柔道を通して子どもたちを笑顔に!「柔道部」

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震災で練習場を失った子供たちと柔道を通した交流を開始!

image02.jpg 熊本大学には、大学のアピールや活性化につながる学生手づくりの企画に対して大学が支援を行う「きらめきユースプロジェクト」という制度があります。2016年度、柔道部はその制度を使って、4月の熊本地震で練習場所を失った子どもたちに柔道を通した交流の場を提供しています。
「練習で使わせていただいている熊本武道館が、震災の影響で使えなくなりました。どうしようかと考えているとき、同じ場所で練習をしている少年柔道も練習ができない状態であることと、『きらめきユースプロジェクト』のことを先生から教えていただいたんです。そこで、この制度を使って、熊本武道館で柔道をしている子どもたちのために何かできないか、と考えました」
と話すのは、大学院教育学研究科修士課程1年の米田匡輝さんです。「子どもにとっては、地震に対する不安が消えない中、好きな柔道もできないという状況はツライのでは、と思いました。また、自分自身、震災を通して、人との関わりの大切さを感じたので、人と交流できる場をつくりたいと思ったんです。そして、柔道部のみんなと話し合って、柔道を通しての交流なら自分たちでもできるんじゃないか、と企画を立てました」。米田さんをはじめ柔道部には教育学部に所属する学生も多くいるため、将来、この経験が教育現場で役に立つ、とも考えたそうです。

子供たちと信頼関係が生まれた

image03.jpg 熊本武道館に所属する子どもたちは全部で7名。初心者も数名含まれていることを考えて、最初は「柔道の練習」というより、「柔道を通した交流」を重視していた、と米田さん。「柔道は真剣に練習すると、どうしてもキツくて…(笑)。ここでは、そうではなく、楽しく柔道をしてもらおうと思ったんです」。6月に熊本大学の柔道場で交流を始めた当初は、子どもたちも、知らない環境や知らない人に戸惑っているように見えたそうです。しかし、1カ月も経つと楽しそうな笑顔を見せるようになりました。最近では、熊本武道館で行っていた練習を、学生たちが補助するようなかたちに変わっています。子どもたちは「お兄さんたちと練習ができて、楽しい!」「また次が楽しみ!」と笑顔で話します。
子どもたちの笑顔が見られたことが、この活動を通して一番嬉しかったこと、と話す米田さん。「最初の頃はこちらから積極的に関わらないと緊張しているようでした。部員たちにも、自分から積極的に子どもたちと関わるように指導をしました。でも、最近は子どもたちの方から『おにごっこしよう』と声をかけられるようになりました。信頼関係が生まれたんだなと感じると嬉しくなります」と米田さんも自然と笑顔に。

「人」を大切にすることを伝えたい

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米田さんは人一倍「人とのつながり」を大切に感じています。直接言葉に出して子どもたちに伝えてはいないけれど、「人とのつながり」を子どもたちに教えたい、と話してくれました。「いろんな人とつながることで、いろんな気づきが生まれる。その中で、自分に良い影響を与えてくれる人が見つかると思っています。大学がそんな場だと思うんです。『大学生のうちに横のつながりを作れ』と言われるように、子どもたちにも今の段階から少しずつ横のつながりを作ってほしい、と思っています。友達が多いと困ったときに助けてくれる人も多いですからね」。また、柔道を通して教えたいことは「相手を思いやること」だと教えてくれました。「柔道は、相手を投げた後は手を離さないとか、危険な技はしない、といった相手のことを大切にするルールがあるんです。でも、強くなっていくうちに、そのことを忘れていく人も多いので、柔道を通して『相手を思いやること、大切にすること』を教えていきたいです」と米田さん。常に「人」を大切に考えています。
米田さんは中学生の頃に柔道を始めました。そして、そのまま高校、大学と柔道を続け、2014年と2016年の全国国立大学柔道優勝大会では、団体3位の結果を修めました。「頭で描いているイメージと動きが一致した瞬間が柔道をしていて楽しい瞬間です。でも、一番楽しいのは練習が終わった後の団らんです」と、ここでも人といる楽しさが見えました。
子どもたちとの交流は、今のところ2017年3月までの予定。「終わりがあると思うと寂しくなります」と米田さんは悲しげな表情を見せます。しかし、「この経験が今後役立つと思っています!」と力強く話してくれました。「柔道部は技術よりも、社会に出ても基本的なことができる人になる人間形成を目標にしています。それをもって、将来、子どもたちを正しい方向へ導くのが自分の役目だと思っています。そのためにも知識を蓄え、来年の教員採用試験に合格することが、今の目標です!」
(2016年11月11日掲載)
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