平成25年度熊本大学 卒業式・修了式 式辞

学長 本日、ここに、ご来賓各位のご臨席を賜り、理事・副学長・部局長と共に平成25年度の卒業式・修了式を挙行できることは大きな喜びでございます。ご卒業・修了の皆様、卒業、修了、誠におめでとうございます。

本日の式典にあたり、卒業生・修了生の皆様には、今日の日を迎えられましたことに対して心よりお祝い申し上げますとともに、今日までの研鑽に深く敬意を表します。また、皆様を誇りに思います。

特に、留学生の皆様方には、母国の期待を担い、留学を立派に終えられました。母国を離れての勉学には幾多の困難があったものと推察いたします。留学生の皆様には、おめでとう、Congratulations, You did very good jobと申し上げます。本学で学ばれたことを充分に活用され、これからも皆様の母国と我が国の架け橋となって益々ご活躍いただくことをお願いいたします。

もとより、卒業生、修了生の皆様が今日の日を迎えるにあたっては、ご家族の皆様や友人の協力と励まし、教職員や諸先輩の温かなご指導・ご助言、などの数えきれない支援があったものと思います。本日、皆様が手にされた学位記には、お世話になった方々の様々な気持ちが幾重にも込められています。本日の卒業・修了の喜びを、是非、ご支援いただいた皆樣方とともに、感謝の言葉を添えて、分かち合っていただきたいと思います。

この場をお借りして、卒業生、修了生を深い愛情によって支えてくださったご家族をはじめ、ご指導ご助言をいただいた教職員、諸先輩、友人の皆様、さらには日常生活を支えていただいた地域の皆様はじめ関係各位に対し、本学を代表して、心より深く感謝申し上げます。

世界と繋がり、自ら考え行動する人間になれ!
さて、今日、グローバル化した社会は新しい時代の大きなうねりの中にあります。そして今、私達に求められているものは、世界の人々と繋がりを持って自ら考え、行動する力です。

いやが上でも、今日の社会はグローバル化が進み、何事も世界的な視野の中で考えなければならなくなっています。それを避けて通ることはできません。アジアやアフリカの発展途上と言われた諸国の発展は目覚ましいものがあります。情報は、今日の情報通信技術の発展によって、瞬時に世界を駆け巡ります。
今日、情報技術の発展によって、居ながらにして世界の大学の講義に参加することもできます。一方、いわゆる仮想社会が拡大し、通貨危機のような様々な新しい課題も噴出しています。日々世界各地から飛び込むニュースに見られるように、現実の社会には複雑で難解な課題が山積しています。我が国は、少子高齢化に伴う労働人口の減少に伴う課題が目の前にあります。一方、世界の人口は爆発的に増加しています。我が国が直面する様々な課題に取り組み、世界的な視野の中で課題を考えることは、そのまま世界の課題の解決にも貢献することにも繋がります。エネルギー・環境、安全性、医療・健康・衛生管理などなど、我が国の経験や知恵が世界に貢献することも数多くあります。今や地域や一国の課題の多くは、全世界の課題に繋がっています。これからの持続可能な社会に向けての世界と繋がった英知の結集が必要です。皆様には機会があれば、また、機会をつくって、是非、生の世界と触れ合っていただきたいと思います。

新たなグローバル時代にあって、我が国の将来は、国際社会の中でしっかりとその存在価値を示し、世界と繋がって世界から尊敬される以外にはありません。本学が、海外の数多くのパートナー大学と連携し、留学生の受け入れや本学学生の海外派遣等に取り組んできたのは、国際社会で活躍できる人が今後益々重要になるからです。
世界と繋がるということは、異なる文化や多様な価値観と向き合うことでもあります。様々な事柄に興味を持ち、自分と異なる考え方、今まで見聞きしたことの無い事柄に向き合うことでもあります。このことは、皆様にとっても新しい成長の源になります。また、世界と繋がることは、我が国や地域、そして皆様自身の良さをしっかりと認識することでもあります。我が国は、その国民性とも言うべき高い倫理観とボランテイア精神、相手を思いやる気持ち、おもてなしの心など、世界に冠たる誇るべきすばらしい特性を持っています。大切な特性です。
しかし、世界と繋がっていくためには、これらの特性に加えて、心を通わせ互いに互いを理解するためのコミュニケーション力も兼ね備えていかなければなりません。

