子どもたちに夢をお届けします[人形劇サークル「青い鳥」]

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楽しそうと思って入部、しかし人前に出るのは苦手だった

image02.jpg 人形を介して演技をする人形劇。人形たちが動きながら物語が進行する世界観は、テレビや映画のアニメとはまた違った雰囲気があり、その空間だけがファンタジックな空気に包まれます。幼いころ、この不思議な世界観に魅了された人も多いはず。
「子どもたちに夢を」をコンセプトに活動を行う人形劇サークル「青い鳥」。サークル設立は1965年で、2017年で53年目を迎える歴史のあるサークルです。人形劇のほか、パネルシアターや絵本の読み聞かせなどを県内の小学校や公民館、コミュニティーセンターなどで行います。活動の根っこにあるのは、「子どもたちに楽しんでもらうこと」です。青い鳥の年間の活動は、春と秋と冬の定期公演と夏休みを利用して阿蘇・人吉球磨・天草地域の小学校を2~3校回る巡回公演、九州と熊本の人形劇協議会が主催する人形劇フェスティバルが主となります。その他、依頼があると公演を実施しています。
部長を務める理学部3年の野田智之さんは、新歓のときに先輩に誘われ、先輩が子どもたちと鬼ごっこしている写真を見せてもらったそうです。「子どもと遊ぶことが好きで、とても楽しそうだったので入部しました」。しかし、人前に出ることは苦手だった野田さん。「初めは、どんなに練習を重ねても人前に出ると、緊張と不安でうまく言葉がでなかったりしました。緊張しないためには自分を捨てろ、という先輩からのアドバイスのおかげで人前に立つことにも慣れてきました」と振り返ります。
「公演は、私たちから公演をさせてほしい、と依頼することが多いです」と野田さん。「どんなテーマで、どこで、どんな題材をするか、企画から会場との交渉、準備、そして発表まで、全て自分たちで行います」。

脚本、人形作り、絵本作り…なんでも自作です

image03.jpg 題材は絵本が基本。『11ぴきのねこ』や『すてきなよるに』などの絵本の物語と、そこから展開させたオリジナルの物語の2種類があります。「題材は全部で20作品ほどあります。その8割は、青い鳥オリジナルの作品です」。毎年、オリジナル作品を作成。その作り方は、「まず、図書館へ行って原作を探します。その原作を基にたたき台を作って、メンバーで話し合いながら、物語を固めていきます」と野田さんは教えてくれました。「作りたい人が作る。特に脚本担当などはいません」。
人形や絵本などもみんなで制作。「女子学生が多い代の男子学生は裁縫ができない人も多いですが、今は部員も少ないので、マルチにやらなければなりません」と言いつつも、「人形作りは、土台となる発泡スチロールを削るところまで。それ以上はお願いしています」と野田さんは苦笑いします。絵本や紙芝居は、観客が多いことを想定し、後ろにいる子どもたちにも見えるように大きめに作ります。「絵本は、高さ80cmで、広げたときの横幅は1m10~20cmほどあります。紙芝居も1m×1.7mほど…。2人掛かりで読み聞かせをします」。

子どもたちにわかりやすい人形劇を追求

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野田さんが常に心がけていることは、子どもたちに楽しんでもらうこと。「作品の内容によって気をつける点は変わりますが、子どもたちにわかりやすく表現するために、人形の動かし方やセリフとセリフの間の取り方などを意識しています」。週3回の練習では、劇や読み聞かせの練習のほか、司会の練習もします。「子どもたちがこういう反応を示したら、どんな風に返すのがベストなのか…子どもたちの反応の拾い方を身につけます。公演全体の流れは司会者によって変わるので、とても重要なんです」。練習は本番さながらに行われます。
公演をOBにチェックしてもらうこともあります。「人形劇協議会や人形劇の団体に入っていらっしゃる方はいるので、とにかく評価が厳しい…!学校の先生をされている方にも、子どもの目線から見たらどうなのか、とアドバイスをいただきます」と野田さん。でも、そうやって厳しい評価を受けることがクオリティーの向上につながる、と続けました。最年長OBは70代ということで、青い鳥の歴史を感じることができます。
現在、青い鳥のメンバーは11名。しかし、現役で活動をする3年生以下は5名で、1年生はいません。「2016年は1年生が入らなかったので、2017年は新入生が楽しそうと思ってもらえるように新歓に力を入れます」、そして、子どもたちにも「楽しい!」と思ってもらえるような活動を続けていきたいです、と意気込みます。
「人形劇を見ている子どもたちが反応してくれるときが一番楽しい」と笑顔で話す野田さん。まさにそれが「子どもたちに夢を」与えている瞬間なのかもしれません。
(2017年3月28日掲載)
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