幅広い分野に応用できる制御工学で、明るい未来を切り開く!

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環境の変化にも対応できる制御工学を研究

image02.jpg 健児くん(以下:◆):まずは、先生のご研究内容を教えてください。
岡島:一言で言えば、制御工学。物を動かすアルゴリズムの部分を扱っている学問です。具体的に言うと、2016年に松永信智教授と共に、路面環境の変化に強い自動運転計算法の基礎研究成果を発表しました。人は車を運転するとき、ハンドルの切り方であったり、アクセルやブレーキの踏み方など、時々刻々とどうするかを判断しています。自動運転は、センシングしながら、どういう操作をするのか決めているんです。しかし、これは、「車をどう動かしたら、どう動くのか」がわかっていることが大前提になります。自動運転の精度を高めるには、この前提を正確に把握しておく必要があります。「車をどう動かしたら、どう動くのか」…これは微分方程式でモデルを表すことができます。しかし、このモデルと実際の動きに誤差が生じる場合があります。例えば、路面が濡れているとき。このとき、路面の摩擦係数は大きくなるため、ハンドルを大きく切る必要があります。このようなモデルと実際の誤差を補正する「モデル誤差抑制補償器」を独自開発し、路面環境変化に強い経路追従アルゴリズムを提案しました。
◆:車の自動運転は、最近テレビCMでもよく見かけるので、研究をされている方も多いと思います。その中で先生の研究は、他の研究とどのように違うのでしょうか?
岡島:環境が変化したときも対応できるという面で、他と差別化を図れるのではないでしょうか?対象の特性が変わっても、元の性質や性能を維持できるように対応させることは、自動運転に限らず、他のいろんな分野にも応用ができると思います。

画像処理、金融、防災…幅広い分野に活用ができる!

image03.jpg ◆:先生が制御工学を研究されようと思われたきっかけを教えてください。
岡島:そもそものきっかけは、学生時代、制御工学の授業をされた先生の説明がわかりやすく、面白そうだと思ったことです。制御って、鉄鋼プラントなどいろんな分野で活用されています。その中で車に特化したのは、車が好きだったからです。学生時代は夜中にF1を見ていましたね(笑)
◆:先生の研究室では、自動運転の制御だけでなく、画像処理の研究や株価モデル・市場原理の研究など、幅広い研究がされているんですね。
岡島:制御工学は、工学の中でも数学よりの分野を積極的に活用する学問なんです。どういうコントローラーがいいかということを考えるときに、微分方程式がベースになってくることが多くあります。画像処理でも金融工学でも微分方程式を使うんです。だから、幅広く面白い分野に手を出しているんですよ。
◆:防災にも応用することはできますか?
岡島:停電や断水が起きたとき、頭では、ちょっと生活が不便になるのか、それとも、生活がままならなくなるのかイメージがつきにくかったのですが、今回の熊本地震で、それを実感することができました。どのタイミングで、どう解決すべきか…これは研究になると考え、現在、4年生がその研究に取り組んでいます。
実際に研究しているのは避難所運営に関する研究です。人はどうして避難所へ来るのか、それをモデル化することで、避難所の数や物資などを最適に配置することができるのではないかと考えています。

研究で爪痕を残したい!

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◆:ところで、先生はどうして大学に残って研究を続けようと思われたのですか?
岡島:最初にドクターへ進もうと思ったのは、爪痕を残す研究がしたいと思ったから。企業ではそういう研究ができないと思っていて。「研究=大学」という頭だったんですね。頭に思い浮かべていたことが形になるだけでも面白いのですが、きれいな形で解を求めることができたときは、とても気持ちが良いですね。だから、ずっと研究を続けています。
制御工学の研究者で、東京大学の名誉教授でいらっしゃる北森俊行先生という方がいらっしゃいます。その先生が提案した制御器の設計手法は「北森法」と呼ばれています。私もいつか「岡島寛と言えば、コレ!」というような爪痕を残したいですね。そんな大それた事でなくても、「岡島先生の研究室でこんな研究がしたいから、熊大に来た」という学生が出てくるといいですね。
◆:最後に熊大生へ一言お願いします!
岡島:私の研究室では研究の幅が広いがゆえに、学生同士、他の人がどんな研究をしているのか知らないんです。そのため、マンツーマンでの対応が中心ですが、本当は学生間のディスカッションを通して、より研究を発展させていきたい。研究配属後は、学生同士でもっと熱くディスカッションをしてください。
(2017年4月11日掲載)
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