我が国は、これからも、国際社会の中で信頼される真のリーダーとして国際社会を担うことが求められています。皆様は、それを担う役割を求められています。この役割を担うためには、これまでに身につけた様々な力、すなわち、幅広い教養力、深い専門力、そして魅力あふれる人間力などを十二分に活用して、何事にも興味を持ち、積極的に関わり、コミュニケーション力を発揮しながら、多様な人々と直接ふれあうことを大事にして欲しいと思います。
そして、「自ら考え、行動する人間」になっていただきたいと思います。

創造する森 挑戦する炎
本学は、昨年11月の開学記念日に、本学縁の井上雄彦氏の揮毫を得て、「創造する森 挑戦する炎」のコミュニケーションワードを学内外に向けて発表させていただきました。本学の特徴は何か、皆様の特徴は何かについて議論いただき、そのイメージを表す言葉として選定されました。このコミュニケーションワードは、本学の、そして本日巣立っていく皆様のこれまでの努力と、その上に立って進む将来を示す言葉であり、皆様の輝く将来への思いと軌を一にする言葉になっていると思っています。輝く未来のために、様々な英知を結集して新しい価値がどんどん創造され育てられ、また、いかなる困難の中でも、怯むこと無く、具体的に課題を解決していくという本学の伝統的な姿勢を示しています。熱い思いでチャレンジする高い志に満ちあふれた学生諸君が本学の宝であることを示しています。本学の人材育成のモットーである「逞しさ」は、長い歴史を経て今もしっかりと受け継がれています。皆様には、この言葉を忘れず、何事にも果敢に挑戦するチャレンジ精神と失敗に怯まない「逞しさ」に磨きをかけていただきたいと思います。井上雄彦氏の力強い思いのこもった書に負けない力強さで、皆様の未来を創りだしていただきたいと思っています。
本学の「創造する森 挑戦する炎」に込めた未来への志,メッセージは、JR熊本駅、あそくまもと空港のみならず、東京駅の八重洲コンコースにも広報させていただいています。機会があれば是非探してください。

社会の宝,財産として益々の研鑽を
これまで常に申し上げてきた通り、本学の卒業生・修了生の皆様は、決して社会の単なる一構成要員としての「人材」ではありません。社会の宝、財産としての「人財」です。このことを改めて自覚して欲しいと思います。皆様が社会の宝、財産であるからこそ、社会の皆様からこれまで様々なご支援を受けてきたわけです。

人々は、自らの限界に挑戦して夢に向かって邁進する姿に惜しみない声援や拍手を送ります。先のオリンピックやパラリンピックの選手達の活躍は我々に数多くの感動を与えてくれました。また、あの大震災から3年を経た今なお、厳しい状況の中で、悲しみを乗り越えて復興に取り組まれている被災地の多くの皆様の姿は常に私達に勇気を与えてくれます。
一方、最近、我が国において、社会の信頼を損ねる出来事が数多く生じています。残念ながら、我が国が世界に冠たる誇るべき高い倫理観など、基盤的な特性が根底から揺らぐものです。20年近く社会を裏切り続けた音楽関係者の出来事もありましたが、大震災以来、科学技術の在り方や先端的な研究成果への社会からの疑惑も話題になっています。改めて、社会の信頼の基盤となる倫理や責任という課題に正面から取り組む必要があります。私達は、情報社会の恩恵や科学技術や先端医療の恩恵を様々享受する中で、そして、社会の情報化や科学技術は今後益々発展していくことは確実ですし、その恩恵は否定されることではありませんが、一方で、人と人との繋がりや信頼関係が揺らぐことの無いように、人としての在り方を常に見つめ直す必要があります。高い倫理観や責任感に常に向き合うことが、益々重要になると思います。
本学は、我が国を代表する22の研究拠点大学の一つとして選定を受けたところです。本学は、これからも一層の努力を重ね、社会との信頼関係を揺るぎないものとすることに努めたいと思います。
皆様には、本日の卒業・修了に当たり、再度、自らを見つめ直していただきたいと思います。皆様が、これまで、大学生活の中で努力を重ね、研鑽に励まれてきた理由は、ただ一つです。それは、先ほど申し上げたように、皆様が、社会の宝であり財産として「皆様自身の存在によって、社会の人々の役に立つため」です。そのために、直接、また間接的に社会の皆様に支えられてきたわけです。重ねてこの点を認識していただきたいと思います。社会の「人財」としての皆様には、今の自分から出発して、将来のさらに力をつけた自分を想定してください。人は如何様にも成長していくことができます。自分を信じて、「社会の人々の役に立つ」ことを目標に、自分の道を極め歩んでください。
未来は皆様が創りだすものです.未来は、皆様の手の中にあります。

