皆さんの食事代までも負担するということも、その気になったらできなくはないけども、それを全体に行うと、私の生活の方に響いてくる。いろいろ思案して、何とか良い機会ができないものかなぁと思っておっても、なかなか実現しなかったんです。それでやっと去年の夏にもう一度学生部にお願いして、こういう機会を作っていただいたというのがきっかけです。

平成9年のその時の記憶をたどってみると、教育学部の1人3年生で、その学生は体育会の委員長をやっていた。体育会で非常に活躍していて、こういうことを言ったんです。「先生、僕はどうしても理解できないことがある。」と。「どういうことですか。」と言ったら「僕はこの教育学部に、いい先生になろうと思って入学しました。でも、一生懸命勉強して卒業しても、果たして先生になれるかどうかはわからない。何故かと言うと、先輩たちを見ていると、現今教育学部の卒業生の大半が先生になれない。先生の口が少ない。そういう状態にどうしてこんなにたくさん学生を取るんですか。」と言うんです。その通りです。答えることができなかった。

それともう1つは、その学生が言ったのは、「僕は、この頃教員になるには人間を培っておかなきゃいかん。人と人との交わりとか、協調性とか、そういうことが非常に大事であると言われておい。したがって、体育会に身を投じて、そういうことを一生懸命にやってるんです。でも、今の教員試験はそういうことをほとんど評価してくれないんじゃないですか。」

私はね、その二つに答えることができなかったんだけども、今でもそれを忘れることができない。皆さんも、どう思われるか知らないけど、今の教育学部の教員に就職できる比率は極めて低いですね。それにはいろんな事情がありますけどね。何も教育学部を出たからと言って、先生にならなきゃいかんということでもありません。これからどんどんどんどん幅広く勉強してください。本当に自分の向いた道に進んいただくのが一番健康だと、僕はこう思うんですよ。

若い時はね、見えないんです。自分の能力についても自信が無いんです。だけどね、能力というのは歳と共にね、グッと一定の方向に収斂していくんです。それで、私自身を振り返って見ると、若い時にどういう努力が必要かなということについて言うとね、自分はどういう能力があるのかということを、自分自身で一生懸命模索する。夢を実現するのに、自分の能力が本当に見合ってるかどうか、もし少しでも違っていたら、いかにそれを一致させていくかということが一番大事なことだと思っています。

教育学部に身を投じたんだけど、やっぱり先生になるには不向きだなと気づいたら、別の道を探す。そのためには容易に転学部ができるような仕組みが一方でいりますけれども。これからそういうことも、熊本大学では学生諸君には健やかに4年間なり6年間なりの学業を終えて、本当に幸せな道に入って、社会貢献ができるようにしていかなきゃいかんと思ってます。そういう意味で、これは会議ではありません。好き勝手なことを、『学長に会ったらそういう機会があったら是非こういうことを言いたいんだ。』ということを聞きたい。そういう趣旨ですので。はい、パン食べる。

学生一同
いただきます。

学長
外国ではね、こういうことを実はしょっちゅうやっているんです。学長もなかなか忙しいからあれですけど、先生方と学生とで、大学は、こういうことをしょっちゅうやっています。ランチ・オン・セミナーと言って、食事をとりながら、いろんなことを語り合う。だから、遠慮しないで、言いたいことがある人から順番に僕に言ってください。良永先生にも一言お願いします。

副学長
いや、何かあったらその場で。

学長
それで、今日の教育学部のあと、自然科学研究科、留学生センターが残ってますけど、今までずっと私が皆さんと語り合った、たったの1時間足らずの語らいでありましたけれども、僕自身は非常に意味があったと思います。どういう話し合いがなされたかというのは、ちゃんと整理されて、熊本大学のホームページに続々と出てます。私自身は非常に意義があったと、いろんな勉強ができたと思うんですけども、学生諸君が本当に意義があったと思ってくれるかどうかは別です。

それで今日も皆さんにね、最初に言っておきたいことは、こういう学長と話すことも捨てたもんじゃないなと思われるんだったら、僕はいつでもしたいんでね。こういう格好でなくてもいいんですから。一人一人が学長室に来られると大変だけれども、何人かで学長に会いに行こうかということがあったら、学長はお会いできますので、遠慮しないで訪ねていただきたい。それを学生部の方に連絡を取っていただいたら、ちゃんと道筋をつけてくれると思います。それだけ申しておきます。食べながら喋ることはなかなか難しいけど、それでは何でもいいから言ってください。

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