厳しい中にも和やかさあり[テコンドー部]

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初心者ばかりの熊大テコンドー部

image02.jpg 「ハナ、トゥル、セッ、ネッ…!」
練習を始める前の準備体操。体育館に声が響きました。掛け声は韓国語です。「テコンドーは韓国の国技と言われていますが、正確にいうと、日本の空手が韓国へ入って、テコンドーとなって日本へ入ってきたものです」。そう説明をしてくれたのは、文学部3年の山崎 皓平さん。テコンドー部の前キャプテンです。「12月13日に行われた全九州学生選手権が現役最後の大会でした。結果は準優勝でした」、そう話す山崎さんの表情はどことなく悔しげで苦笑いしています。「実は、優勝したのが、同じ熊大で、しかも1年生なんです」。最後の最後を有終の美で飾れなかったことが相当悔しかったそうです。
3年生が引退してしまった今、テコンドー部の部員数は20名程度。山崎さんがキャプテンを務めていた頃は、1~4年生で30名弱くらいの部員がいました。格闘技ですが、男女比はほぼ1:1。部員のほぼ全員が大学からテコンドーを始めた初心者です。「僕は高校時代、サッカー部でした。この前の大会で優勝した1年生は元野球部です」。ほかにも、バスケットボール、陸上、吹奏楽と以前の経験はさまざま。山崎さんは「新歓で先輩が蹴る姿を見て、カッコいいな、真似してみたいなと思ったんです」と入部のきっかけを話してくれました。テコンドーは日本ではマイナースポーツの1つ。しかし、世界的に見れば実はメジャーなスポーツ。山崎さんは「完全にハマりました」とニッコリ。

テコンドーを頑張りたいがゆえに生まれた葛藤

image03.jpg そんな山崎さんですが、入部したばかりの頃は蹴り方に慣れることが出来ずに苦労したそうです。「サッカー部だったんで、蹴り方がサッカーボールの蹴り方になってしまうんですよね。全然違うので、その癖をとるのが大変でした」と山崎さんは当時を振り返ります。
山崎さんが苦労したのは、蹴り方だけではありませんでした。大分県出身の山崎さんは、実家を離れ1人暮らしをしています。「部活はしっかりやりたかった。でも、勉強も疎かにはできない。それに、1人で暮らしていくためのお金も必要です。勉強・部活・アルバイト。3者のバランスをとるのは大変でした」と山崎さんはため息混じりに苦笑いをしました。部活の活動日は月・木・金の19時~。それ以外の曜日にアルバイトをしたり、部活終わりにもアルバイトをしていたことも!「いや、本当によくやったな、と自分でも思います。今しか出来ないでしょうね」と山崎さんは笑いました。
3年生の最後の大会が終わると代替わりが行われます。キャプテンは監督から任命をされるのですが、任命当初は「人の上に立つことや人前で発言することが苦手だったので抵抗がありました」と語ります。今ではそれが嘘かのような堂々とした態度で後輩と接している山崎さん。また、キャプテンになったことで他の部員のことも気にするようになったそうです。「でも、試合前は後輩に教えながらも、一方では『自分の練習がしたい!』と葛藤していたときもありました」。

厳しくも和やかな練習

image04.jpg 熊大テコンドー部は創設17年。部の歴史は古くありませんが、「部活らしい厳しさがあります。アルバイトで部活を休むなんてありえません」と山崎さんは胸を張ります。練習中も全員が大きな掛け声を出します。怪我で練習に参加出来ない部員やマネージャーも「ファイトー!」と声を出します。監督がやって来るとその空気はピリッとさらに引き締まります。それでも、その中には時々笑い声も上がるような和やかな雰囲気があります。上手く蹴りが入れば、拍手や歓声、失敗しても「惜しい!」「こうするんだよ」とアドバイスの声が上がります。自主練習の時間、2年生の女子部員が「上手く出来なかったので教えてください」と山崎さんの元へやって来ました。山崎さんの丁寧な指導のおかげで、すぐに出来るように。「テコンドー部は男女、先輩後輩問わず、みんな仲良しです。この雰囲気も好きですし、みんなで飲み会や祭に行くのも楽しいんです」と山崎さんは笑います。
現役は引退してしまいましたが、山崎さんは「個人としては、2016年の10月にある全九州テコンド-選手権大会で優勝をすることです」と次の目標に向かっていました。また、「部としては、部員を増やして部活を大きくすることです。そして、テコンドーをもっと広げたいですね」と大きな夢を語ってくれました。まだまだ気持ちは現役選手な山崎さん。練習で誰よりも大きな声を出していたのは、やはり山崎さんでした。
(2016年1月27日掲載)








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