「認知症になっても安心して暮らせるまちづくり」を目指して[Orange Project]

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何もわからぬまま、Orange Projectがスタート

Orange Projectは、「認知症になっても安心して暮らせるまちづくり」をコンセプトに、熊本保健科学大学と一緒に活動している学生サークルです。サークル設立は約1年半前。顧問の安武綾先生が前任校である熊本保健科学大学で行っていた活動を熊大にも導入したことがきっかけでした。設立当初から関わっていたリーダーの医学部保健学科4年の能勢優希さんは「何も決まっていないところから始まりました。サークルとして認められるために何をしなければならないのか、何もわかりませんでした」と当時をふりかえります。安武先生に助言をもらいながら、活動内容などを決めていき、熊本保健科学大学との共同活動をきっかけにその幅が広がっていきました。
Orange Projectの熊大メンバーは20数名。能勢さんを含め、医学部保健学科の看護学専攻の学生がほとんどです。それは、看護学専攻の授業にある「認知症サポーター養成講座」が、このサークルを知るきっかけになっているからです。サブリーダーを務める医学部保健学科4年の和田幸さんと、3年の古林愛莉さん、内野成美さんは、認知症サポーター養成講座をきっかけにOrange Projectを知り、認知症の方との接し方を学ぶために入部したメンバーです。古林さんは「祖母が軽度の認知症ということもあり、今後、祖母や他の認知症と接する機会に役立つかな、と期待して入りました」と話します。一方、能勢さんは先輩からの紹介。「正直、認知症の方に関心があったわけではありませんでしたが、活動をするにつれ、関心が高まってきました」。
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認知症の方も一般の方と変わらない

活動を始めたメンバーが驚いたと口をそろえて話すことは、「認知症の高齢者も一般の高齢者も何にも変わらないこと」。認知症の方は自分が置き忘れてしまったものを「盗まれてしまった」と妄想してしまい、周りを疑い責め立てる…などのイメージがあるためか、メンバーは皆、「認知症の方は接しにくいと思っていた」「なんとなく怖いイメージがあった」と話します。しかし、「後ろから声をかけない」「目を見て話す」など、学んだことを活かしながら認知症の高齢者と接すると、「不安に思っているようなことはなかった」と和田さん。「この感覚をメンバー以外の人たちにも感じてもらいたいと思います」。
活動の一つに、多世代交流実践型認知症サポーター養成講座があり、小学生対象の講座も実施しています。能勢さんは「小学生にも理解できるのか、内容が難しすぎるのではないか、と不安でした」と語ります。認知症に関する説明スライドを全てひらがなに変えたり、難しい表現をわかりやすい表現に変えたり、また、講義だけでは理解しにくいだろうと考え、認知症の高齢者と接する時間を設けるなどの工夫をこらしました。「私たちの不安をよそに、小学生たちは認知症の方と気軽に接してくれました。『優しいおばあちゃんだったよ』と感想をもらったとき、小学生にも認知症のことを理解してもらえると可能性を感じました」と能勢さんは嬉しそうに話します。
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学部、大学、地域を巻き込んだ活動を目指す

他にも、地域で行われている徘徊模擬訓練や、2017年10月7日(土)に行われた「世界アルツハイマーデー記念講演会」など認知症に係るイベントの手伝いなどの活動も行っています。地域の人たちが認知症について学ぶ機会に接することで「認知症の方が安心して暮らせるまちづくりにまた一歩進んでいる、と実感します」と能勢さんは語ります。それでも、参加者がごく一部に限られていることもわかっている、と能勢さん。「まだ参加されたことがない方への情報発信が必要だと思っています。後輩たちには、他の大学や地域にもこの活動を広げていってほしいですね」。和田さんも「メンバーは看護学専攻の学生が多いので、他学部の学生も巻き込んでいってほしいです。そのためには、もっとこのサークルを知ってもらえるためのきっかけを増やしていかないといけないと思っています」と続けます。次期リーダーを務める古林さんは「Orange Projectに入ってから、活動規模がどんどん大きくなってきていることを実感しています。これを私たちの代で止めず、また、後輩たちに引き継げるように頑張っていきたいです」と意気込みます。次期サブリーダーの内野さんも「今は特に手掛けていない広報活動にこれから力を入れていきたい」と話しました。
「認知症予防というテーマを取り上げるメディアが多いように感じます。そのせいで認知症に対するマイナスイメージが生まれるんだと思います。確かに私も自分の将来が不安だけど、認知症の方を支えていく方法を紹介すれば、認知症になっても安心して暮らすことができると思うんです」と和田さん。Orange Projectをきっかけに、みんなが認知症の方を支え合える、暮らしやすいまちへの一歩が始まっています。
  • Facebook で活動内容を紹介しています。

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(2017年12月22日掲載)
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マーケティング推進部広報戦略室
096-342-3122