「自信」と「誇り」を持って活躍を
私たち教職員は、皆様の人生の大切な時期に関わりを持てたことを誇りに思っています。皆様一人一人を心から誇りに思っています。
本学が社会の「憧れの存在」となるための第一の指標は、卒業生・修了生の皆様が社会で思う存分活躍いただくことです。本学の真価は、卒業生・修了生諸君一人一人の人生にあります。

本学の卒業生、修了生の皆様は、本学の教育指針に応えて研鑽を積まれた結果、今日の日を迎えられたわけですので、社会で活躍するために充分な力を持っておられることを確信しています。自信を持って社会に羽ばたいていただきたいと思います。皆様が熊本大学の卒業生・修了生として、これまでに培った様々な力を背景に、「自信」と「誇り」を持って、それぞれの立場で自らの夢を大きく実現されるとともに、その夢の実現を通して大いに社会に貢献されることを期待しています。
皆様が、社会の「人財」として成長されることを期待し、皆様のこれからの輝かしい人生を祈りつつ、卒業、修了に際しての心からの祝辞といたします。

卒業生・修了生の未来にエール
最後に、皆様の元気な声を聞いて、巣立っていく皆様の将来への決意の大きさを示していただきたいと思います。また、重ねて、3年を経た東日本大震災の被災地域の皆様に、一日も早い復興を期して応援の気持ちを持ち続けることを誓いたいと思います。

皆様一人一人お名前を読み上げて決意をお聞きしたいところですが、学部等毎に卒業生、修了生の所属と人数を申し上げますので、その場でまず起立してください。
どの学部・研究科を出ても、社会では熊本大学の卒業生・修了生ですので、最後に学部学生、合計何名とその人数を申し上げた直後に、全ての学部卒業生諸君は、全員で、右手を大きく掲げて、元気よく"オー"と応じてください。

大学院修了生も同じです。時間の関係で、学部と大学院2回に分けて応じていただきます。留学生の皆様もそれぞれの学部、大学院に加わってください。声の大きさが皆様の決意の大きさであり、将来への力強さの表現です。また、我が国や世界の将来への希望の大きさです。さらに被災地域で頑張っておられる方々への応援の気持ちの大きさでもあります。

【文学部164名】、【教育学部及び特別支援教育特別専攻科・養護教諭特別別科362名】、【法学部172名】、【理学部167名】、【医学部256名】、【薬学部84名】、【工学部547名】。
以上、学部卒業生 合計1752名。
(オー) すばらしい元気と未来への決意をありがとう。

続いて大学院です。前期課程(修士課程)と、後期課程(博士課程)一緒に行います。
【教育学研究科44名】、【社会文化科学研究科73名】、【医学教育部61名】、【保健学教育部19名】、【薬学教育部45名】、【自然科学研究科421名】、【法曹養成研究科8名】。
以上、大学院修了生 合計671名。
(オー) ありがとうございました。

卒業、修了おめでとうございます。

以上、総勢【2423名(内、留学生53名)】の皆様一人一人に対し、熊本大学を代表し、皆様の輝かしい未来を祝福します。
おめでとう!!Congratulations !  and、Bon Voyage!!

平成26年3月25日
熊本大学長 谷口 功

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